YOKOITOがXYZプリンティングジャパンとパートナー契約、ナイロン6が使用可能な3Dプリンターの国内販売を開始
京都府京都市に本社を構えるYOKOITO社が、3Dプリンター出荷台数グローバルシェアNo.1を誇る3Dプリンターのリーディングカンパニー、XYZプリンティングジャパンとパートナー契約を結んだ。
パートナー契約により、YOKOITO社が運営する3Dプリント技術の研究・普及を推進する部門「Yokoito Additive Manufacturing(YAM)」において、強度や耐熱性に優れているナイロン6が使用できる粉末焼結(SLS)方式3Dプリンター「MfgPro236 xS」の国内正規代理店として国内販売を開始した。
(画像はXYZ社の最新粉末焼結(SLS)方式3Dプリンター「MfgPro236 xS」出展:YOKOITO社)
「MfgPro236 xS」の特徴
XYZプリンティングジャパン社の新型3Dプリンター「MfgPro236 xS」は、粉末焼結(SLS)方式。パウダー材料をレーザーで焼き固めることにより、機能的かつ頑丈なプロトタイプから最終製品までの造形を可能にする3Dプリント方式で、機械的強度に優れたナイロン材料を使うことができる。現在日本においては、自動車業界を中心にSLS方式3Dプリンターの導入が進んでいる。
「MfgPro236 xS」最大の特徴は、「ナイロン6」の使用が可能な点だ。
「ナイロン6」は強度や耐熱性に優れている素材で、自動車をはじめ広く工業用製品に使われてきた。しかし、3Dプリンターでナイロン6を使用する場合は、導入コストが1億円近くの高額になりがちで、各業界への導入は進んでいない。
「MfgPro236 xS」は、XYZ社の粉末焼結(SLS)方式3Dプリンターの従来機「MfgPro230 xS」から改良を加え、ナイロン6での造形を可能にするためにレーザー出力を2倍の60Wにパワーアップさせたものだ。これにより、既存の工業製品と同様にナイロン6を素材として利用できるようになった。さらに、造形精度を保ちながら導入コストを2,000万円以下に抑えることも実現している。
また、同製品は専用材料だけでなく他社の使用済み材料も使うことができるため、サステナビリティへの貢献も期待できるとのこと。
XYZプリンティングジャパン社では、自社の3Dプリンターに、他社素材の使用を認めることは珍しくない。
過去には、オープンレジン化され、他社製の印刷素材も使用可能な3Dプリンターの販売も行っている。
XYZプリンティングジャパン社は、近年の3Dプリンター市場における使用用途が多岐に渡る状況を鑑みて、自社純正3Dプリント材料のみで市場ニーズに全て対応することは困難と判断しているからだ。
すでに国内市場で求められる材料の開発で、専門的なノウハウを持つ企業との協業を積極的に進めているとも発表している。
ShareLabNEWSでは、XYZプリンティングジャパン社の、印刷素材についての捉え方が表れている記事を過去に発表している。そちらもぜひ参照してほしい。
XYZプリンティングジャパン社、専門的なノウハウを持つ企業との協業を推進、新素材の認定へ
高性能光造形3Dプリンター「PartPro150xP」をオープンレジン化し数量限定発売へ-XYZプリンティングジャパン
YOKOITO社が提供するサービス
YOKOITO社の3Dプリント技術の研究・普及を推進する部門「Yokoito Additive Manufacturing(YAM)」では、MfgPro236 xSの国内販売、導入及び導入後のサポートを対応が行われる。
YAMには、3Dプリント技術について研究を重ね、3Dプリンターを毎日使用している専門スタッフが在籍している。自らがユーザーでもある専門スタッフがいることで、顧客目線に立ち、適切な材料や機械選定から、導入時及び運用時に発生するコストを最大限抑えながら、3Dプリンターや材料を最大限活かすことのできる提案を行うとのこと。
YAMが提供するサービスは以下の通り。
・3Dプリンターなどの機械導入・導入後の支援
・技術コンサルティング
・デザイン提案
・3Dスキャニング
・3Dデータ作成
・量産支援/3Dプリントサービス
・各種講習の実施
などモノづくりに関わるトータル支援
「MfgPro236 xS」の国内販売が開始されたことで、これまでコスト面に課題があったナイロン6が使用可能な3Dプリンターが、導入しやすくなった。世界的にみると3Dプリンター活用が遅れている日本企業にとって、これは追い風となることだろう。自動車業界をはじめとした、今後の動きに注目したい。
関連情報
国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。