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ミマキエンジニアリング、世界4カ国の3Dプリンター展に出展

産業グレードの高精度なフルカラー3Dプリンターに強みを持つミマキエンジニアリングは、2023年5月~6月に、日本を含む世界4か国で開催される3Dプリンターの展示会に出展している。展示会への出展は、世界的なCADソフトメーカー「Autodesk」との協力によって実現した。

設計・製造業界に向け「設計技術の可視化による最適案の導出」事例

カーレースに参加するチームは、レースに勝利するために、車の安全性、パフォーマンス、軽量化の改良を目指し、常に新しい設計・生産技術を模索している。アメリカのレーシングチーム「Stewart-Haas Racing」もその一つだ。Stewart-Haas RacingはAutodeskとの提携により、フォード「マスタング」の最も重要な部品の1つであるブレーキペダルの軽量化に取り組んだが、その過程でFusion360の「ジェネレーティブ・デザイン」機能を活用し設計案を複数検討した。

実際に金属3Dプリンターで造形したブレーキペダル(出典:ミマキエンジニアリング社)

AIによる自動生成と技術者のデザインレビュー

ジェネレーティブデザインとは、AIを活用した設計最適化技術を指す。設計者が設計目標とともに機能、空間条件、材料、製造方法、コストなどのパラメーターを設定することで、ソフトウェアが複数の設計案を自動生成するパラメトリックな設計アプローチだ。

こうしたAI活用は便利だが、人間の設計者と違って、AIは生成した3Dモデルの設計意図を説明しないし、考慮漏れを補うこともない。そのため条件を入力した設計者が部品の設計意図や最適化の妥当性、製造やメンテナンスが容易か、モジュール全体からの観点でも最適かなどを検討する人の手によるデザインレビューが重要になってくる。

Mimaki 3DUJ-553で製作されたブレーキペダル。軽量化箇所を可視化(出典:ミマキエンジニアリング社)

もとより従来の定石からかけ離れた最適化設計ほど、このデザインレビューは難しくなるものだが今回のプロジェクトにおいてAutodeskは、ボストンのテクノロジーセンターに設置しているフルカラー3DプリンターMimaki 3DUJ-553で、該当部品であるブレーキペダルについて、複雑な内部構造を可視化した模型を製作しデザインレビューを行った。3Dプリント用のデータはMimaki 3DUJシリーズに対応したNetfabb Premiumにより作成されたという。

試作品でデザインレビューを円滑化

Autodeskの関係者は「もちろんソフトウェアの画面でもモデルを断面表示し、3Dビューで透過させて見せることもできます。しかし実物の模型をクリアと色でパーツを分けながら見やすい状態で作ることができると、構造を理解するためにとても役に立ちます」とミマキの発表にコメントを寄せている。

こうしてジェネレーティブデザインで複数の設計案を検討し、実際に形状をフルカラーで造形しデザインレビューを行いながら、最適な設計案を選定した。その結果新しいブレーキペダルは、金属3Dプリンターで製造され、ドライブコース3000周相当のブレーキ動作に耐える耐久性と32%の軽量化を実現しながら、剛性も50%向上するという性能改善を実現した。今後ますます盛んになるであろうAIによる自動生成系デザインを活用する上で参考になる事例と言えるだろう。

他の業界の事例も展示で紹介される

この他にも、ゲームやアニメーション製作で関係者感の調整に3Dモデルだけではなく造形したフィギュアを活用している事例や、建築土木分野で工事内容を3Dプリンターで可視化し意思決定に役立てている事例などが展示される。
                    
ミマキエンジニアリングが出展する各国の展示会場は以下のとおりである。

  • 北米:RAPID+TCT 2023(米・シカゴ) :2023年5月2日~4日
  • 欧州:Rapid Tech 3D(独・エアフルト) :2023年5月9日~11日
  • 欧州:TCT 3SIXTY 2023(英・バーミンガム) :2023年6月7日~8日
  • 日本:EDIX東京(日本・東京) :2023年5月10日~12日
  • 日本:次世代3Dプリンタ展/日本ものづくりワールド(日本・東京):2023年6月22日~24日

会場が海外であったり、すでに会期を終えた展示会もあるが、世界に向けて発信した展示内容は20023年6月の次世代3Dプリンター展でも確認できる。実際に展示されているサンプルを手に取りながら「なぜこの企業はコストをかけてカラー造形に取り組んだのか」を考えることで、自らの業界でフルカラーを利用するヒントに出会えるかもしれない。

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