アズワン、三井金属鉱業、Lithozがファインセラミックス3Dプリント受託サービスを開始
アズワン、三井金属鉱業、Lithozの3社は協働し、ファインセラミックス3Dプリントの受託サービスを開始した。
セラミック材料と3Dプリンター
陶磁器に代表されるセラミックスとは、広義には無機物を焼結させた酸化物を指す。その特徴として以下のようなものが挙げられる。
・金属にも劣らない強度
・金属にない耐薬品性や絶縁性など
・金属以上の熱耐性
・軽量
・安価
セラミックスのうち、微粉末を原料とし、組成や形状、製造工程を精密に制御したものをファインセラミックス(またはニューセラミックス)と呼ぶ。
ファインセラミックスは、高い耐熱性を生かしてスペースシャトルの表面構造材として使われたり、優れた機械特性を生かしてナイフとして使われたり、と非常に多くの用途が存在する素材だ。近年、ファインセラミックスを使った新たな取り組みとして、3Dプリンターの造形用材料として利用する動きが広がっている。
Lithozの3Dプリント技術
3Dプリンター造形に用いられる材料として最も一般的なものは、樹脂だ。強度が熱によって変化しやすい樹脂材料は、融解させて成型する、もしくは焼結させるときの温度が比較的低温で良いため、成型が容易い。
次にメジャーな3Dプリント材料としては金属が挙げられるが、3Dプリント成型には樹脂材料より大きなエネルギーが必要となり、成型が難しい。
上記のような観点から、金属以上の熱耐性を有するセラミックスは、3Dプリント成型が大変難しい材料と言えるだろう。
そこで、Lithozは熱による成型ではなく、光重合を用いることで、連続的なセラミックスの3Dプリントを可能にした。
LithozのLCM(Lithography-based Ceramic Manufacturing)技術は、セラミックス前駆体粉末を含む分散液を平面的に配置した後、選択的に光を照射することで、照射部をセラミックスに変換する。この技術を用いることで、高い生産性、十分な機械的強度、高精度、高再現性を実現した。
ファインセラミックス3Dプリント受託サービス
現在でも、航空宇宙、歯科・再生医療、電子部品分野などで重要な役割を持つファインセラミックスであるが、3Dプリンター技術で既存の製造方法を代替することにより、より複雑な形状や高い生産性を実現できる可能性を有する。
しかし、3Dプリンターの中でも、セラミックス利用はまだまだ発展途上の分野だ。セラミックスを活用して部品を生産しているメーカーのみならず、Lithozのような技術サプライヤーさえ、その可能性を把握しきれていない。
そこで、アズワン、三井金属鉱業、Lithozの3社は協働でセラミックス3Dプリント受託サービスを開始した。拡大するセラミックスへの需要に応えるとともに、市場の要求を把握する狙いがあると考えられる。
アズワンは「科学」・「医療」を中心とした理化学機器販売の総合商社だ。本協働事業では、顧客の需要を広く吸収する役割を担う。
一方、三井金属鉱業はセラミックスのスペシャリストであり、技術的な知見を広範に蓄積してきた。3Dプリンターを用いたファインセラミックス造形に技術的な支援を与えることだろう。
現時点で対応可能な材料はアルミナだけだが、ジルコニア、シリカ、窒化ケイ素、アパタイトなどの材料についても順次立ち上げを予定している。
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