JIMTOF 2024 参加報告 その1
2024年11月5日から10日まで東京ビッグサイトで開催された世界最大級の工作機械の展示会JIMTOFはユニーク来場者数で129,018名(海外:10,423名)、のべ162,670名(内海外18,515名)と盛況のうちに終了した。会場にはAM関連事業者が出展するAMエリアが設けられ数多くの企業ブースが軒を並べた。その中の一部にはなるがJIMTOFの熱気をお伝えしたい。( ZRapidの金属3Dプリンターでエンジン部品を造形した井上ボーリングの実車展示 )
目次
ZRapid社の金属3Dプリンターと事例を展示していたDOHO
DOHOはステンレス、チタン、アルミニウムなどの非鉄金属素材の供給を主事業で行っている企業だ。 金属材料を熟知した同社だが金属AM装置の販売も起こっており、中国のZRapid社の金属3Dプリンターの販売をしている。 会場ではユーザー事例として井上ボーリングとの共同プロジェクトによる旧車再生プロジェクトで、KAWASAKI マッハ3のエンジンを3DスキャンしZRapidで造形した事例が展示されていた。
中国製砂型3Dプリンターを扱うイノテック社
KOCELは中国の砂型3Dプリンターの最大手。 日本では岡山県にある株式会社イノテックが販売している。 木型では難しかった形状の型を作ることが可能で、人員不足などを補ったり、職人毎の技術差がなくなるなど多くのメリットがある。 1個あたりの製作単価も安い。
また、作るのはあくまでも型なので出来上がる製品自体の品質管理などは従来と変わらず、導入時の現場の変化が少なく導入のハードルが低いのが特徴だ。
金沢大学 人間機械創造研究室
金沢大学 人間機械創造研究室はロボットによる自動化や3D印刷型センサの研究をしている研究室だ。 今回は「モーターのいらないロボットグリッパ」や「多様な物体を把持(はじ)可能な把持面可変1モータグリッパ」などを展示している。
金属付加加工を行いながら切削もできる松浦機械製作所のLUMEX Avance-25
5軸マシニングセンタなどの工作機械を生産する松浦機械製作所だが、PBF方式の金属付加加工を行いながら切削も行うことで、工作機械品質での金属加工を実現する装置を製造している。SNSでの宣伝にも力を入れておりXで「しつちょう」のアカウントを見かけた人も多いだろう。 今回は造形と切削を1台の機械で実現するハイブリッド金属3DプリンターであるLUMEX Avance-25の造形実演が行われていた。
トコシエ(旧BirthT)
場所を取らずに大きなものを連続造形できるベルトコンベアー型の3Dプリンターを開発している知る人ぞ知る大田区のベンチャー。 長物の造形にも対応できる他、今回は「BirthT」という社名から新たに「トコシエ」に社名変更しての出展。 同じく大田区の3Dプリンターノズルを開発したオグラ宝石精機工業社との共同出展で更なるビジネスチャンスを狙う。
色識別にも強いスキャナー展示を行う日本3Dプリンター
Raise3D・EinScanの総代理店で、Farsoon、Markforgedなど取り扱う販売会社。 今回の展示会では各社の3Dプリンターも勿論だが、国内初展示となる最新スキャナーEinScan LIBREが展示されている。 従来の青色レーザーでの課題である色の取得などの大きな機能改善が行われている。
金属部品を調達するための選択肢を選べる強さを示したキャステム
ロストワックス鋳造で数千社の顧客を抱える同社だが10年以上前から3Dプリンターに取り組んできた。金型レス鋳造(デジタルキャスト)VS 金属3Dプリントをテーマに掲げ、顧客課題に応じて柔軟な製造方法を提案できるのが強み。 SNSでのプロモーション効果もあり、ブースの目立つところには社名すら出ていないが、一発でキャステムのブースだとわかることが凄い。
次回は海外企業ブースにフォーカスしてご報告
国内企業を取り上げてきたが次回は海外企業のブースを取り上げて報告していく。いままで日本に直接紹介されなかった企業ブースの出展もあったのでご期待頂きたい。
2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。