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世界初となる3Dプリント義足事業。総額8,400万円を調達し、フィリピンにて開始

3D-CAD、3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して低価格な3Dプリント義肢装具を開発するインスタリム株式会社(本社:東京都世田谷区、以下、インスタリム)は、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブおよび株式会社ディープコアへの第三者割当増資により、総額8,400万円の資金調達を実施。

この資金調達により、フィリピンのマニラ首都圏で設立した現地法人を通じた世界初※1の3Dプリント膝下義足事業を本格開始するとともに、3Dプリント大腿義足などの新たな製品の研究開発を推し進める。

インスタリムが取り組む社会課題

従来の義足製作は、多大な製造過程・設備コストや、患者個人に合わせて製作する義肢装具士の技術力が必要となるため、1本あたり30~100万円※2 と高価であり、またその納期は通常2~3週間程度かかることが一般的だった。

そのため、新興国・開発途上国を中心に、そのような高価な義足を購入することができずに、社会参画が困難となっている方々が数多く存在している。

フィリピン1国だけにおいても100万人以上※3 が必要な義足を手に入れられていない。慈善団体からの無料の寄付もあるが、義足が渡るのも5~15%程度で、それもろくに患部の採寸さえされず、義足が合う人を探すという流れのためせっかく該当してもほとんどの人がフィットせず、使い続ける人はごく少数という。

インスタリムのソリューション

インスタリムは、義肢装具製作専用の3Dプリンタ、独自アルゴリズムによる形状レコメンド機能などを備えた3Dモデリングソフトなどを含む、義肢装具のカスタム量産ソリューションを独自開発。

これにより、従来の約10分の1となるコストダウン・納期短縮を実現でき、新興国・開発途上国を含む多くのユーザーに義足を提供することが可能となった。また、現在開発中のAIアルゴリズムを用いた全自動モデリング機能により、更なるコストダウン・期短縮を目指しているという。

製作の流れ

  1. 患者の患部を3Dスキャナで正確に測定
  2. 独自の3D CADを使用し、義足をダイレクトに3Dデータで設計
  3. 義足専用3Dプリンターで出力
  4. 患者にフィットするか試してもらい、調整して完成

動画:インスタリム ストーリー:必要なすべての人に義肢装具を届けるために

・「世界は今-JETRO Global Eye」”フィリピンで義足を届ける ‐3D技術で踏み出す一歩”
https://www.jetro.go.jp/tv/internet/2019/05/0c798e25f175d2c2.html

代表者メッセージ

この義足の事業は、2014年に私が青年海外協力隊員であった際にフィリピンで出会った、糖尿病で足が腐敗した患者がきっかけになっています。
フィリピンでは、主に栄養状態の劣悪さにって糖尿病に罹患する人が非常に多いにも関わらず、そのほとんどが義足を持つことができず、まともな職にもつけず、貧困の連鎖に飲み込まれてしまっているというのが実情です。
これはフィリピンだけの問題ではなく、全世界的な問題です。

私はこの問題を解決するために、青年海外協力隊から帰国した後、仲間と一緒に4年間をかけて、また多方面から多くのご協力とご支援をいただいて、低コストで義足製作を実現するソリューションの開発を完成させ、この度ようやく、フィリピンでの事業開始までに歩を進めることができました。またこれを受けて、KII様、ディープコア様にご参画いただき、第三者割当増資による資金調達を実施いたしました。

インスタリム社員一同、このソリューションで必要とするすべての人に義肢装具を提供することに、強い情熱と、自信を持っています。今後のインスタリムに、ご期待ください。

代表取締役CEO 徳島 泰

インスタリム株式会社  プレスリリース

足を失った人たちの希望に:編集後記

この事業は、世界中の足を失った人たちの希望になるだろう。フィリピンでは、糖尿病による合併症で足を失うケースが多いそうだが、世界には、いまだ撤去されない地雷により、足を失う人も数多くいる。犠牲者の中には年端のいかぬ少年少女も少なくない。

さらに発展途上国の地域に住む人々は義足など望むべくもない貧困で苦しんでいる人が大半だ。この3Dプリンターによる安価でちゃんとフィットする義足生産が広く知れ渡れば、国やNGOからの援助も得られよう。さらなる事業拡大が望まれる。

※1: インスタリム株式会社調べ。

※2:「1本あたり30~100万円」インスタリム株式会社調べ。国際赤十字やインド系NGOなどによる寄付行為による、ほぼ無償での義足提供活動を除く。

※3:「100万人以上」独立行政法人国際協力機構(JICA)「フィリピン国3Dプリント義足製作ソリューション事業基礎調査」による推計より。

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