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金属3Dプリンターで量産実現を目指す―Desktop Metal

2020年2月26日から28日までの3日間にわたって開催される「日本ものづくりワールド」。設計製造ソリューション展(DMS)とあわせて、第2回次世代3Dプリンタ展を見に行こうと思っていた方も多いのではないか。新型コロナ大流行のリスクを重く見て、出展を取りやめた企業も相次いでいるし、来場者も非常に少ない状況である。

だが、そんな中でも出展している企業は気合が入っていて、見応えがある展示が多い。シェアラボ編集部では、泣く泣く次世代3Dプリンタ展への来場を取りやめた方のために、会場での見どころを紹介していく。


巨額の資金を集める3Dプリンター関連企業のユニコーン企業の一つ、Desktop Metal(デスクトップメタル)社。当社は日本法人を持っておらず、日本での販売は、丸紅情報システムズ社やアルテック社などの技術商社が担当しているが、ちょうど次世代3Dプリンタ展の展示ブースにアジアパシフィックのダイレクター CK Kan氏が来日していたので、カスタマーサポートスペシャリストのゴウイ氏の通訳をはさんで、お話を伺うことができた。

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――デスクトップメタルには日本法人はありません。日本のユーザーにはまだなじみがないので、簡単に自己紹介をお願いします。

「私たちDesktop Metal(デスクトップメタル)は2015年に創業したアメリカの会社です。Google、パナソニック、BMWなどからも出資を受けています。MIMの技術を活用して、金属3Dプリンターを製造しています。社員は全世界でも二百数十名程度です。 機材の操作に対する専門的な知識が無くてもモノづくりができるようなシンプルな操作性を実現するために、ソフトウェア・ハードウェアを一体的に開発しています。造形、脱脂、焼結が3つの機材に分かれていますが、出力したい設計データに対して、適切な脱脂時間の指定や焼結条件の設定を統一的に行うソフトウェアの開発もしています。」

デスクトップメタル社の金属3Dプリンターシステム「Studio System ™」
左から3Dプリンター、脱脂機器、焼結機器

金属3Dプリンターを試作だけに用いるのはもったいない!

――多くの企業がAM技術に注目しています。そんな中でデスクトップメタル社はどんなことを目標に活動していますか?

「3Dプリンターは、製品設計者がモノづくりを実現できる強力なツールです。金型が不要で、必要な時に必要な量を製造できる。ラティス構造など、従来難しかった造形が可能であり、製造業の改革に大きなインパクトを持っています。ですが、現在の金属3Dプリンターは、高額で、専門的な操作スキルが必要、かつ、導入のハードルが高い。また、試作品や単品製品を精度を高く作ることを目的にしていて、金属3Dプリンターを用いた量産を視野に入れている機種は、まだほとんどありません。」

Studio Systemt™, Shop System ™ , Production System ™ シリーズ
それぞれの造形サンプルと造形できる体積を展示

「私たちはこの状況を変えるために、手が届く価格帯で、操作が簡単で、かつ、量産を視野に入れた機器の開発を行ってきました。」

「ジェネレーティブ・デザインやラティス構造のように、積層造形を前提としたデザインは、ものづくりに大きな革新をもたらす可能性を秘めています。しかし、3Dプリンターの活用が試作用途に留まり、最終製品の量産に使えないままであれば、もったいないと思いませんか? DfAMに基づいた革新的な設計を行って、内部中空構造や今まで使えなかった造形材料を使う『すごい製品』を試作しても、生産設備が対応していないので量産できない。それでは試作する意味もありません。そこを私たちが変えたいと思っているのです。」

小規模量産用の「Shop System™」で一度に造形できる体積を展示。
一度に大量の複数部品が造形可能。

ポテンシャルが高い日本市場

「私たちは、航空宇宙業界や自動車業界のように高精度を求められコスト的にも高額な業界を見ているわけではありません。少数の大企業を見ているわけではありません。むしろ、世の中の多くの中小企業を視野に入れています。」

「日本の話をすると、今までは日本で設計して、中国に製造を委託する、量産工場を置くという生産体制が合理的でした。中国で人件費が高騰したり政治的な背景で状況が好ましいものでなくなると、量産拠点が南アジアに移っていった経緯もあります。しかし今回の新型コロナウイルス流行などのアクシデントは今後も起こりえるでしょうし、そういったリスク分散のために、生産拠点を国内にも持ちたいと考える企業も出てくるでしょう。」

「全ての部品や製品の製造を3Dプリンターで行う必要はありませんが、少量多品種生産を金型を使わずに内製できる3Dプリンターは、大きな可能性を秘めています。設計データがあれば、少量多品種生産が自動化できるのです。国内で付加価値が高い生産を、短いリードタイムで内製化することができるのです。そういった意味で、日本は私たちにとって特別な市場です。量産を意識した金属3Dプリンターを活用するポテンシャルが、 最も高い国の一つだと思っています。」

Desktop Metal社 アジアパシフィックのダイレクター CK Kan氏

焼結によるワークの縮小を予測するソフトウェアを開発中

――デスクトップメタル社の3Dプリンターは、造形後に、脱脂し焼結をします。その過程で、造形物が20%程度縮小すると聞きました。日本のユーザーの中でワークが歪むことを懸念する人が少なからずいると思います。そんな人たちにアドバイスはありますか?

ジェネレーティブデザインを実現できるソフトウェア「LiveParts」のデモ。
ソフトウェアも自社で開発しているという。

「ユーザーの懸念することは理解できます。現状では試作を重ねて、どこが歪んだかを確認しながら、設計者が造形用のデータを修正するしかありません。しかし、私たちはソフトウェアもハードウェアと一緒に開発しています。ジェネレーティブデザインを作成できるソフトウェア「Live Parts」というアプリケーションなどを開発している実績もありますので、その知見を活かして、焼結時の収縮をシミュレーションし、設計データに反映するソフトウェアの研究を続けています。開発中ですので、リリース時期は明言できませんが、Shop System™やProduction™のリリース時期に間に合えば一緒にリリースできるでしょう。」

***

デスクトップメタル社から非常に強い勢いを感じる。業界筋からは、一般的に金属3Dプリンターは、その焼結炉の調整が難航したり、ワークが輸送時に傷ついて出荷が遅れたりと、簡単には予想できない出来事も起こっていると聞いていたが、「量産を視野に入れた金属3Dプリンターでモノづくりを変えたい」というヴィジョンはシンプルに刺さる強さがある。

また、造形時にワークが歪む懸念などユーザーの不安の解消に取り組んでいる姿も、話を聞くうちに見えてきた。写真撮影はNGだったが、実際に収縮を加味して設計データを補正するソフトウェアのデモも見る事ができた。MIMに取り組んでいる日本企業では独自の焼結ノウハウを持っている企業も多いだろうが、これから金属3Dプリンターを導入しようとする企業にとっては心強い機能だ。早い段階でのリリースを期待したい。

樹脂3Dプリンター「Fiber」

会場では、「Fiber」という樹脂3Dプリンターの展示があった。これはアルミの造形で悩むユーザーの声に応えて、CFRP( 炭素繊維強化プラスチック )での造形を実現したものだという。強度と耐摩耗性を兼ね備えた素材を利用できるという事で、すでに顕在化し始めたアルミ代替素材を求めるニーズを一気に取りに行ける可能性がありそうだ。ユーザーの課題に対して柔軟に対応していく企業姿勢、資金力、技術力を垣間見た気がする。

現在は、試作・少量のサンプル生産を想定した「Studio System™」が販売されているが、今後「Shop System™ 」「Production System™ 」といったより量産を意識したラインナップが今年から来年にかけて販売を予定されている。

日本での発売からまだ間もないが、世界では数百台が稼働しているそうだ。日本では脱脂装置や焼結炉を都心のオフィスに置く事は難しいので、郊外の生産拠点での利用が主流になるかもしれないが、「Shop System™ 」 が市場に投入されるタイミングで一気に出荷が伸びるかもしれない。

ただし1400度を超える高温を内部でもつ焼結装置は消防法の「炉」に当たる為、設置には消防法への対応が必要になる。防火扉の設置や天井高がある一定以上ある事、など通常のオフィスでは要求を満たしにくい設備への要求項目があるようなので都心のオフィスの中に設置する事は難しいようだ。

現実的には都心の設計部隊がデザインしたstlデータを社内LAN経由で研究所や工場と共有し、工場側で造形・脱脂・焼結し、郵送するなどのやり取りになるかもしれない。

気になる購入方法だが、日本では丸紅情報システムズ社、アルテック社など複数の技術商社が販売を担当している。気になる方は問い合わせると良いだろう。

関連情報

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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