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京都の樹脂系3Dプリンターメーカーのエスラボが、豊田合成とリコーから出資を受ける

ポイント

  • 京都の3Dプリンターメーカーであるエスラボが、リコー、トヨタ合成からの出資を受けることが決定と個別に発表された。3社の連携については言及されていない
  • リコーは販売面の協業で出資額については明らかにしていない
  • 豊田合成は自社の製品開発および3Dプリンターおよび造形樹脂の開発面にも踏み込む協業をにおわせ、出資額は4500万円としている

同じ日に上場二社の出資発表がでたエスラボ

豊田合成株式会社(本社:愛知県清須市、社長:宮﨑直樹)は、製品開発のスピードアップや少量・多品種生産の高効率化に向けて、樹脂3Dプリンターを開発・生産するエス.ラボ株式会社への出資すると発表した。同じ日に、 株式会社リコーも、エス.ラボ株式会社に資本出資し、3Dプリンターの販売に関する業務提携契約を締結したことを発表。 三社での取り組みスキームに関しては特に発表はなかった。

リコーの取り組み

リコーは国内販売会社であるリコージャパン株式会社で、エス.ラボが独自開発し、8月1日に新発売するペレット溶解積層方式3Dプリンター「GEMシリーズ」4機種を販売すると発表している。

エス.ラボが独自開発したペレット溶解積層方式3Dプリンターは、樹脂成型用ペレット(顆粒状の材料)を3Dプリンターの造形材料として直接使用できる。従来の熱溶解積層方式3Dプリンターでは難しかった車のバンパー程度の大型サイズの造形を、高速(一時間当たり5000cc程度の立体造形)かつ低コストで実現できる。

また造形材料をフィラメント化(3D造形のために熱溶解し糸状にすること)する必要がないことから従来では造形することが出来なかった硬質な材料や軟質な材料を造形することも可能。これはつまり、ユーザー企業が造形材料を独自開発することを可能にしたということ。この点がこの機種のイノベーティブな点だ。

豊田合成の取り組み

豊田合成はトヨタ自動車のゴム部門が分社してゴム・樹脂の高分子技術を用いた自動車部品を主軸とする製品の提供を行うトヨタ系列企業。現在の売り上げは8407億円で従業員は34,000人を超える。ゴム・樹脂・LED のコア技術を活用し、半導体やバイオ(創薬支援・アグリビジネス)など、多彩なビジネステーマの開発に取り組んでおり、ロボット用のアクチュエータなどの製品化や電気と力で機能する次世代ゴムによる次世代モビリティなどにも取り組んでいる。

自動車業界はまさに今、CASE( Connected:インターネットへの接続、Autonomous:自動運転、Shared:カーシェア、Electric:電動化の略で、変革期にある自動車業界の技術潮流を表すキーワード)に代表される新技術の開発競争が激化するなど加速度的に環境が変化している渦中にある。そのため3Dプリンターのラピッドな開発への貢献や、小ロット・カスタマイズ対応への期待値は高いが、製品品質や成形時間の制約などもあり、限定的な用途に留まっているのが現状だ。

今回の出資では、豊田合成の樹脂素材や製造現場の最適化ノウハウをもとに、エスラボの樹脂3Dプリンターの高精度化や高速化に取り組み、製品開発のスピードアップを図ると発表しており、3Dプリンター自体の開発プロセスに関与するという踏み込んだ発表になっている。

その具体的取り組みは今後明らかになっていくだろうが、工場ライン内に組み込む際の現場ノウハウなどは豊田合成の強みの一つだ。少量・多品種製品を効率よく製造できるフレキシブルな生産技術の開発をすすめ、生産現場への導入と併せて販売していく可能性は高い。今後の動静に注目したい。

関連情報

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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