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大型品3D造形が可能なプラスチック金型用粉末を発売 ― 大同特殊鋼

⼤同特殊鋼株式会社のプレスリリース

大同特殊鋼株式会社は、3Dプリンター用金属粉末として、プラスチック射出成形金型に適した3Dプリンター用ステンレス系粉末LTX420を開発。2023年8月から販売を開始する。(⼤同特殊鋼株式会社のプレスリリース。出典:⼤同特殊鋼株式会社)

プラスチック射出成形用金型材料「SUS420J2系」に対応した金属粉末材料

プラスチック射出成形の分野では、耐食性や耐摩耗性が求められる金型に、高硬度が得られるSUS420J2系鋼材が用いられている。プラスチック射出成形金型の分野でも、サイクルタイムの短縮や成形品の品質改善を目的に、水冷孔を自由に配置できる3Dプリンタによる造形金型の使用事例が増えている。ただ、SUS420J2系金型材料は造形後に硬くなり割れやすいため、SLM方式の3Dプリンターでの造形が非常に難しい材料だ。

そのため、3Dプリンター造形時に特殊処理を施し、SUS420J2の造型割れを抑制する技術も開発されているが、この特殊処理は時間を要するため、造形時間が長くなるという課題があった。大同特殊鋼は2022年9月から販売を開始した大型造形を可能とする、ダイス鋼系3Dプリンター用粉末LTXの考え方を、SUS420J2系金型材料にも適用。造形時に特殊処理を行わなくても、連続的な造形において割れの発生を抑える。大型品の造形が可能な新たなSUS420J2系粉末を製品化することができた。

LTX420を用いた模擬型造形例(出典:⼤同特殊鋼株式会社)

3つの特徴

3Dプリンター用ステンレス系粉末LTX420は、耐食性や耐摩耗性が要求されるプラスチック金型に用いられる。SUS420J2系金型用鋼材を、SLM方式の3Dプリンターでの造形に適した合金組成に調整した粉末材料だが、その特徴は以下の3つだといえるだろう。

1. 120℃予熱で150mm

造形に適した合金組成を調整した粉末材料で、造形時に発生するひずみを大幅に低減した。熱処理などの追加工がなくとも割れを抑えるとともに、150mm以上の大型品の造形が可能となっている。配合としてはSUS420J2を改良した成分を有し、クロムを13%含有するうえ、予熱温度も一般的な金属3Dプリンターで対応できるレベルに抑えられている。

2. SUS420J2系金型材料とほぼ同じ性能

大同特殊鋼によれば、造形品はSUS420J2系金型材料と同等の性能と製造性を確保した同等品となっている。3D造形による金型冷却のメリットをそのまま活用可能になる。一方で高鏡面用途への適用は不可としている。

3. コバルトフリー

コバルトは特定化学物質障害予防規則などで健康障害防止措置が義務付けられている。粉末材料として利用する際には、空調設備などを整え、半年に一度作業環境調査を行い検査結果を30年保管する。一方で作業者への健康診断も必須で、設備面、運用面で大きな負担が発生する。そういった特定化学物質のコバルトを含有しないことで、利用企業の管理負担は軽減することだろう。

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