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【国内初】建設用3Dプリンター製のアート作品が東福寺光明院に展示

京都東福寺光明院に設置された建築3Dプリンター製アート作品

アート作品に3Dプリンターを活用する取り組みは国内外で始まっている。日本では、京都にある東福寺光明院の「波心庭」内にて、日本初とされる建設用3Dプリンター製のアート作品が展示された。 本作品は彫刻家のNell Shiina氏が石膏のサンプルを作成し、造形をMAT一級建築士事務所が担当した。 作品は2023年3月10日(金)から4月9日(日)まで展示されている。

写真は東福寺光明院の枯山水庭園「波心庭」の中に建設用3Dプリンターで印刷された彫刻作品(出典:MAT一級建築士事務所)

建設用3Dプリンターを活用する建築設計事務所

今回のアート作品の制作にあたり、 Nell Shiina氏が作成した石膏サンプルをもとに構造案を設計したのが「株式会社MAT一級建築士事務所」だ。MAT一級建築士事務所は2015年に設立された設計事務所である。日本で初めて建設用3Dプリンターを用いて確認済証 ※ の交付を受け、建築基準法に準拠した建築物を建築した。

また、株式会社ワークスタジオとともに廃棄衣類繊維を3Dプリンター建設の断熱材に活用する実験を行い、商品化も実現している。2022年には、オランダCYBE社のセメント系3Dプリンターを導入するなどの取り組みを行っている。建設用3Dプリンターの活用で高い実績を上げている先駆者的な企業といえるだろう。今回のアート作品の製作はNell Shiina氏、アラタ スズキ氏、MAT一級建築士事務所のコラボレーションで進められた。

※確認済証は、建築計画が法令に適合されていることを検査機関などが確認し、建築主へ交付される証書を指す。

3Dものづくりならではのコラボレーションワーク

建設用3Dプリンターで造形される様子 出典:MAT一級建築士事務所
建設用3Dプリンターで造形される様子 出典:MAT一級建築士事務所
東福寺光明院の「波心庭」内に展示されているアート作品 出典: MAT一級建築士事務所

Nell Shiin氏の当初の彫刻計画では、高さ約3メートルの柱状作品だったという。しかし、東福寺の庭園「波心庭」には重機が一切入れないなどの制約があった。そこで、 MAT一級建築士事務所の代表取締役である建築家 田中朋亨氏が全長の調整などの設計変更を行い、実際に搬入組み立てができるようにした。

作品内部は空洞で、安全面への考慮からスチール製の支柱に7つのパーツを積み上げる構造となっている。その設計案をもとにアラタ スズキ氏が再構成。その再構成されたデータをMAT一級建築士事務所の設計チームが3Dモデリングを行い、MAT社の建設用3Dプリンターで造形することで作品が完成した。複数の作り手のコラボレーションを3Dのモノづくりがつないだプロジェクトとなった。

写真は、東福寺光明院の「波心庭」内に展示されているアート作品 出典: MAT一級建築士事務所

建設用3Dプリンターの活用用途が広がる

株式会社MAT一級建築士事務所の田中朋亨氏は、

「弊社は日本で初めて建設用3Dプリンターを用いて確認済証の交付を受ける事ができました。すでに建設用3Dプリンターを実践的に活用し、収益化にも成功しております。建設用3Dプリンターを扱うには高度な技術が必要ではありますが、専門的な教育を受けたオペレーターや複雑なモデリングを可能にするオペレーターも在籍しています。まだ新事業を開始して間もないですが、このような伝統ある場所に弊社の技術が採用された事は光栄に思います。」

と、今後の3Dプリンターを活用した製作活動に意欲を見せている。

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