Ankerが3Dプリンターブランドを新規立ち上げ、800万ドルの資金調達。2022年冬頃に国内販売予定
中国に本社を置き、充電関連製品を展開していることで知られるAnker社が、3Dプリンターに特化したサブブランド「AnkerMake」を立ち上げた。既にクラウドファンディングでの資金調達は記録的大成功を収めており、今後は2022年冬頃に日本での販売を開始する予定だ。販売価格は税込99,990円。
(画像はAnker社初の3Dプリンター「AnkerMake M5」 出典:Anker社)
目標をはるかに上回る800万ドルを達成
Anker社は今年4月に3Dプリンター市場への参入を発表し、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」でプロジェクトを公開した。目標金額となる5万ドルをプロジェクト公開後1時間足らずで達成し、最終的には約1万1千人の支援者から、合計800万ドル以上の資金調達に成功した。Anker社初の3Dプリンターとなる「AnkerMake M5」は、今後日本市場への投入も決定しており、販売は冬頃になると発表された。
「AnkerMake M5」の特徴
Anker社の新ブランドとなるAnkerMakeは「その人が持つ、クリエイティビティの最大限の発揮をサポートする」をコンセプトにしており、今回の3Dプリンター開発は「完成までの待ち時間を改善したい」「細部の仕上がりに対して不満がある」といったユーザーニーズの解決を目指したものだとしている。
新型3Dプリンターの「AnkerMake M5」の印刷方法にはFDM方式(熱溶解積層方式)が採用されている。樹脂を熱で溶融し、ノズルから吐出して層を形成する工程を繰り返し、一層ずつ積み重ねて造形する方式だ。本体サイズは約502×470×438mm (フィラメントホルダー部を除く)で、重量は12.4kg、最大造形サイズは250×235×235mmとなっている。
AnkerMake M5は印刷スピードと精度、簡単なセットアップ方法に特徴がある。AnkerMake M5は同等サイズの一般的な家庭用3Dプリンターよりも5倍速い秒速250mmの3D印刷が、独自のノズル機構とアルゴリズムにより、誤差0.1mmの高精度で可能だ。また、箱を開けてから約15分で完了する簡単な組み立て構造で、印刷する度に面倒な調整も必要ない。
専用ソフトウェアやUSB、スマホアプリを経由した多様なデータ転送方法も可能で、本体にも4.3インチのタッチパネルが搭載されているので、初心者でも直感的に操作できる。
AI認識機能付きのカメラが搭載された業界初の3Dプリンター
AnkerMake M5には3DプリンターをモニタリングするためのAIカメラが搭載されている。これは多ジャンルのデジタル関連製品メーカーであるAnker社ならではの機能といえるだろう。AIカメラではプリント工程の常時モニタリングが可能で、プリントを行う元のデータと実際の出来上がりをリアルタイムで整合させられる。また目詰まりなどの発生時にはすぐに作業を中断させることもできる。
3Dプリンターでの出力時間は造形するモデルのサイズによっては左右され、数時間かかることもある。印刷中にミスやトラブルがあれば大きな時間ロスになってしまうので、リアルタイムでデータ整合可能な点は大きな安心感がある。AIカメラを監視カメラとして使うだけでなく、タイムラプス映像を残してシェアすれば、造形した製品のアピールにつなげるといった活用も可能だ。
3Dプリンター業界への大手企業の参入が、今後どのような動きにつながっていくのか注目していきたい。
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