Stratasys、RAPID + TCT 2025でAMエコシステムと新ソリューションを披露

Stratasys Ltd.(イスラエル・レホボト市、以下、Stratasys)は、米ミシガン州デトロイトで開催された北米最大のアディティブマニュファクチャリングおよび産業用3Dプリンティングの展示会「RAPID + TCT 2025」における製品および講演内容を発表した。Stratasysは会期中に複数の新製品・新素材を初公開し、製品のライブデモンストレーションや約12件のカンファレンスセッションを通じて、製造業全体のライフサイクルにおける変革を支援する姿勢を示す。(上部画像はStratasysのプレスリリースより。出典)
目次
AMは今、岐路に立つ。Stratasysが語る導入の意義と未来像
StratasysのChief Business Unit OfficerであるRich Garrity氏は次のように述べている。
「現在、AMは重要な岐路に立たされている。グローバルな製造業界が、チャンスとリスクが交錯する時代において最適な選択肢を見定める中で、AMの重要性はかつてないほど高まっている。デトロイトでは、製造現場へのAM導入がコスト削減、効率向上、サプライチェーンの安定といった課題解決につながることを示していく」
ToughONEの実演とNeo800+の初披露で示すStratasysの量産対応力
PolyJet ToughONEについては本日(2025年4月21日現在)1つ目の記事で既に紹介した通りだが、Stratasysは今回のRAPID 2025において、この新素材を実際に体感できる専用ステーションを設置した。会場では、ドリル加工や引張試験に加え、造形部品を用いたエアホッケー台のデモンストレーションもされており、ToughONEの高い強度と多用途性が具体的に示される。
また、同社は新たに開発したステレオリソグラフィー方式のプリンター「Neo800+」も同時に初公開。これらの展示は、Stratasysが掲げる「量産レベルの性能・再現性・効率性」の実現に向けた技術的コミットメントを、来場者に直接アピールする機会となっただろう。
大型・高精度造形を実現する次世代SLA機「Neo800+」
「Neo800+」は、Stratasysが新たに開発した大型ステレオリソグラフィー(SLA)方式の3Dプリンターである。高精度かつ高スループットを実現し、量産レベルの造形にも対応可能な点が特長だ。広い造形エリアにより、大型部品や複数部品の一括造形を可能とし、航空宇宙や自動車、工業デザイン分野などでの活用が期待されている。滑らかな表面仕上げと寸法精度を両立しつつ、高効率な生産をサポートする次世代SLAソリューションである。
Stratasysが示すAMのスケーラビリティと応用拡張
また、Stratasysの技術を用いて開発された低量産の高級電気自動車「CALLUM SKYE」の展示を通じて、コンセプト設計から最終製品製造までを支えるAMの可能性が紹介される。
また、StratasysはFDMおよびP3 DLPプラットフォームにおいても新製品および新素材を発表予定であり、航空宇宙、電子機器、産業用製造、ヘルスケアといった高需要分野に向けたAMの活用をさらに拡充する。
【FDM関連の新発表】
- VICTREX AM 200:PEEKをベースとする高性能素材で、優れた機械的強度、耐熱性、耐薬品性を持ち、航空宇宙用ブラケットや産業用治具などに適応。
- PC-ESD:帯電防止性能を持つポリカーボネート系素材で、静電気に敏感な電子機器製造工程に適している。
【P3 DLP関連の新発表】
- GrabCAD Print Pro for Origin:Origin向けに対応を拡張し、全てのStratasysプラットフォームで統合されたプリント準備とワークフロー制御を可能に。
- Loctite 3D IND3380 ESD:帯電防止性能を備えた新しいフォトポリマーで、自動車用治具、産業機械、航空宇宙部品に最適。
高付加価値市場を狙い、AMの本格普及へ
Stratasysは今後、PolyJet ToughONEやNeo800+をはじめとする新製品を軸に、試作から量産、治具製造まで幅広い領域でのアディティブマニュファクチャリング(AM)の普及を加速させる方針だ。特に、自動車や航空宇宙、エレクトロニクス、医療といった高付加価値市場に向け、性能・効率・信頼性を備えたソリューションを継続的に展開し、AMによる製造の主流化を牽引していくと見られる。
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