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最短5秒で見積り、革新的な製造業プラットフォーム-株式会社カブク

従来は大企業しか成し得なかったことが、今やスタートアップ企業でもできるようになっていて、それはサービス業など「コト」を商売する業界だけでなく、「モノ」を取り扱う製造業でも同じである。クリス・アンダーソンが自著『MAKERS』で謳った、モノづくりプロセスのデジタル化による、製造業の民主化が起きているのだ。

彼と同じ思想である「ものづくりの民主化」をビジョンに掲げる企業が、株式会社カブク(以下、カブク社、カブク)である。当社は2013年に創業したベンチャー企業で、オンデマンド製造業プラットフォーム「Kabuku Connect(カブクコネクト)」を提供している。

ユーザーは 同プラットフォーム上で、3D/2D図面をアップロードするだけで、簡単に見積りが得られる「即時見積サービス」、数十枚~数百枚の図面まで、複数の設備用加工品を、異なる工法でも一括でまとめて見積りを得られる「設備用加工部品一括調達サービス」、そして、企画から製造までモノづくりをフルサポートしてくれる「製造コンサルティングサービス」を利用することができる。

そんなカブク社が、「即時見積サービス」システムにAIを活用し、見積り作業を一部自動化することで、3Dプリント品は最短5秒、切削加工品は最短2時間で見積りを出せるようになった、とのニュースを得た。中小規模の町工場では、社長が時間を掛けて 一点一点見積りを作成しているというから、製造業にとっては驚きの機能である。

カブク社は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の最前線を走っているため、まだそのサービス内容について詳しく知らない方もいらっしゃるだろう。そこで、わたしたちShareLab編集部は、そもそもカブクってどんな会社?どんな実績があるの?など根掘り葉掘り聞いてみた。

*  *  *

500社以上の取引実績がある「Kabuku Connect」

―― 早速ですが、カブクさんのことをご存知ない方に向けて簡単な自己紹介をお願いします。

はい、当社は2013年に創業し、個人・スタートアップの規模でも、ものづくりのビジネスを興せるように、と「ものづくりの民主化」をビジョンとして、3Dプリンティングから板金 、切削、旋削などにも対応可能なオンデマンド製造サービスKabuku Connectを提供しています。

Kabuku Connect トップページ

製造などのご依頼件数は、累計500社以上と、多くの企業とお取引をさせていただいております。3Dプリンティングだけでなく、さまざまな工法に対応しているため、例えば、トヨタ自動車、スクウェア・エニックス、オリンパスなど、 製造業だけでなく、幅広い業界のクライアント様とお取引をしています。

―― 3Dプリンティングと聞くと、フィギュアや模型など、ホビーユースをイメージされる方も多いと思うのですが、BtoB製造業との取引も多いんですね。

はい、創業当初はホビーユースをメインにサービス提供していたこともあり、『カブク』の名前をご存知の方の中でもBtoB製造業の企業様とのお取引に驚かれる方もいらっしゃいますが、今はBtoB製造業の企業様からのご依頼が多くなってきています。

3Dプリンター自体が産業用として再評価されてきている、また、当社が長年モノづくりの最前線で活躍し、高い生産技術力がある双葉電子工業株式会社の連結子会社となり、カブクとしての更なる技術力が評価されたことも要因かと思います

「製造現場に則した自社のシステム開発力」と「AMの品質とコスト競争力」

――技術力でいえば、今までは、ただでさえリソースが少ない中小加工企業の方々が、時間をかけて作成していた見積りを最短5秒で出せる。この 「Kabuku Connect」が提供している即時見積サービスは、製造業にとって画期的なものだと思います。

そうですね。当社は社内でシステム開発をしており、また切削、板金などの製造業のスペシャリストも在籍しています。市場と彼らの意見を元に、製造現場に則したITシステムの開発に力を入れております。

特に、今までは自動化の障壁になっていた、紙やPDFの2次元図面から、図面に記載されている内容を自動で認識し、加工要素を抽出する技術を得意としており、製造現場で運用可能なシステムの開発に努めております。

例えば、最近では、WEB展示会 (2020年春時点で掲載)にも紹介している、ブラウザ上で簡易的な治具製作・プレート加工を設計し、製造依頼までできる「 簡易設計・調達サービス」を開発しています。

――なるほど。ちなみに、他社でも類似の製造業プラットフォーム、オンライン見積りを提供している企業もありますが、御社独自の強みはどこにありますか?

一つは先ほど申し上げた「製造現場に則した自社のシステム開発力」。もう一つには、「AMの品質とコスト競争力」が大きな強みです。

当社は国内だけでなく海外の工場ネットワークも持っています。その中でも、外資自動車メーカーの研究開発を請け負い、AMのノウハウを蓄積している企業などにAM品の造形を依頼しているため、高品質な造形が、競争力のあるコストで実現できています。

また、そのような企業は、機械の稼働率が高く、減価償却も既に終わっていることが多い、ということが価格メリットを打ち出せる理由の一つです。

最短5秒で見積り!

――製造現場に則したシステム、高品質な造形、そして、安価なだけでなく、見積りを出すだけなら登録もせず無料で気軽に試せる、というのはユーザーにとって手間が少なく嬉しい点ですね。

はい、即時見積サービスは、ブラウザ上から法人のお客様であればどなたでもお気軽にご利用いただけます。また、そのまま発注したい方はまず、サービスサイトに訪れ、アカウントを登録していただき、以下の 4 STEPで発注いただけます。

  1. 3D/2D図面をアップロード
  2. 工法/材質を選んですぐに見積取得
  3. 合計金額を確認して見積書作成
  4. そのまま発注依頼

――すごく簡単ですね。先ほど私も試してみましたが、3Dモデルデータをブラウザ上にドロップし、工法、材質、後処理をリストから選び、数量を指定するだけで、直ぐに見積りが表示され驚かされました。直感的に操作できるのでどなたでも使用できますね。

実際に編集部が即時見積サービスを使ってみた。
stlファイルをアップロードし材料を選ぶと、右側に瞬時に金額が表示される。

はい、使いやすいUIも好評で多くの方にご利用いただいています。表示速度に関しては、改善を繰り返しており、AIも活用することで、図面から穴や溝などの加工要素を認識し自動で適正な見積りが出てくる仕組みを実現しました。3Dプリントであれば最短5秒、切削加工品は最短2時間で見積り結果を取得いただけます。

――具体的にどのような依頼事例があるか、お伺いできますか?

例えば、 切削品であれば、 300mmx300 mmの製品製造ライン部品や、大きいものでは1〜2mの機械架台の依頼もありました。

3Dプリンティングだと、二輪車用の燃料タンクを造形したこともあります。 従来の工法だとプレスや溶接を組み合わせて作っていたのですが、 3Dプリンティングなので一体造形することができました。

3D printed fuel tank for a bike
構造体を設けた二輪車用燃料タンク
3D printed honeycomb-like structure
燃料タンク内部に、六角形の構造体を造形した

車体の制動や傾きによる燃料動揺を防ぐために、内部には構造体を設けていまして、より安定した乗り心地と走行性能を実現することができました。

対応可能な材質やサイズなどの詳細範囲は、こちら(Kabuku Connect対応範囲)からご確認ください。金属・樹脂3Dプリンティングの造形データガイドラインもご確認いただけます。

企画~製造まで一気通貫のコンサルティング

――お客さんの中には、3Dプリンティング用の3Dデータを用意するのが困難な方や、もっと大きなサイズで製造したいという方もいらっしゃるのでは?

はい、ご存知の通り、3Dプリンティング用の設計データは、寸法公差やサポート材を意識して作る必要があり、その設計データの作成から手伝って欲しいという方もいらっしゃいます。

そこで、カブクでは、即時見積サービスに加えて製造コンサルティングサービスを提供しており、設計はもちろん、企画、デザイン、製造までを一気通貫でお手伝いしています。

そのため、先述の対応範囲に含まれていないものの製造や、そもそもモノづくりをどうやって進めたらいいか知りたい、といった漠然としたお悩みでご相談いただけると、私たちの製造スペシャリストがお手伝いできるかもしれません。ぜひお気軽にご相談ください。

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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