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3Dプリンターを用いたシングルステッププロセスで、自律駆動ロボットを試作することに成功

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の研究グループは3Dプリンターを用いたシングルステッププロセスで、自律駆動ロボットを試作することに成功し、Science誌にて成果を報告した。(写真は研究チームが試作した小型ロボット。出典:UCLA)

自律駆動ロボット試作背景

小型ロボットは、ドラッグデリバリーや災害時の人命救助などに応用が期待されている。

ドラッグデリバリーとしては、副作用の大きな薬剤を投与する場合、患部のみに作用することが望ましい。小型ロボットを使えば、人体内部を通過し、患部まで薬剤を運搬することも可能となる。

また、原子力発電所の事故発生時や、火災の現場では人が立ち入ることが難しい。こうした領域に自律駆動するロボットを投入すれば、人命救助や事故状況の確認が容易になる。

近年、ロボット技術は大きく飛躍した。Amazonなどの大企業でもロボットの大々的な活用が進められ、社会実装も進んでいる。

小型ロボットに関しても同様だ。災害現場の調査を実行できる小型ロボットは現在の技術で十分に作れる。ただし、問題となるのはそのコストや量産体制にある。災害現場などで、大量にロボットを投入したい場合などには1つ1つのロボットのコストが重くのしかかるだろう。送薬に関しても同じことが言える。

こうした現状を鑑みるに、小型ロボットを作る技術だけでなく、そのコストを安く抑え、大量生産する技術が不可欠だ。

3Dプリンターによるシングルステップ製造

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の研究グループは、3Dプリンターを用いることで、小型ロボットのコスト低減に大きく貢献する研究成果を発表した。

一般的なロボットでは、様々なパーツを別々に製造し、最後に組み立てることが多い。これに対して研究グループは、3Dプリンターを用いることで、シングルステップによるロボット製造が可能であることを実証した。

つまり、3Dプリンターに材料を入れ、プログラム通りに3Dプリンターを動かす、という操作だけで、自律駆動する小型ロボットを製造してみせた。

作製された自律ロボットは、指の爪程度の大きさながら、複数のセンサーや駆動素子、制御ユニットを備え、自律駆動が可能だ。研究グループは、ロボットの作製プロセスとロボットが動作する様子を動画で紹介している。

Single-step, all-in-one 3D printing method to make robotic materials(出典:UCLA)

圧電材料の活用

通常、ロボットは人体と同じように「関節」で駆動する。回転したり、曲げたりできる部分を作り、その場所を軸として動くわけだが、この「関節」を作るためには、パーツとパーツの間に小さな隙間が必要になる。そして、その「隙間を作る」という作業に関しては、3Dプリンターはあまり得意ではない。3Dプリンターが得意なのは、全体がくっついているようなパーツの造形だ。

そこで、研究グループは「全体がくっついていても動作できる仕組み」を考案した。その鍵となったのが、圧電材料の活用だ。

圧電材料は電圧が加わることによって、内部の結晶格子の形が変化する。つまり、電気エネルギーを運動エネルギーに変換することが可能だ。ただし、その変化とは結晶サイズのミクロな変化であり、稼動幅が狭いため、これまではロボットを駆動させるためには使われていなかった。

しかし、「小型」ロボットであることは、駆動幅の小ささという弱点を帳消しにすることができる。圧電素子を複数組み合わせることで、関節がなくても曲がることができるロボットが実現した。圧電素子による曲げの様子は上述した動画の中でも紹介されている。

ここで作られたロボットは、電力供給を外部に頼っているため、すぐに社会実装できるほど高性能なものではない。重要なのは「小型ロボットを作る新たな方法を確立した」ということにある。今回の研究成果は、将来の小型ロボット活用における大きなターニングポイントになるだろう。

関連情報

Design and printing of proprioceptive three-dimensional architected robotic metamaterials

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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