Materialise、RAPID+TCT 2025にて新バージョン「Magics」を発表

米国ミシガン州デトロイトにて開催された「RAPID + TCT 2025」において、AM分野で長年にわたり実績を積み重ねてきたMaterialise社は、最新ソフトウェア「Magics 2025」を正式に発表した。同時に、Raplas社およびOne Click Metal社との戦略的パートナーシップ締結も明らかにされ、製造業におけるAM導入の課題—設計上の制約、製造スピード、コスト—への具体的な解決策として注目を集めている。(上部画像はMaterialiseのプレスリリースより。出典:Materialise)
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Magics×nTop連携で設計革新、ジオメトリ処理が数秒に
実際に、DMG MORI Technium Europeの設計チームは、MagicsとnTopの統合機能を活用し、CNC用部品のAM向け設計において、従来では数日を要していた高性能ジオメトリファイルの処理をわずか数秒で完了させている。加えて、BREP(Boundary Representation)形式のCADジオメトリをネイティブで扱えるようになったことで、CAD/CAM間のシームレスな統合を促進。計測、壁厚分析、自動ネスティング、STEPファイル出力などの高度機能も追加されている。これにより、従来は手作業で行っていた修正作業を大幅に削減できる。
サポート最適化と自己支持構造で後処理負担を大幅削減
また、後工程の加工コストが全体の40〜60%を占める中で、Magicsはサポート材の最適化機能により、材料使用量と後処理負担を削減する。具体的には、「パーツ置換」と「サポート複製」により、試作から量産への移行がスムーズとなり、人的ミスの削減やリードタイム短縮を実現する。「自己支持ハニカム構造」オプションも導入され、特にLPBF方式において、複雑部位のサポートを最小限に抑えることができ、サポート除去の工数を大幅に削減する。
操作性向上と新Build Processorで造形効率と品質を両立
ユーザーインターフェースの操作性も改善され、メッシュパーツ表示時のビデオメモリ使用量を最大40%削減。さらに「押し出し」や「抜き穴作成」といった基本操作においても、それぞれ70%、50%の処理速度向上が確認されている。Materialiseは、こうしたソフトウェア強化に加え、RaplasおよびOne Click Metalとの提携により、新たなBuild Processorを2種類発表した。特にRaplasとの協業では、SLA方式の量産向けBuild Processorが紹介され、造形時間を最大40%短縮しつつ、パーツの品質向上を実現している。
中規模市場にも対応、柔軟性とコスト効率を両立するAMソリューション
一方、One Click Metalとの提携では、中規模ユーザーを対象としたコスト効率の高い造形ソリューションが提供されており、スタートアップから既存製造拠点まで、幅広い層のニーズに応える構成となっている。Materialise北米法人のソフトウェア営業部シニアディレクターであるBryan Crutchfield氏は以下のように述べている。
「今回のパートナーシップおよびMagicsの新バージョンは、積層造形の各プロセスにおける効率向上を目的とし、生産性、精度、柔軟性の三要素を同時に満たす」
AMの普及を加速するMagics 2025と戦略的提携の展望
MaterialiseによるMagics 2025の発表と新たなパートナーシップは、積層造形(AM)の現場における生産性と柔軟性を大幅に引き上げる布石である。今後、nTopとの統合やBuild Processorの進化により、設計から製造までのリードタイム短縮や自動化がさらに進展すると見込まれる。また、中規模市場への対応が加速することで、スタートアップや中小企業でも高度なAM技術の導入が現実味を帯びてくる。AMの汎用化と産業への定着に向けた重要な一歩となるだろう。
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