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Ursa Major社とRTX社がAM技術を活用した次世代長距離ロケットモーターの飛行試験に成功

Ursa Major社のプレスリリース。

航空宇宙分野から軍需産業に舵を切ったUrsa Major社(アーサー・メジャー)と軍需産業大手RTX社(Raytheon Technologies Corporation:レイセオン・テクノロジーズ)は、米陸軍向けに開発した次世代長距離固体ロケットモーターの飛行試験に成功したことを明かした。両社は、デジタルエンジニアリングとAM技術の活用により、ロケットモーターの設計と開発を劇的に加速し飛行試験を成功に導いたという。(上部画像はUrsa Major社のプレスリリース。出典:Ursa Major社)

3Dプリンター技術が支える次世代長距離ロケットモーターの可能性

アメリカの軍需産業大手RTX社の陸上・航空防衛システム部門を率いるトム・ラリバーティ氏は、次のように述べている。「この長距離固体ロケットモーターは、米陸軍および同盟国に対し、敵の能力を上回る遠距離かつ迅速な攻撃能力を提供する。」さらに、「この技術は、射程の向上、安全性の確保、弾薬搭載数の増加を実現しながら、手頃な価格で精密な攻撃を可能にする重要な役割を担っている」と説明した。

一方、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに宇宙ロケット開発からミサイル用ロケット開発に舵を切ったUrsa Major社のCEOであるダン・ジャブロンスキー 氏は、同社が3Dプリンター技術を積極的に活用していることを強調。モーターの開発、製造、試験をこれまでにないスピードで進めており、今年だけで約300回に及ぶ静的試験を実施しているという。「3Dプリンターを活用することで、設計の自由度を大幅に高め、機動的で柔軟な固体ロケットモーターを製造している。この技術により、米軍の能力拡張に不可欠な高性能モーターを、迅速かつ予算に見合う形で提供できる」と述べた。

AM技術で効率的なロケットモーター製造

AM技術は、複雑な形状の部品を一体成形する能力や、軽量化、高機能化を可能にする点で、伝統的な製造技術を凌駕している。Ursa Major社とRaytheon社は、これらの利点を最大限に活用し、ロケットモーターの製造プロセスを大幅に効率化している。

2026年の認証を目指す計画

今後、両社は製造工程のさらなる改善を進め、2025年には追加の飛行試験、2026年には正式な認証を目指す計画である。2023年には、RTX VenturesがUrsa Major社に出資し、3Dプリンターを活用したロケットモーター技術の開発を支援していて、両社は国家安全保障上の重要な課題に対応し、手頃な価格の精密誘導弾薬の迅速な開発を実現させている。ロシアのウクライナ侵攻でミサイル供給能力の拡大が求められる中で、Raytheon社は、Ursa Major社の3Dプリンター技術を採用し、より手頃な価格で長射程ロケットを米陸軍に提供する能力を強化した形だ。

3Dプリンター技術で切り拓く次世代スマート兵器の可能性

Ursa Major社とRaytheon社は、3Dプリンター技術を活用して生産性と設計の柔軟性を向上させることで、次世代のスマート兵器を生み出す先駆者となっている。この技術の活用は、米陸軍にとって射程や精度、安全性を向上させるだけでなく、製造コストの削減にも大きく貢献している。

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