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CTスキャンと機械学習により、3Dプリント部品の品質検査を効率化

ZEISS社のアディティブ・マニュファクチャリング技術責任者Claus-Hermannstadter氏(左)とORNLのエネルギー科学技術担当暫定副研究所長Rick-Raines氏

ドイツの光学機器メーカーのZEISS社が、かねてより研究パートナーであったアメリカのエネルギー省管轄のオークリッジ国立研究所(以下、ORNL)と、ORNLの機械学習アルゴリズム「Simurgh」を、工業用X線CTスキャンによる3Dプリント部品の品質評価に使用することを認める5年間のライセンス契約を締結した。

CTスキャンに機械学習を用いることで、3Dプリント部品の検査にかかる時間とコストを10倍以上削減し、品質を向上させることが期待される。(上部画像はZEISS社のアディティブ・マニュファクチャリング技術責任者Claus Hermannstädter氏(左)とORNLのエネルギー科学技術担当暫定副研究所長Rick Raines氏。出典:オークリッジ国立研究所)

CTスキャンに機械学習を組み合わせて検査コストを下げる

CTスキャンは、金属3Dプリント部品の内部に不具合がないかをチェックするための手法として、一般的に用いられている。CTスキャンを使うことで部品内に閉じ込められた粉末や亀裂、その他の変形など明らかにできる。

部品を破壊することなく検査できる点に大きなメリットがあり、工程エラーの特定や製造方法の改良、出荷前の欠陥部品チェックなどに重宝されている。

しかし、CTスキャンには、費用と時間の2つが大きくかかってしまう点にデメリットがある。ZEISS社はORNLの機械学習アルゴリズムSimurghとCTスキャンを組み合わせることで生産ラインに導入できるほどのプロセスの高速化と、コスト削減を狙う。最終的には、すべての部品を迅速かつ確実にCTスキャンできるようにすることで、3Dプリントが持つ能力を最大限発揮することを目指すという。

ORNLの機械学習アルゴリズムSimurghは、精度を高めながら検査コストを10分の1に減らせるよう設計されたツールだ。製造業界では部品固有の検査が急増しており、Simurghはそれらの検査の効率化に貢献することが期待されている。

今回のライセンス契約では、金属3Dプリント部品における、粉末の閉じ込め、閉塞、亀裂などの、問題につながる可能性のある形状を識別するよう、訓練されたアルゴリズムを使用する。

この場合、Simurghの機能はCTスキャンにとどまらず、走査型電子顕微鏡のデータにも対応していているという。部品がスキャンされると、Simurghは機械学習、特にディープラーニングを採用し、エラーが発生しやすい部分を自動的に分析し、ピンポイントで特定する。機械学習を活用することで、システムはスピードと精度の両方を向上させながら、計算コストを最適化するという仕組みだ。

航空宇宙や医療分野では3Dプリンターによる重要部品の生産が急増しており、それにつれてCTスキャンの役割も拡大、システムの売り上げを伸ばしている。

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