再生コンクリートを用いたロッキングプランターでサステナブルデザインを実現

米ペンシルバニア州のカーネギーメロン大学は、ExOne社製のバインダージェット3Dプリンターを用いて、再生コンクリートを材料とするロッキングプランターを作成したと発表した。
従来のコンクリートが環境に与える影響
サステナブル社会の実現に向け、建築業界も大きな変革を迫られている。
コンクリートは鉄鋼、アルミニウム、プラスチックなどの建築材料に比べて、二酸化炭素排出量がはるかに少ない。しかし、その多くが再利用されずに廃棄されてしまう。
また、コンクリートは成形における無駄が多く、細かな加工は難しい。これら欠点は、二酸化炭素排出が少ないという利点を相殺してしまう。
こうした現状の解決に期待を集めているのが、3Dプリンターを用いた再生コンクリートの活用だ。
3Dプリンテッド再生コンクリート

カーネギーメロン大学 建築学部準教授の Dana Cupkova は、ExOne社製のバインダージェット3Dプリンターを使用して、コンクリート材料の再利用と環境に優しい建築の提案を行っている。
ExOne社製の3Dプリンターは、従来より無駄なく、少ない量でコンクリートを成形することができ、材料を再利用することが可能だ。
バインダージェット方式は従来のコンクリート成形では難しかった細かな加工を簡単に施すことができ、デザインの自由度を高めた。これは3Dプリンターならではの利点だ。

ExOneとバインダージェット方式については、ShareLab NEWSでも取り上げた ExOneがバインダージェット3Dプリンター「InnoventPro」をリリース をご参照いただきたい。
ロッキングプランター
Cupkova準教授の研究グループは、再生コンクリートを用いたプランターを作成し、ピッツバーグのヘーゼルウッドグリーンサイトコミュニティガーデンに設置した。
このプランターは、ゆりかごのように揺らめく非対称的なデザインが特徴だ。表面には生体由来の樹脂がコーティングされている。雨水を蓄えることができ、自然に植物が生育できるような構造最適化がなされている。
魅力的なデザインでエクステリアとしての機能も併せ持ち、子どもが乗って遊ぶことも可能だ。


このような複雑な構造をコンクリートを使って実現できた背景には、3Dプリンターの寄与も大きい。コンクリートの3Dプリンティングはその自由度を増し、今後さまざまなデザインが生み出されることを予感させる。
Cupkovaらは、地元解体業者と協力して廃棄物からコンクリートへ再利用する流れの構築も始めた。彼女はこれからの建築業界に対し、ライフサイクル全体を見直し、再利用も考慮した設計を促し続けている。
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