新型コロナ下における完全オンライン展示会、「Formnext Connect」開催へ
世界最大規模のアディティブ・マニュファクチャリング関連展示会のFormnext 2020が開催を断念し、「Formnext Connect」としてバーチャル展示会を開催することとなった。
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大が続く中、Formnext 2020はドイツ・フランクフルトで2020年11月10日から13日までの四日間開催される予定だった。
(写真は、Formnext公式Webサイトより引用)
Formnext Connectとは
オンライン形式での開催背景
Formnext 2020を主催するマサゴ・メッセ・フランクフルトGmbHによると、Formnext 2020は当初、フランクフルト市が規定する健康・衛生基準に準拠する形でオンラインとオフラインの両方で開催される予定だった。しかし、今回の新型コロナウイルス感染拡大状況下や政府による規制強化から、今回の完全オンライン形式での展示会「Formnext Connect」の決定に至ったとのこと。マサゴ・メッセ・フランクフルトGmbHのペトラ・ハーバーガー社長は、完全オンライン形式での開催について以下のようにコメントしている。
現時点のドイツおよびヨーロッパでの新型コロナウィルスの感染状況に鑑みると、リアルでの展示会開催は出展者と来場者の双方への感染リスクが低くないと判断しています。また、当局による国内旅行の規制強化などもあり、今回の決定に至りました。Formnext 2020の開催準備に多くの時間を投じてきましたが、バーチャルでの展示会を開催することになりました。
マサゴ・メッセ・フランクフルトGmbHのペトラ・ハーバーガー社長
見所満載のプログラム
リアルの展示会開催が中止となり、全てオンラインになったとは言え、同展示会の魅力が損なわれた訳ではない。そのプラグラム内容はリアル形式での展示会に引けを取らない、むしろ、オンラインの特性を活かしたより、魅力的なものとなっている。以下、簡単にFormnext Connectの見所をご紹介する。現場の技術者や有識家だけの閉じた展示会ではなく、AM初心者や現在3Dプリンターの導入を検討している方を含め有益な展示会であることがお分かりいただけるはずだ。
- AM専門家や企業役員によるトーク、パネルディスカッション、インタビューなどライブ配信
- 出展社による製品プレゼンテーション、記者会見
- 自動車、航空宇宙、建築、医療技術、機械工学(VDMA)、金型製作(VDWF)など各テーマごとパネリング
- アジア/太平洋、アメリカ、イスラエルの地域、国別に見る3Dプリンティング動向のレポート
- ダルムシュタット工科大学のDDU(デジタルデザインユニット)とISM+Dによる、建築分野におけるAMの将来性に関するシンポジウム
- The purmundus challenge(3Dおよび4Dプリンティングにおけるデザインのための国際的なアイデアコンペティション)
- スタートアップチャレンジ&AMベンチャーズインパクトアワード
- AM初心者のための3Dプリンティングセミナー
- TCTカンファレンス(ACAM – Aachen Center for Additive Manufacturingの専門家によるカンファレンス。アディティブ・マニュファクチャリング、3Dプリント設計、CAD/CAE、計測・検査など)
- フォームネクストTV(首都圏スタジオからの最新レポートと、AMの世界からの現場レポートをお届け)
Formnext Connect 概要
会期 | 2020年11月10日(火)-12日(木) |
開催時間 | 9:00―18:00 (ドイツ時間) ※各種コンテンツはアーカイブされ、 2020年12月31日まで閲覧可能とのこと |
公式ウェブサイト | https://formnext.mesago.com/frankfurt/en.html |
来場者数 (2019年実績) | 34,532名 |
出展者数 (2019年実績) | 852社/36カ国・地域 |
主催 | Meago Messe Frankfurt GmbH |
Formnext 概要や国内開催について
Formnextは、アディティブマニュファクチャリングと次世代インテリジェント工業生産に関する世界最大級の国際製造加工技術専門見本市である。
2015年の初開催以来、急速な成長を続けている本見本市は、毎年ドイツ・フランクフルトにて開催されている。自動車、航空、機械工学、医療技術、電気工学などの幅広い分野において、今後導入がさらに進むと期待される工業用3Dプリンティングなどの積層造形を用いた製造・加工に関する技術、製品、サービスが世界中から集まる。
本国Formnextの姉妹イベントとして、国内でもFormnextは開催されている。
今年は「フォームネクストフォーラム 東京」が、メッセフランクフルト ジャパン株式会社主催の下、9月24日(木)-25日(金)の2日間、東京都立産業貿易センター浜松町館にて開催された。AM、デザイン、製造・加工技術、製品、材料、サービスなどの販路開拓に活用できるオフライン展示会となっていた。最新情報が満載の業界団体セミナーや出展者プレゼンテーションが行われるなど、その内容は充実しているので、来年の開催もぜひ注目したい。
未だ世界中でその猛威を振るい続ける新型コロナウイルスにより、出前、無人コンビニ、スマート宅配ロッカーなどに代表されるように、われわれの身の回りでもオフラインからオンラインへの移行が今後も増えることは確実だ。
今回のFormnext Connectの場合、リアル展示会のライブ感や、個々の出展者とのフェイス・トゥ・フェイスでの商談が出来なくなってしまうなどのデメリットも当然あるが、一方でオンライン開催になったことで、自宅からの参加が可能となり参加のハードルが下がる側面もあるだろう。
Withコロナの新たな生活様式が求められ、このようなオンラインだからこその特性を活かした展示会に更なる期待が高まる近日。国内では、ShareLab編集部がメディアパートナーを務めさせていただくTCT Japan 2021のように、オフラインとオンラインを組み合わせた展示会も開催が予定されており、今後も新たな形式での展示会が開催されていくだろう。ShareLab編集部は引き続きそれら最新情報を皆様にお届けしていきたい。
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3Dプリンタ―の”先進っぽさ”を感じさせる作りに男心をくすぐられる毎日。さまざまな業界にて活用されるアディティブ・マニュファクチャリングの今をお届けします!最近のニュースは、鳥を飼い始めたこと。