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宇宙探査を推進する3Dプリント ロケットノズルを開発 ― NASA

エアロスパイクエンジン用ノズル。

NASAとElementum 3Dが、金属3Dプリンターを活用して、独自に開発したアルミニウム合金製の新型ロケットエンジンノズルを製造した。この第4次産業革命のための反応性積層造形(RAMFIRE)プロジェクトは、アラバマ州ハンツビルのマーシャル宇宙飛行センターで取り組まれた。新開発されたアルミニウム合金「6061-RAM2」を使用し軽量化を実現することで、深宇宙探査のための技術的な進歩を感じさせる取り組みとなった。(上部画像はエアロスパイクエンジン用ノズル。出典:NASA)

3Dプリント製ロケットノズルは新アルミニウム合金「6061-RAM2」製

アルミニウムは密度が低いため、高強度で軽量な部品に活用できるが、極度の熱に対する耐性が低く、溶接中に亀裂が入りやすい欠点がある。そのため、これまでロケットエンジン部品の積層造形には使用されていなかった。今回新開発された新型アルミニウム合金「6061-RAM2」は、従来のアルミニウムと比較して高い耐熱性を有しており、この革新的な素材の採用でNASAとElementum 3Dは、高温にさらされるロケットエンジン部品の3Dプリントに成功した。

特に、内部に冷却チャンネルを備えたノズルは、極端な温度でも機能を維持し、溶解を防ぐ設計となっている。また、RPMイノベーション社製の大型造形可能な金属3Dプリンターを用いることで、千個以上の部品を組み合わせて製造していたロケットノズルを、一つの部品として迅速に製造することが可能になり、製造工程の効率化とコスト削減が実現されている。

NASAの月から火星へを目指す計画において、この軽量かつ強靭なノズルは、より多くの貨物を宇宙へ運ぶ能力を提供する。これは、長期間の宇宙ミッションや、より遠くの目的地への探査に必要不可欠な要素である。

RAMFIREノズル高温燃焼試験(出典:NASA’s Marshall Space Flight Center)

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深宇宙探査のための技術革新

NASAとその協力企業Elementum 3Dによるロケットノズルの軽量化と強靭化を実現した取り組みは、ロケットの運搬能力を向上させるとともに、短納期、コストダウンを実現した。このプロジェクトは、3Dプリンター技術と新素材の開発が深宇宙探索ミッションを大きく牽引し、航空宇宙業界がさらに成長する可能性の一端を示した。軽量で耐熱性の高い新型ノズルの開発は、深宇宙ミッションの実現に向けて重要なポイントだ。

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