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建設用3Dプリンターに適用できる環境配慮コンクリートを日本で初めて開発-大成建設

大成建設

大成建設株式会社(以下、大成建設)が、日本初となる「建設用3Dプリンターに適用可能な環境配慮コンクリート」を開発した。開発したコンクリートで造られた建設部材は、2023年度中に、大成ユーレック株式会社川越工場のリニューアル工事に適用される予定だ。

環境配慮コンクリートとは

環境配慮コンクリートとは、製造の過程で排出されるCO2の少ないコンクリートのことである。大成建設がこれまでに開発してきたコンクリート(「T-eConcrete」 「T-eConcrete/Carbon-Recycle」 )や、建設用3Dプリンティング技術などの知見を組み合わせて造られている。

「T-eConcrete」 は 産業副産物の高炉スラグやフライアッシュなどを混合して造られたコンクリートである。
セメントで造られたコンクリートと比べて、製造過程で発生するCO2排出量を最大80% 削減できるのがメリットだ。

「T-eConcrete/Carbon-Recycle」 は、 大気中に排出されたCO2 を活用して造られた「カーボンリサイクル・コンクリート」である。 CO2から炭酸カルシウムを製造し、 高炉スラグ主体の結合材を合わせて固化させることで、 コンクリート内部にCO2を固定させている。
「T-eConcrete/Carbon-Recycle」 をトンネル・研究施設・工場などの建築物に適用した実績もある。

また、2018年からは、省人化施工が可能な建設用3Dプリンティング技術「T-3DP(Taisei-3DPrinting)」の開発を進めている。「T-3DP(Taisei-3DPrinting)」 は、特殊なセメント系材料と 独自開発ノズルを組み合わせ、 型枠を使わずに複雑な形状の建材を自動製造できる技術である。型枠を使わずに材料を押し出しながら積層し、多種多様な製品を短時間かつ高精度に制作できるのが特徴だ。
省人化や生産性の向上とあわせて、 環境負荷の低減にも貢献する技術として大きく注目されている。

環境に配慮した多彩なデザインや機能を有する部材の設計と3Dプリンタでの製作過程 出典:大成建設
環境に配慮した多彩なデザインや機能を有する部材の設計と3Dプリンタでの製作過程 出典:大成建設

これまで、環境配慮コンクリートは3Dプリンターへの適用が困難であった。
しかし、 環境配慮コンクリートの特性を踏まえ、その構成材料の組み合わせや配合比率などを調整することで、最適な粘性と流動性を保つ環境配慮コンクリートの開発に成功した。

新開発の環境配慮コンクリートの特徴

今回開発された環境配慮コンクリートは、炭酸カルシウムを使用することで、一般的なコンクリートと比較してCO2排出量を160~350kg/m3削減できる。大気中のCO2から製造した炭酸カルシウムを用いた場合は、CO2排出量の収支は-50kg/m3程度のマイナスとすることが可能だ。

3Dプリンティング技術を用いた多機能什器の製作事例 出典:大成建設
3Dプリンティング技術を用いた多機能什器の製作事例 出典:大成建設

今後は、「建材製作と施工のバリエーション拡大」「デザインの高度化」などを進め、多彩な環境配慮建材の提供と施工技術の実用化を通じてさらなるCO2排出量の抑制と脱炭素社会の実現に貢献していく予定だという。

ShareLab NEWSでは、建築業界における3Dプリンターの活用事例を取り上げてきた。
これまでの記事を以下のリンクにまとめてあるので、併せてご覧いただきたい。
https://news.sharelab.jp/category/cases/construction/

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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