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世界のAM市場レポートから読み取るべきことは?

イントリックス株式会社 丸岡 浩幸

イントリックス株式会社 丸岡 浩幸 樹脂製品メーカーで設計を14年、その後AMソフトウェア・装置販売ビジネスに20年以上携わった経験と人脈を基に、ShareLabを通じてAMに関わるみなさんに役立つ情報とつながりをお届けしています。

「TCT Asia 2025 現地調査トピックス」ウェビナー開催予定

4月1日に企業、公的機関、学校で新たな年度になり、ご自身やご家族でも新たな門出を迎えられた方も多いかと思います。私はShareLabに加わり、ちょうど1年となりました。読者のみなさん、会社の仲間の温かいご支援を頂きましたおかげでこの日を迎えられました。この場をお借りして感謝の意をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。これからもよろしくお願い致します。朝、会社が入居するビルの前の桜を1年前と同じように見上げながら出社しましたが、思い返せば長かったと感じた1年でした。

いろいろなことが起きたり、変わったりしたのが長く感じた理由だと思います。最近東京も寒暖差が激しく、世界経済も「関税」のたった二文字でかき回されて始まった新年度ですが、なおさら1日1日を大事にしながら、良い2年目にしてきたいと思っています。

さて、前回のコラムでも所感をお伝えしたとおり、3月に実際に行って見てきた、中国上海で開催された展示会「TCT Asia 2025」のトピックスをコンパクトにお伝えする、ShareLabウェビナー「TCT Asia 2025 現地調査トピックス」を2025年4月15日(火)13:00-14:00に開催します。既に予想を上回る参加登録を頂きましたが、詳しくは下記のウェブサイトをご覧いただき、直前ではありますが、ご関心のある方はぜひ参加登録をお願いします。
参加登録はこちら

世界のAM市場レポートから読み取るべきことは

多くの方がご存じのように、中国のAM産業の急成長は、世界のAM市場全体にも影響を及ぼしています。そのような変化のある中、毎年この時期に出される世界のAM市場レポート「Wohlers Report 2025」がWohlers Associates社から先日発刊され、ShareLabニュースでもお伝えしました。

私は前職の時からほぼ毎年読んできましたが、今回30周年記念版ということで、デザインも中味も変わったようです。今回はご縁を頂いて私も一部を書かせていただきました。内容詳細はここではお伝え出来ませんが、既にネットやウェビナーで公開されている情報もあり、2024年の世界AM市場規模はUS$21.9B(約3兆円)、昨年比9.1%成長、2034年の予測レンジの中央値US$114.5B(約17兆円)とのことです。その他以前より増して様々な統計分析や、各国の状況、活用事例などが含まれています。他にもAMPOWER社から「AM POWER REPORT 2025」も発刊されていて、こちらも一部の内容は一般公開されています。そこでは2024年の世界AM市場規模は€10.72B(約1.7兆円)、昨年比2%成長としています。これを見てもレポートにより差があり、実際には誰も正確には把握できないのが事実でしょうし、どれが正しいと議論するよりも、同じレポート内での年々の変化を見ることは意味があると思いますし、海外に行って聞かないと知り得ないような情報や、大きなトレンドを読み取るのにはとても役立つ、ありがたい資料だと思います。

一方で、「世界のAM市場のことを知っても、自社のビジネスや自分の仕事には直接関係ない」という読者の方も多いのではないかと思います。それは当然なのですが、世界のAMの変化や各地域の違いは、単にAMだけでなく、その背景にある経済、産業(製造、防衛、航空宇宙、医療)、研究教育などの動きが反映されていて、それらにおいて日本の現在地、国際競争力などを知る一つにもなりますし、他国のビジネスモデルやAMで作られているモノは、日本の経営者や現場の課題解決のヒントになるかと思います。もちろん、海外と日本は違うと言えばそれまでですが、他人事としてではなく、自分事に少し置き換えて読むだけでも、読み取れることは違ってくると思います。また、読めるレポートはほぼ英語しかなく、敬遠される方も多いかと思いますが、科学技術の進化はありがたいもので、自動翻訳、画像翻訳などが助けてくれる時代ですので、昔よりハードルは下がっていると思います。ぜひ世界AM市場レポートをうまく活用されることをお勧めします。

ShareLabニュースにもう一言

前回のコラムでも触れましたが、TCT Asia 2025展示会場でSTARAYを含む靴やマスコットなどを展示して、即売会も行っていたブースは、ずっと混み合っていました。聞けば値段は市販の靴に比べてかなり高いのですが、履き心地というより新しさが人気の理由では?とメーカーの人は言っていました。でもそれだけで10万足は売れないと思うので、機能的にも買う価値があるのでしょう。靴の一体化AM製造は、見た目、機能だけでなく、従来の靴製造法に比べシンプルなサプライチェーン、少ない製造・在庫廃棄物、物流から使用後のリサイクルまで、よく海外でいう「破壊的(ディスラプティブ)」なAM活用の好例となる可能性があります。

これも靴と同じく、入れ歯の一体化AM製造も「破壊的」変革で、もちろんこちらはカスタムメイドの価値や、「デジタル在庫」でなくしたり壊しても再製造がすぐに、どこででもできる価値も生み出しています。さらに、このような災害時への対応も、従来製法ではアイデアさえ出なかったのではないでしょうか。加えて、企業トップが被災の経験により、他社をまきこんで素早く仕組みをつくりあげたのは、震災関連死を防ぎたいという人の想いとテクノロジーがかみ合ったからこそで、災害の多い日本ならではの好例として、海外の方にも参考にしていただきたいと思います。

ではまた次回。Stay Hungry, Stay Additive!

       

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