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アメリカの受託造形企業が、自動化への取り組みで100万点の部品受注を獲得 ― Merit3D

Merit3DのMagna

3Dプリンターでの大量生産は経済的でないという認識が崩れつつある。その鍵は自動化だ。アメリカのユタ州に拠点を置く受託造形企業のMerit3Dは、ユタ州製造業近代化助成金でロボットなど製造の自動化のために設備投資を行った結果、海外の射出成形工場に発注が行くはずだった100万個の部品製造注文を米国での3Dプリンター製造で受注できたと発表した。(写真はMerit3Dが製造に活用したPhotocentric社の3Dプリンター Magna 出典: Merit3D)

AM製造で海外の射出成形工場と競い合う

アメリカの人件費は世界的に見ても高水準だ。そのためアジアや南米をはじめとした海外工場での製造に比べるとコストが割高になるケースも多く同じ設備、同じ工法で勝負すると太刀打ちができない。また工法としても射出成形は初期の当たりだしまでのロスや金型費用が高額であるものの、大量生産に向いている工法だ。アメリカで海外の射出成形工場と競合して100万個を超える大量生産品の受注ができた理由はどこにあるのか。

一般的な接着剤用の部品100万個の製造案件

Merit3D が今回獲得した案件は、ホームセンターなどで販売されている接着剤を生産するAdhesive Technologiesの案件で、混合ノズルをエポキシ チューブに取り付けるために使用されるエポキシ製品用の接合パーツだ。Merit3D はこの部品を毎週 40,000 個製造している。Adhesive Technologiesは部品調達の見直しを図っていた。(写真はMerit3Dの量産工場。出典: Merit3D)

「従来、50,000 ~ 250,000 個の注文は射出成形で行う必要がありましたが、現在、世界中の企業が競争で優位に立つために 3D プリンティングに注目しています。」とプレスリリースで述べているが、Adhesive Technologiesもその一社だったわけだ。とはいえ、実利がなければ好奇心だけで大規模発注を起こす企業はいない。

AM製造の4つの強みで受注獲得

Merit3DはAM製造ならではの動きの速さ、製品改善に貢献するオンデマンド製造、輸送にかかるリードタイムの削減、トータルコストでのPRの4点でAdhesive Technologiesの信頼を勝ち取り受注に繋げたという。

実際に、製品は2週間で設計から製造に移行するというスピード感でクライアントの海外での金型の使用を回避することに成功した。Merit3Dは短期間で射出成形品を上回る耐久性を実現した製造品質をアピールしている。

そして100万個のオーダーに対して、一括納品ではなく、週4万個の納品を提案した。3Dプリンターによる製造では一気に100万個を製造することは困難だ。一方で途中での設計変更には柔軟に対応できる。この点をうまく活かし、製品の改良に複数回挑戦できるメリットを訴求した。

企業にとっては生産ロットが大きいことはリスクをはらむ。不良品を改良するためには次の生産タイミングを待たなければならない。それでも大量発注を行うのは、製造コストを抑制するためだ。輸送コストや保管コストを加味しても一度に大量発注するコストダウン効果の方が大きいからこそ大量発注を行う。裏を返せば必要量だけ毎週安定的に納品できれば、輸送コストや保管コストを低減できるということでもある。

「一度に数百万個の部品を注文したり、部品を入手するまでに長いリードタイムを待つ必要がなくなったことは非常に大きいです。必要な部品は、ジャストインタイムの製造モデルを使用して入手できるようになります。」(Merit3D Spencer Loveless 氏)

助成金を活用した自動化で量産を実現

もちろん妥当なコスト感であったことも大きい要素だ。Merit3Dのオーナーである Spencer Loveless 氏は、「製造コストが低いため、海外で競争するのは常に非常に困難ですが、ハイテク機器に投資することができたので、競争条件を平等にする上で大きな一歩を踏み出すことができました 」と手応えを語っている。ユタ州の製造近代化助成金からの資金流入により、手頃な価格でAM製造できる部品の数が増加し、Merit3Dは射出成形メーカーとの競争に勝利した。

ロボットなどの自動化のための設備としか語られていないが、週4万個を納品できる製造能力を自動化で実現したことで、射出成形品の案件を獲得した事例があるという点だけでも、AM製造の可能性を大きく感じさせる事例と言えるだろう。

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