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チベットで過去最大規模の3Dプリント構造物、水力発電ダムの建設

中国政府は、2024年までに堤高180m程度の楊空水力発電ダムを建設する計画を発表した。実現すれば、3Dプリントで建築された構造物として、世界最大規模となる

楊空水力発電ダム

楊空水力発電ダムは、チベット高原を流れる黄河に建設が予定されている。

高さ180mの楊空水力発電ダムは、約50億kWhの電力を発電し、河南省とその周辺地域の5000万人に電力を供給することになるだろう。実現すれば、世界初の3Dプリントダムとなるだけでなく、世界最大規模の3Dプリント構造物となる。

着工は2022年内で、2024年には完成する予定だ。

高速建設を実現するための技術

通常、ダムを建設するためには、10年~20年の時間を要する。2年間の工期でダムを完成させることができれば、人件費などの面で大きなコストカットに繋がるが、それは容易なことではない。人力だけで2年の工期に挑めば、大変危険な作業になると言わざるをえないだろう。

この一大プロジェクトで重要になるのが、ガントリークレーン式の3DプリンターとAIを用いた自動化技術だ。

ガントリークレーンと言えば、コンテナ船にコンテナを積み込む際によく利用される。レール上を移動可能な大型クレーンだ。

ガントリークレーン式3Dプリンターについては、近年、オークリッジ国立研究所が「SkyBAAM」という名前で特許を取得した。巨大構造物を3Dプリントするための技術は、発展が著しい。

SkyBAAMの3Dプリントシステム概念図(出典:オークリッジ国立研究所)
SkyBAAMの3Dプリントシステム概念図(出典:オークリッジ国立研究所)

楊空水力発電ダムの建設にあたっては、このガントリークレーンと3Dプリンターを組み合わせた、これまでとは全く異なる建設方式を採用している。建造されるものが過去最大ならば、それを作るための3Dプリンターの規模も過去最大だ。

また、AIを活用して、ダム建造の自動化を進めるとしている。どちらもまだ正確な情報が少ないが、楊空水力発電ダムの建造計画は着々と進められている。

これまでの積層造形に関する国家プロジェクト

中国が主導する3Dプリンターを用いた建造プロジェクトは、今回が初めてではない。

2021年には、清華大学建築学部が上海のウィズダムベイイノベーションパークに、3Dプリンターで書店を建設した。他にも、1分で開閉できる格納式橋も3Dプリンターで建設している。

上海の別の場所では、無公害技術と自動化技術のデモンストレーションとして、3Dプリンター用フィラメント生産企業「ポリメーカー」、及び建設会社「上海市机機施工集団有限公司」が長さ15mの歩道橋を3Dプリントした。

楊空水力発電ダムの建設は、これまで中国が培ってきた3Dプリント建設技術が存分に発揮される機会となるだろう。

上海に設置された3Dプリンテッド歩道橋(出典:清華大学)
上海に設置された3Dプリンテッド歩道橋(出典:清華大学)

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国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関する情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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