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世界初!3Dプリンター製犬用シューズが特許を取得

3Dプリンターで作成するオーダーメイドの犬用シューズ「DogSoxx」が特許を取得。2021年から販売され、注目を集めている。3Dプリンター製の犬用シューズ販売は世界初だ。

今回は3D設計、3Dプリンターをゼロから学んだという「DogSoxx」の開発背景や特徴をご紹介する。また、今回のように3Dプリンター技術を活用し特許を取得している企業についても併せてご紹介する。

「DogSoxx」開発の背景

犬の肉球は体重を支え、歩行や着地の際の足への衝撃をやわらげるクッションの役割がある。また、犬は体に汗腺がなく汗をかかないが、体の中で唯一汗をかくのが肉球だ。そのように犬が生きていく上で非常に重要な役割を担っている肉球だが、病気や老化で硬くなり、歩行が困難になることがある。

道路には危険なものや不衛生なものが落ちていることがあり、また、夏場に熱いアスファルトの上を歩くと、肉球が火傷してしまうこともある。肉球は皮膚の再生能力が低く、ケガをすると非常に治りにくい性質もあり、さらには犬の体重がかかる場所なので負担が大きく、ふさがりかけた傷口がまた開くことも珍しくない。

そのようなさまざまなダメージから肉球を守るために「DogSoxx」が開発された。完成までは100以上の試作やテストを重ねたという。

3Dプリンターでつくられた犬用シューズ( 出典:犬の靴屋さんDogSoxx社 )
3Dプリンターでつくられた犬用シューズ( 出典:犬の靴屋さんDogSoxx社 )

3Dプリンターで作るオーダーメイドの犬用シューズ

市場には肉球の保護やオシャレのための犬用シューズがある。しかしそれらは既製品であるがゆえにすぐに脱げてしまったり、履かせるのが難しかったりすることが多いようだ。

「DogSoxx」は背面に切れ込みがあり、そこを開いて足を入れ、マジックテープで固定する方式だ。内側にあるシリコン製のインナーパッドが足にフィットするため脱げにくくなっている。このように形状の面で、履かせやすさと脱げにくさの工夫がなされている。

実際に着用したシーン(出典:犬の靴屋さんDogSoxx社)
実際に着用したシーン(出典:犬の靴屋さんDogSoxx社)

シューズ内面のインナーパッドの接着と後ろの部分の切れ込みは、手作業で行われている。3Dプリンターでの製作工程を検討する上で、最終的に手作業との組み合わせにたどり着いたとのこと。

犬用シューズにおいては履かせやすさと脱げにくさの両立が必須となる。3Dプリンターはそのどちらにも貢献していると言えるだろう。

DogSoxxはオーダーメイドで作成される。注文時には前足用か後ろ足用かを選んだ上で、足の裏の長さ(mm)、足の裏の幅(mm)、地面から約5cm地点の脚の周囲(mm)を入力することで、個体差に合わせたオーダーメイドでのシューズ作成が可能となっている。

 3Dプリンターでつくられた犬用シューズ 着用( 出典:犬の靴屋さんDogSoxx社 )
3Dプリンターでつくられた犬用シューズ 着用( 出典:犬の靴屋さんDogSoxx社 )

3Dプリントの素材には医療器具にも使われる、軽くて柔らかい素材TPU(熱可塑性ポリウレタン)が採用されている。ニオイがないため、犬が違和感を覚えにくい。手洗いも可能だ。

現状は一人で製作していることもあり、販売開始後数時間での完売が常態化するほど。今後は法人化やスタッフの雇用も視野に入れているようだ。

犬は裸足で歩くのが一般的ではあるが、アスファルトの上は危険も多い。これからは犬も人間と同様にシューズを履くのも一般化していくだろう。犬と飼い主でお揃いの靴を履く、といった日も近いのかもしれない。

3Dプリンター×特許技術

今回、 DogSoxxが特許を取得したことに関連し、3Dプリンターを活用した技術で特許を取得したものをいくつかピックアップした。3Dプリンターの設計デザインや、技術そのものなど、日々進化し研究されている3Dプリンターでの企業努力の成果である。

PBF式金属3Dプリンターが電気自動車などに使用する電気モーター部品を開発-ExOne

マックスウェル社は、電気自動車などの活用に注目される電気モーター用の銅製電子巻線設計の開発。モーターを包む固定子巻線に36 個の銅コイルを使用した電気モーターを、3Dプリンター技術を活用することでより複雑な銅のデザインを作ることに成功。この電気モーター設計は特許を取得しており、同社はExOne 協力のもとこれらのコイルを1つの3Dプリント部品に統合することを目的としている。

3Dプリンター製ソフトロボット、任天堂『スーパーマリオブラザーズ』に挑む

ソフトロボットにおいて各指をそれぞれ動かすために必要な「統合された流体回路」を作るため使用されのは、ストラタシス社の 特許を取得した高性能のプリンティング方式である。インクではなく液体樹脂の小さな液滴を噴射しつつ造形する技術が使用されている。

関連情報

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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