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木材の廃材でつくる3Dプリンター製家具 ― リコージャパン

東京ビッグサイトで6月に行われた次世代3Dプリンター展の写真

2023年6月19日からの3日間、アディティブ・マニュファクチャリング、3Dプリンター、材料、受託造形サービスなど、AMや3Dプリント技術に関する展示会「次世代3Dプリンタ展」が東京ビッグサイトで開催された。

今回はそのレポートの一つとして、リコージャパン株式会社のブースに展示されていた3Dプリンター製の家具と、家具素材を作製するリサイクルシステムについてお届けする。画像は東京ビッグサイトで6月に行われた「次世代3Dプリンタ展」の写真(ShareLab編集部撮影)

広葉樹の廃材を活用した新素材を大型3Dプリンターで造形

業務用家具メーカーの株式会社アダル(福岡県福岡市)と株式会社井上企画(福岡県大川市)が、共同で広葉樹の廃材を活用した新素材を大型3Dプリンターで出力。バブル期のアダル社を代表する椅子「リンクラウンジ」を「LINK LOUNGE2.0」として復刻した。サイズは幅920mm×奥行800mm。商品化の予定はない。

両社は木材活用率100%を目指すプロジェクトを2023年1月から開始しており、今回の展示はその一環となる。

リコーブースに出展していた家具とリサイクルシステム
リコーブースに出展していた家具とリサイクルシステム

大型の成型合板によるシェルが特徴的なリンクラウンジを従来の方法で製作しようとすると、大型の金型投資と大量の電力を消費する高周波プレスが必要となり、大量生産も前提となる。

そこで、粒状の素材であるペレットをそのまま造形材料にできる「ペレット溶解積層方式3Dプリンター」を活用することで、座面を支えるシェル部分を約3時間で3Dプリントすることに成功した。

座面の造形素材として使用されたペレットの作製には、井上企画社が開発した技術が用いられている。井上企画社は、粉末化した廃材を樹脂と混ぜて粒状のペレットとして再資源化する方法を開発。今回はオーク材の廃材を粉末化し、樹脂と混ぜたものをペレット化して使用している。

プラ廃材をリ・ペレッター装置に投入すると、ペレット材料を生産できる(ShareLab編集部撮影)
プラ廃材をリ・ペレッター装置に投入すると、ペレット材料を生産できる(ShareLab編集部撮影)

井上企画社が開発した技術については、過去にShareLab NEWSでも詳しく取り上げている。「広葉樹の敗残を活用した独自の木材ペレット新材料開発」の記事もあわせてご確認いただきたい。

井上企画社が開発した技術とペレット溶解積層方式3Dプリンターを活用することで、「LINK LOUNGE2.0」は大型の金型も高周波プレスも必要とせず、木材の廃材と3Dデータさえあれば短時間で1台から生産が可能できるようになった。

リコー社は樹脂の再生のためのセンサーを展示

アダル社は家具製作時の廃材を素材とし、3Dプリンターを活用することで自社の過去製品を復刻させた。商品化の予定はないものの、廃材を使いつつ費用や時間をかけずに新たなものを作った実績は家具業界に大きな影響を与えることだろう。

同じ種類のプラスチックをより分けるセンサー(ShareLab編集部撮影)
同じ種類のプラスチックをより分けるためのセンサー(ShareLab編集部撮影)

家具の造形に用いられたペレット材は、廃材と樹脂を混ぜ合わせて作る。将来的な廃棄の点を考慮して樹脂の円滑な再生のための手法を発表したのがリコー社だ。

リサイクルを行う前には分別が必要になる。リコー社は同じ種類のプラスチックを分別するためのセンサーを展示していた。赤外線を当てて跳ね返る波長の波形をもとに、樹脂材料の種類を判断するものとなっていた。


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今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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