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3Dプリンターでサステナブルで透明な大型造形を実現 ― 三菱ケミカル

3Dプリンターでサステナブルで透明な大型造形を実現 ― 三菱ケミカル

三菱ケミカルは横浜市にある三菱ケミカルグループの研究開発拠点「Science & Innovation Center」内に、バイオエンプラ「DURABIO™(デュラビオ™)」 を用いた3D プリント樹脂ベンチを設置したと発表した。制作には竹中工務店、エス.ラボ株式会社、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) 田中浩也 研究室も参加し、材料開発、設計、造形、空間演出などを分担して行っているが、照明をうまく取り入れた魅力的な空間づくりを訴求している。

新技術の課題は用途開発、ニーズの掘り起こしのために各社が協業

材料メーカー各社は3Dプリンター向けに材料を展開する取り組みを進めているが、3Dプリンターで製造された製品はまだ数少なく、具体的なニーズ開拓はまだ始まったばかり。今回の取り組みは材料特性を活かしながらも3Dプリンターでの造形の可能性を世に訴える取り組みだといえるだろう。

夜に映える光ベンチを各社の協業で実現

今回造形されたベンチの大きな特徴は、植物由来で透明である高付加価値素材「DURABIO™」の特性を活かした夜に映える空間演出を取り入れていることだ。

アクリルより耐熱性、難燃性がつよく、ポリカよりも透明で耐候性に優れる新素材DURABIO(三菱ケミカルのWebサイトより)

建築空間のトータルデザインに優れる竹中工務店が、多面体同士の角度やベンチの座面の水勾配などを踏まえたパラメトリックスタディという手法で設計に取り組み、9種類の異なる形状の 3D モデルを作成。3Dプリントを実現するツールパス設計、およびベンチの模様となる表面特殊効果のテクスチャ設計・デザインを慶應義塾大学 SFC 田中浩也研究室が担当し、エス.ラボ株式会社が超大型ペレット式 3D プリンター「茶室」で造形を行ったという。

慶応大学の田中研究室による意匠デザインも3Dプリンターならでは

またそれぞれのベンチの形状に合わせた照明計画を株式会社竹中工務店が行い、夜間は敷地内に点在するベ ンチがやわらかな光とともに屋外空間を演出している。

新素材を使った新感覚の用途提案。商業空間を彩る映えスポットの予感

新技術、新素材は機能性に優れ新しいことができる価値を内在していても、どう使えばどのように事業価値が向上するか明示できなければ、需要に結びつかない。アクリルよりも耐熱性、難燃性にすぐれ、ポリカよりも透明で耐候性が高い生物由来材料といっても、製造コストを考えると採用が難しいと判断する顧客層も多いことが予想される。

しかし、今回のような人を惹きつける「映え」を演出する仕掛けとして造形の自由さや空間の魅力を提案した取り組みは、多くの商業施設関係者や建築関係者に強く訴求できる可能性がある。3Dプリンターによる造形自由度の高さを活かした空間演出の可能性は、ハイブランドや商業施設、美術館などの公共空間などへの提案も考えられるだろう。数年後には多くの公共施設のエントランスに3Dプリントされたベンチが置かれているかもしれない。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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