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3D Systemsが量産志向の回転するビルドプレート方式をもつ独3Dプリンターメーカーdp polarを買収

買収バナー

3D Systemsは量産を本格的に見据えて独自のインクジェット方式の3Dプリンターを製造するドイツの3Dプリンターメーカーdp polarの買収を発表した。3Dプリンターを用いた連続生産への取り組みを多角的に実現しようとする3Dsystemsの姿勢が伺えるニュースだ。

dp polarの産業用3Dプリントプラットフォーム(出典:dp polar)
dp polarの産業用3Dプリントプラットフォーム(出典:dp polar)

dp polarの量産志向3Dプリンターの最大の特徴:回転するビルドプレート

dp polarは樹脂部品の量産を見据えて、非常に独創性の高いインクジェット方式の3Dプリンターを生産している。その最大の特徴は回転するビルドプレートだ。

通常の3Dプリンターは縦、横、高さの3軸方向にプリンタヘッドを移動させ、ビルドプレート上に構造物を作り上げる。しかし、この方法ではプリンタヘッドの運動制御機構に対して大きな負担がかかる上に、プリンターヘッドの移動時間が生産性向上の足かせになる。

プリンタヘッドを移動させ、停止させるたびに駆動装置は摩耗し、振動による欠陥が生じる。プリントヘッドの重量が増したり、プリントヘッドを素早く動かしたりする場合には、部品にかかる負担はさらに大きい。駆動部品の強度限界は、生産性の向上に対する大きな課題の一つだといえるだろう。

この問題に対して、dp polarは、円形のビルドプレートを回転させるというソリューションを提示した。プリンタヘッドは固定し、ビルドプレートを一定方向に回し続けることで、駆動部品への負担を軽減し、高速3Dプリントを目指している点に新規性がある。

多種材料の使い分けを可能とする回転印刷(出典:dp polar)

前加工、後加工も装置内に包含!オープンマテリアルにも対応する回転印刷プラットフォーム

プリントヘッドを大型化できるということは、多種材料の使い分けが可能になるということを意味する。dp polarはオープンマテリアルを標榜しているが、回転印刷によって、色、硬度、耐熱性、コストなどの異なる様々な材料を1つのビルドプレート上で使い分けることができるようになった。

また、dp polarの3Dプリンターは、3Dプリンターとしての機能に留まらない。半導体チップ製造におけるラインのように、部品の運搬や構造物上への積載、加熱、後処理などを行うことを想定している。

回転印刷による積層造形は、多数の部品を同時に3Dプリントすることが可能だ。また、大量生産する場合にも、場所による乾燥時間の違いを生まないため、品質を一定に保つことができる。

dp polarの回転印刷プラットフォームは、3Dプリンティングによる大量生産を志向しており、3Dプリンターの本格的な産業応用への第一歩として期待を集めている。

マルチプロセス(出典:dp polar)

着々と進む3Dプリンターの量産対応への備え

3Dプリンティング関係各社の合併・買収が多数報じられる中、3Dプリンター製造大手の3D Systemsは、dp polarの買収を発表した。

3D Systems社長兼CEOのDr. Jeffrey Gravesは、今回の買収について以下のように述べている。

「dp polarは、真の大量生産を提供するユニークなシステムを構築しました。1つの高速プラットフォームで複数のプロセスを可能にする3Dプリンターの設計と、幅広い材料を印刷する機能により、生産性が桁違いに向上するだけでなく、トータルでのコストも削減されます。有名なポリマー材料ポートフォリオと、この業界初となる高速生産技術を組み合わせることで、産業及びヘルスケア市場における価値の高いアプリケーションの生産ワークフローに記念碑的な変化を生み出すと信じています。」

これまでも3D systemsは連続生産のために光造形方式の樹脂3Dプリンター「Figure 4」を販売し、最大24台の並列製造を可能にするFigure4モジュラーやその上位グレード「Figure4 プロダクション」などを展開してきた。(Figure4に関してはこちらの記事から:https://news.sharelab.jp/3dp-news/tech/figure4-modular-updatenews/)

3D systemsは光造形方式の苦手とする対候性の向上などを材料分野での改善を地道に行ってきた一方で、資金力を活かしてdp polarがもつ独自技術の取り込みを図っている。新しい技術を持つベンチャーをM&Aを通じて自社に取り込むことで、将来の競合をさけ、新しい市場の開拓や自社製品の発展を図る挑戦的な姿勢は、攻めの姿勢を感じる。

航空宇宙産業のようなハイエンド少量部品生産に留まっていた最終部品製造に対する3Dプリンターの活用範囲は、既存工法では製造できない複雑な形状を採用した部品をより効率的に生産したいという量産ニーズへと発展していく傾向にある。この流れを後押しするのが装置性能だろう。そのことを誰よりも熟知しているのが、3Dプリンターメーカーの経営陣であるだろうし、そのためにM&Aを通じて技術や人材を取り込み、3年先、5年先に使われる装置を開発しているのだろう。

海外メーカーの技術提携やM&Aに関しては、いままでも取り上げてきたが、あらためて紹介しておく。

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