パリ・ファッションウィーク2022で3Dプリンター製ハンドバッグが登場!
スコットランドの高級バッグブランドROCIOが、3Dプリンターで作製されたバッグを発表。このバッグはスコットランド国立製造研究所(NMIS)との研究開発プロジェクトで、ブランドのハンドバッグをより持続可能な製造技術にするために作られた。
スコットランド国立製造研究所(NMIS)とROCIOのプロジェクトについて
NMISのリサーチ&デザインエンジニアであるAndrew Brawley氏は、NMISの主な目的について「中小企業を支援し、地域経済や産業全体に良い影響を与えることです」と述べている。
また「私たちは、中小企業がイノベーションを起こし、業界のニーズに応える新しい製品やサービスを開発するための支援を行う専門チームを有しており、このROCIOプロジェクトはその代表的な例です。この新しい試みが無限の可能性を示すものであり、これがROCIOのチームとの長い信頼関係の始まりになることを願っています」と続けた。
バッグブランドROCIOはより持続可能な新しいハンドバッグの製造方法を模索するため、NMISと研究プロジェクトを立ち上げ、自社のクラフトマンシップとNMISの技術力を融合させることに成功した。このプロジェクトではバッグの内部構造を開発し、それを基に高級な布地を作ることに焦点が当てられた。
ちなみに、NMISは2020年に 世界最大の航空宇宙機器開発メーカーであるBoeing(ボーイング)と 6万平方フィートを超える広大な 3Dプリンティング研究開発施設をオープンするなど、 他企業と提携し3Dプリンターを活用推進を行っている。
なぜ3Dプリンターを採用したのか
ROCIOが持続可能性を追求するにあたり3Dプリンターを導入した理由には、顧客の需要に応じたスケールアップが可能であることと、デザインプロセスの自由度が高いことが挙げられる。
特に、既存の製造方法では不可能な、さまざまな素材やデザイン構造を検討できる点が大きなメリットになった。
プロジェクトの一環として、3Dプリントによるプロトタイプが作成され、そしてそれはスペインのファッションビジネススクールのアトリエがROCIOのハンドバッグのレザーバージョンを作成するために使用された。3Dプリントによるデザインプロセスのおかげで、ブランドを代表する木製ハンドバッグと同じ構造が再現され、その美的特徴やシルエットを維持することが可能になった。
ROCIOのクリエイティブ・ディレクターであるHamish Menzies氏は、「私たちは、この結果にとても驚いています。私たちは、サステイナブルファッションの中心であり、それぞれのアクセサリーがユニークでクリエイティブな傑作であることに誇りをもっています。このユニークなレザーハンドバッグのコンセプトは、構造化されたアートフォームに傑出した美しさをもたらし、デザインの限界を押し広げるものだと信じています」と述べた。
新しく生まれ変わったレザーハンドバッグは、パリ・ファッションウィークのキャットウォークでデビューし、ファッション業界のグローバルな舞台で披露される、3Dプリントを使った最新の創作物となる。
「私たちにとって、3Dプリントされたプロトタイプの使用を検討することは、長期的にはコスト、時間、材料の面でより効率的です。この技術を使用することで、私たちは、この業界の将来の能力を引き出し、受け入れながら、さらに持続可能な努力を改善することに一歩近づくことができます」とMenzies氏は続けた。
ファッション業界における3Dプリンターの活用事例
3Dプリント技術がファッションの世界に活用されることは珍しくなくなっている。ShareLabNEWS編集部では、過去に3Dプリントされたジュエリーやフェイスシールドについても取り上げているので、ぜひご覧いただきたい。
今回は3Dプリント技術がファッションにおける持続可能性に貢献する可能性について取り上げた。3Dプリントだからこそ作成可能な複雑な構造を持つ製品は、今後ますます重宝されることになるだろう。
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ファッション業界×3Dプリンター
独自のデザイン性の高さを存分に発揮できる3Dプリンターは、ファッション業界で活用が進んでいる。
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。