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ペンシルベニア州立大学で3Dプリント用の持続可能な樹脂を開発

新しい樹脂で作られた3Dプリント部品の強度をテストするようす

アメリカのペンシルベニア州立大学の農業エンジニアと生物学者のチームが、植物由来の天然成分から作られた新しい樹脂3Dプリント材料を開発、試験を進めている。最終的には、大判のSLA方式3Dプリンターで造形素材として用いるプラスチックに代わる役割を果たすことを目指す。石油化学由来の成分を混合して生産するため、高価になりがちなプラスチック樹脂の材料コストを下げるのが狙いだ。

この研究に対し、米国農務省の国立食品農業研究所は、ペンシルベニア州立大学の研究チームに今後3年間で65万ドルの助成金を授与することを決定した。(上部画像は新しい樹脂で作られた3Dプリント部品の強度をテストするようす。出典:ペンシルベニア州立大学)

植物由来材料から3Dプリント用の樹脂を作る

ペンシルベニア州立大学の研究者とエンジニアのチームは、リグニンやナノセルロースといった植物由来の材料と大豆油を用いて、再生可能な資源からなる新しい立体造形用樹脂を作ろうとしている。

リグニンは複雑な有機ポリマーで、植物の壁を硬く木質化する性質がある。ナノセルロースは木材から余分な部分を取り除き、セルロース(植物繊維)だけにしたパルプに機械的な処理を経て生成するもので、鋼鉄の5倍の強度を持ちながら5分の1の重量しかなく、循環型社会実現に向けて期待が集まっている素材だ。

ペンシルベニア州立農業生物工学部
ペンシルベニア州立農業生物工学部研究チーム(出典:ペンシルベニア州立大学)

これらの特徴を持つ、リグニンやナノセルロースから研究チームが開発しようとしている樹脂は、従来の3Dプリント用樹脂よりも優れた弾性、硬度、耐熱性を示し、卓越した特性を持っているという。

植物由来の素材を用いるペンシルベニア州立大学の樹脂開発は、これまでになかった新たな持続可能なバイオ製品を開発することになる。

この樹脂材料の開発には、3Dプリント業界だけでなく、将来的にはリグニンやナノセルロースといった樹脂の原料を提供する農村地域にも良い影響を与えることが期待されている。

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