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大同特殊鋼が金型製作用3Dプリント材料「LTX™」を販売開始

大同特殊鋼LTX

大同特殊鋼は、金型製作用3Dプリント材料LTX™を開発し、2022年9月から販売を開始する。 LTX™は、造形ひずみに起因した割れを抑制し、金型金属として一般的に用いられるSKD61と同等の性能を示している。(画像はLTX™の説明。出典:大同特殊鋼HP)

3Dプリンターで金型を作る

鋳造は、産業用部品製造に広く用いられる生産方式だ。金型に溶けた樹脂や金属を流し込み、冷やして固める鋳造は、一度金型を作ってしまえば、以後、均質な製品を大量に生産できるという利点を持つ。

対して、近年登場した生産方式が3Dプリンターは鋳造と比較して大量生産に向かないが、部品の細かな仕様変更ができる。時代の移り変わりが激しく、より流動性が求められる近年の産業構造にマッチした生産方式と言えるだろう。

この2つの生産方式の「いいとこどり」をしよう、というのが3Dプリンターで金型を作る取り組みだ。3Dプリンターで金型を作り、鋳造を行う。そうすれば、素早い仕様変更と量産性能を両立することが可能だ。

この3Dプリンターで金型を作る動きは、少しずつ広がりを見せている。シェアラボでも樹脂の射出成型用金型を樹脂3Dプリンターで製造する取り組み(話題のAMで作る樹脂型「デジタルモールド®」に関して丸紅情報システムズに聞いてみた―丸紅情報システムズ)を以前取り上げたが、金属材料で金型に取り組む動きも始まっている。Exone社によると金属のバインダージェット方式でも99%の密度を実現できるというラボデータが国内でも取れているというし、松浦工作機械がパナソニックと取り組んでいるAM工法と切削工法を併用した取り組みや、オークマ社の金型補修の事例など金型分野でもAMを活用してメリットをだせるとする実践的な報告が増えてきた。

鋳造用金型製作に特化した3Dプリント材料DAP-AMシリーズ

そんな中、大同特殊鋼は金属3Dプリンター用粉末材料を投入している。大同特殊鋼のDAP-AMシリーズは、鋳造用金型製作に特化した3Dプリント材料群だ。

第1弾の「HTC™」は、高い熱伝導性を特徴とする。熱伝導性が高ければ、金型を素早く冷却でき、生産性を高めることが可能だ。同時に、熱による割れを防ぐ役割もある。

金属内部に熱勾配ができると、温度が高い部分はより膨張し、周辺を圧迫する。この力によって割れが生じてしまうのだが、HTC™では、その高い熱伝導性によって熱勾配の発生を抑え、従来品よりも優れた熱サイクル寿命を示した。

DAP-AMシリーズの第2弾 LTX™

LTXを用いた模擬型造形例(出典:大同特殊鋼)

DAP-AMシリーズの第2弾として9月から販売されるのが、「LTX™」だ。LTX™は、金型として広く用いられる「SKD61鋼(ダイス鋼)」と同様の組成だが、そのままでは3Dプリント材料として活用できないため、3Dプリント用に組成を調整してある。

3D造形した金型の性能は、通常製法によるダイス鋼金型と遜色ない。HTC™では、造形時のひずみが課題であったが、LTX™ではこのひずみを80%低減することに成功した。

HTC™は主にダイカスト(金型に溶融金属を圧入し、高精度・短時間の鋳造を可能にする方法)用途で実用化が進んでいたが、150mm以上の大型造形では割れが発生しやすくなることが分かっていた。LTX™はこうした大型造形にも問題なく対応できる。

今後は、小型・高速造形ではHTC™、大型造形ではLTX™という使い分けができるようになるだろう。

LTX™は日本をはじめ各国で特許出願済みで、日本国内市場のみならず広く海外にも視野を向けていることがうかがえる。もちろん日本国内でも今後新しく金型を製作する際に、冷却性を高めるための内部流路設計を3Dプリンターならではの設計を用いて行うことが増えるだろうし、入れ子の補修や別製品対応のための特注入れ子で対応するなど多品種少量生産への対応にも活用する局面が増えていくことは予想できる。また日本の優れた材料技術は世界でのニーズにも対応することができるだろう。

3Dプリンター向け材料分野の取り組みは樹脂も金属も活性化

3Dプリンターでよく使われる金属材料はこちらの記事(金属3Dプリンター | 材料から選ぶ3Dプリンター)でも紹介しているが、JIS規格に準拠した材料の種類は無数に存在するため、現在AM工法に対応している材料はごく一部だ。そうした中、国内外の金属材料メーカーは3Dプリンター用材料の拡充に動いている。今回の大同特殊鋼も、2019年から金属粉末製造に力を入れるべく、生産設備拡充をおこなっている。

現在でも複数の鋼種の取り扱いがあるが、ユーザー企業のニーズにあわせたラインナップの拡充は今後も続くことが見込まれる。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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