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セラミックス用3Dプリンター事業でローランドディージーがAGCセラミックスらと中国で合弁会社を設立。バインダージェット方式に取り組む。

ローランド

静岡に本社を置くローランド ディージー株式会社(以下、ローランドディージー)がAGCセラミックス株式会社や中国企業2社とともに、中国で、セラミックス材料を使ったバインダージェット方式3Dプリンター事業の合弁会社を設立した。バインダージェット方式は3Dプリンターのプリントヘッドのノズルから液体の「バインダー(結合剤)」を主材料となる粉末に噴射して造形物をつくる方式。一般的に生産性に優れると言われている。(写真はセラミックス3D造形体のサンプル。出典:ローランドディージー株式会社)バインダージェット方式3Dプリンターを用いたアート作品

世界市場を視野にセラミックス部品向けバインダージェット方式の3Dプリンター事業を合弁会社で立ち上げ

新会社は「微瓷科技(江西)有限公司」という社名で愛司凱科技股份有限公司(以下“AMSKY”)、景徳鎮昌南新区中熙投資合伙企業(以下“中熙投資公司”)、AGCセラミックス株式会社(以下“AGCC”)との合弁会社となる。セラミックス用バインダージェット方式3Dプリンターおよびセラミックス造形材料、その他補助材料の販売、セラミックス3D造形体の受託造形サービス、並びに教育・体験センター運営を行う。本社は中国の景徳鎮市で、AMSKYおよびAGCCとのパートナーシップにより、セラミックス分野での中国での新規市場開拓を狙う。

バインダージェット方式3Dプリンターでは、切削加工機では加工が難しい内部中空構造などの形状を造形できる。セラミックスの3D造形体を自由度高く造形できる上に、表面に釉薬を施すことにより、色彩表現も可能だという。

景徳鎮市は、中国江西省北部に位置する世界でも有数の窯業・陶芸の生産地でもある。セラミックスと窯業の関連性は深いため、伝統工芸品である窯業での利用も考えられるが、砂型・鋳型として幅広い産業用途が考えられる。ローランドディージーによると2026年の売り上げ目標を63.6億円と見込んでいる。

  • 造形直後のサンプル造形直後のサンプル
  • 釉薬を塗り、焼成したあとのサンプル釉薬を塗り、焼成したあとのサンプル

樹脂・金属に続くセラミックス分野での3Dプリンター活用

セラミックスは耐熱性、対薬性に優れる材料だ。絶縁性を持つが、半導体セラミックスのように伝導性を持つ材料もある。こうした特徴から様々な分野での利用がなされているが、高い形状の自由度を持ち、単位時間当たりの生産性が高いと言われるバインダージェット方式でセラミックスを加工することができれば、複雑な電子部品や全固体電池など高付加価値な部品製造での利用も期待できる。

日本企業も世界のAM市場を見据えて活動

中国が世界の工場として、安い早いだけではなく、高高度な加工や製品開発を進めるようになって久しい。日本の高機能材料や工作機械など強みを活かして独自の地位を維持しているが、現状ではすり合わせ技術の塊でもあるAM加工の分野では、技術的優位を築ける可能性がある。

今回取り上げたローランドディージーやAGCセラミックスらの合弁会社は、世界の部品調達にこたえる中国市場に足がかりを作ることで、世界進出につながっていく可能性もある。こうしたAMに関連する資本参加やM&Aの動きは他の企業も積極的に取り組んでいる。直近でいえばニコンがSLMソリューションズを買収したほか、相次いで海外サービスビューロへの資本参加を行っているし、カーボンに出資したJSRや、フランスにセラミックスの3Dプリンターを扱う企業を持つ新東工業全固体電池製造を3Dプリンティング技術で行うKercelに出資している武蔵精密工業など、日本企業の取り組みも活性化している。日本国内向けの需要は世界市場に比べると小さいわけで、輸出向けAM加工や海外工場でのAM製造での経済価値創出は今後も見逃せない打ち手だろう。

伊藤 正敏
シェアラボ編集部

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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