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Meltio社が独自のワイヤーベースの3Dプリント素材シリーズを発売を発表

スペインを拠点にする、金属3DプリンターメーカーのMeltio社は、独自に開発したDED式ワイヤーベースの3Dプリント素材シリーズを発売すると発表した。

これまでMeltio社は自社の3Dプリンター用の素材を製造せず、第三者企業の素材との互換性を持ち、各製造企業が独自に自社に合った素材を調査しながら選定するといったオープンマテリアル方針だったため、今回の素材開発は大きな転換と言える。

今回はDED方式としては珍しい独自素材の特徴とユーザーメリットについて解説する。

そもそもDED方式とは、という方はわかりやすく解説した記事もご紹介しているのであわせてご覧いただきたい。

≫ 指向性エネルギー堆積 / DED(Direct Energy Deposition) | 3Dプリンターの造形方式

Meltioマテリアルの特徴

Meltioマテリアルと名付けられた3Dプリンター素材は、現在、ステンレス鋼316L、ステンレス鋼308、軟鋼ER70S、チタン64、ニッケル718(インコネル)などがラインナップされている。銅、アルミニウム、耐火物といった素材は、現在開発中とのこと。

耐腐食性と優れた機械的特性を兼ね備えたステンレス鋼で作成される製品は、船舶や化学用途での利用が期待される。また、軟鋼は高い延性(塑性の一種で、材料の延ばしやすさ)を持ち、溶接や機械加工が容易な材料だ。チタンは重量に対しての高い強度と、人体に悪影響を及ぼさない優れた生体適合性を持っている。インコネルは優れた耐熱性と耐薬品性の素材だ。

Meltio社はこれらの金属素材が、航空宇宙、エネルギー、ヘルスケア、家電製品などの産業において、高性能部品の3Dプリントに使用されることを目標にしている。

新しく発売されたMeltioマテリアルのラインナップ
Meltioマテリアルのラインナップ 出典:Meltio社

Meltioマテリアルのユーザーメリット

メリットは大きく分けて2つある。

まずひとつめは、通常の金属3Dプリンターでは不可能なことを実行できる点だ。

Meltio社が販売している「M450」という3Dプリンターは、Meltio社の特許取得済みマルチレーザーテクノロジーにより、金属ワイヤーと粉末の両方を同じマシンで3Dプリントできる。このような通常の金属3Dプリンターではできなかった点をM450の機能性と、専用素材のMeltioマテリアルで実現ができる。

ふたつめのメリットは、 これまで専用素材を持たなかったM450にMeltioマテリアルができるため、ユーザーの作業工程の効率化に貢献できる点だ。

従来、同社が販売していたM450は専用素材を設けていなかった。このような3Dプリンターを「オープンマテリアル」と呼ばれ、 対応する素材数が多いためユーザーの素材選択に自由度が高いことが特徴だ。その結果、幅広い用途に合わせた製品開発が可能になり、素材の仕入れ先も選択肢が増えることでコストカットも狙えるなどのメリットでユーザーに選ばれていた。

一方で、ユーザーは素材を販売するサプライヤーの質を見極める必要が生まれ、また、各素材に合わせて3Dプリンターの設定を行うのもユーザー自身となる。

そのデメリット解消のため、Meltioマテリアルのような専用素材を設けることで、ユーザーはすぐに製品の3Dプリントに取りかかれる。専用素材なら、ユーザー側は製品作成にあたっての素材調整といった試行錯誤から解放される。

もちろんこれまで通り第三者企業の素材も使用できるため、どちらのメリットも活用できることになる。

新しく発売されたMeltioマテリアルの拡大画像
Meltioマテリアルの拡大画像 出典:Meltio社

まとめ

専用素材の開発は、M450のような複数のファイバー結合型ダイオードレーザー光源を用いて、中央のノズルから送り出される金属材料を溶融させるDED方式の3Dプリンターでは非常に珍しい。なぜならDED方式の分野は他のプリント方式に比べて成熟しておらず、3Dプリンターメーカーは、オープンマテリアルとせざるを得ない状況にあるからだ。

今回のMeltioマテリアルの登場は、ライバル企業にとってはMeltio社の技術力の高さをまざまざと見せつけられた一件であると言えるかもしれない。

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