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京都のAM企業YOKOITOがドイツの樹脂AM後処理装置メーカーDyeMansionとパートナー契約

京都のAM企業である株式会社YOKOITOは、ドイツの樹脂AM後処理技術の装置メーカーであるDyeMansionと装置販売、後処理加工のパートナー契約を結んだ。YOKOITOは後処理システムの国内総代理店として装置販売を行うとともに、DyeMansionの設備を導入し、造形物のクリーニング・染色・研磨・物性強化などの後処理工程サービスを提供する。

後処理工程はAM製造形物の仕上がりを決定づける重要な工程

製品の品質を重視する日本の製造業者にとって、3Dプリンターで造形した部品に残る積層痕の処理は3Dプリンター活用上、無視できない工程だ。試作の場合、やすりをかける、溶液で溶かすなど手で加工すると膨大な時間がかかる。NC加工を入れようとすると段取りだけでも少なくない時間がかかる。積層痕をいかに簡便に定型的に処理するかは製造工程上の大きな課題だ。

EOSグループ傘下のDyeMansionが提供する後処理用装置ラインナップ

そんな課題に取り組んでいる企業がDyeMansionだ。 DyeMansionはEOSグループ傘下のAM企業対象のベンチャーファンドであるAM Venturesが出資するドイツの後処理装置メーカーで、BMW、SAMSUNG、DAIMLERやUNDER ARMORなどをはじめとして世界600社以上の導入実績を持つ。樹脂部品の染色から始まった同社の取り組みは、クリーニング・表面処理・染色の一連の技術からなる、”DyeMansion Print-to-Productワークフロー”と呼称する後処理工程を体系化するまでに至っている。

DyeMansionの装置ラインナップ
パウダー除去、物理研磨、化学研磨、染色と後処理装置をラインナップするDyeMansion

DyeMansionのパウダー除去|【Powershot C】クリーニングシステム

 DyeMansionのパウダー除去|【Powershot C】クリーニングシステム

PBF方式の3Dプリント品は、造形直後は、パウダーまみれになっている。その造形物をブラスト処理し、粉を落とす作業は手動で行われる作業で、手動で対応している現場も多いはずだ。

装置に投入して自動ブラスト処理を行うだけで、粉が落とすことができれば、中規模から大規模に3Dプリント品を造形する際に、必要となる加工時間と生産の人員を削減できる。

DyeMansionの 表面処理(物理研磨)|【Powershot S】表面処理システム

DyeMansionの表面処理システム【Powershot S】

PBF方式で造形された樹脂造形物の肌がざらつくことは珍しくない。このざらつきを物理的に研磨し平滑にするのが表面処理システムだ。

独自のポリショットサーフェイシング(PSS)技術により、PA12やPA11などの硬質プラスチックの表面の凹凸を均等化する。

バレル研磨のような時間のかかる研磨方法とは異なり、自動かつワンサイクル10分という短時間での表面処理を可能にし、3Dプリント品の品質向上を効率的に実現できるという。

「10分で済むならお願いしたい」、そんな作業者も多いだろう。

DyeMansionの 表面処理(化学研磨) |【Powerfuse S】表面処理システム(蒸気研磨システム)

  DyeMansionの 表面処理(物理研磨) 【Powerfuse S】表面処理システム(蒸気研磨システム)

樹脂造形物を研磨するもう一つのアプローチが化学薬品で表面を溶かし平滑にする化学研磨だ。エコフレンドリーな溶剤を用いることにより安全に造形品の表面処理を行い、射出成形品と同等の表面品質の実現をめざす。同時に造形物の気密性や耐摩耗性など多くの性能向上も図ることができる。溶剤は自動的に回収されるため、化学廃棄物がなく持続可能性の高い、環境に優しいシステムとなっている。

DyeMansionの 染色処理 |【DM60】染色システム

DyeMansionの 染色処理 |【DM60】染色システム

DyeMansion のDyeは染色を意味する。樹脂に色素を浸透させることで染め上げる DyeMansionの染色装置では
標準的なカラーデータベースから、オーダーメイドカラーまで多彩な色を指定して造形物を染色できる。Pantoneなどのカラーチャートに基づいた170を超える色に加えて、企業のコンセプトカラーから季節のトレンドカラー、個々の肌の色まで様々な色調を作成することで、フルカラーのAM造形機でなくても多彩なカラーを実現できる。

3Dプリンターを使ったモノづくりに必要になる後処理工程

装置の進化で造形物の表面性はどんどん滑らかになっていくが、パウダー除去、研磨、染色、コーティングなどの工程は今後も残っていくし、求められる機能も高度化していく。3Dプリンターを利用して造形や加工を行う企業は、従来加工で培った技術で対応する一方で、 DyeMansionのような専用装置メーカーの装置を導入することで、対応することになるだろう。

今回の DyeMansion との提携で、その先鋒に躍り出たのがYOKOITOだ。YOKOITOは、Formlabs社の光造形方式の樹脂3Dプリンター販売で成長してきた。2021年からは光造形方式以外にもFuse1(FormlabsのSLS方式3Dプリンター)での受託造形に取り組み多くの造形実績を積んできたが、その実績をもとにFormlabs以外のSLS機の導入も始めている。日本でも最終部品製造のために3Dプリンターが用いられ始めていることを肌で感じている企業といえるだろう。そのYOKOITOが真正面から取り組んだのが「後処理工程」だった。

パウダーベッド方式(PBF)はバインダージェット方式が普及するまでは、最終部品製造のもっとも有力な選択肢だ。造形精度の面で射出成型に及ばない場合でも、後処理を行うことで、そん色ない仕上がりを実現できる。そうなると3Dプリンターの金型コストや金型を起こすリードタイムが不要であるという長所がより光ってくる。顧客からの引き合いが増えれば、サービスビューロ各社も仕上げ加工の自動化のために DyeMansion のような後処理装置メーカーの製品への投資を惜しまないはずだ。

こうした後処理市場の成長のカギを握るのが、買いやすい場の創出と丁寧なサポートだ。YOKOITOが持つ3Dプリンター販売、造形受託の実績を活かした後処理分野での展開に期待したい。


伊藤 正敏
シェアラボ編集部

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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