DIORがHP社の3Dプリンターで制作した新作シューズのビジュアルを公開。材質はTPU.
DIORでチーフメンズフットウェアデザイナーを務めるThibo Denis氏が、2023年1月21日に、自身のInstagram上で3Dプリンターで制作したシューズを公開した。公開したのは、ダービーブーツとミドルカットブーツの2型である。日本HP社によると本シューズはHP社の樹脂3Dプリンターで造形されており、TPUを材料に使用しているという。
Instagramで公開された2つの3Dプリントブーツ
この靴は、DIORの2023年秋冬のファッションショーとパリファッションウィークでのプレゼンテーションで展示された。
Thibo Denis氏は自身のInstagramで、3Dプリンターで制作したダービーシューズとミドルカットブーツを公開した。
Instagramのこの投稿には1万近くの「いいね!」が寄せられ、ファンの期待の高さがうかがえる。
またDIORのYouTubeチャンネルでは、ブランド担当者が「元モデルをスキャンし、テクスチャを選び、3Dプリントされた素材の厚さも考慮しながら、より分厚いシルエットを得るための調整を行った」と詳細を語っている。
3Dプリントだからこそ実現できる複雑高精度なデザイン
近年、アパレル業界3Dプリンターを用いた商品制作が活発に行われている。その理由のひとつに、複雑な形状を高精度に再現できる点がある。金型を必要としない3Dプリンターなら、3Dデータさえあれば複雑な形状のものでも容易に制作できる。高い付加価値が求められるハイブランドでは、特に大きなメリットとなりそうだ。
動画でもわかるように、このシューズは一体造形されており、製造にはHP社の3Dプリンターが利用されている。シェアラボ編集部が日本HPに独自に取材したところ、材料は粉末材料のTPUで、HP社独自のマルチジェットフュージョン方式で造形されていることが分かった。
HP社のマルチジェットフュージョン方式は、エージェントと呼ばれる接着剤を吹き付けながら熱をかけ溶融させることでワークを造形する方式だ。シューズに求められるクッション性や履き心地を実現するために、TPU材料を用いているという。その後、後処理工程で硬化と着色を加えることで、写真のような仕上がりを実現しているという。
本シューズはあくまでもファッションウィーク用の参考モデルで、実際の販売は未定。スポーツシューズメーカーが限定モデルでオンライン販売すると即日完売するほど高い注目を集める3Dプリントシューズだけに、DIORファンだけではなく、世界中のファッション愛好家が注目しているといえるだろう。
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