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極超音速航空機の部品製造にVelo3Dのプリンターを導入ーHermeus

Hermeus

米国の航空機製造スタートアップ企業であるHermeusは、極超音速航空機「Quarthorse」の開発を目的として、金属3Dプリンター製造大手のVelo3Dから大型3Dプリンターを導入した。Quarthorseは2023年完成予定。(写真はHermeus社製Quarthorse。出典:Hermeus)

極超音速航空機「Quarthorse」

Hermeusは、商用及び軍事用の航空機開発を担う米国のスタートアップ企業だ。2018年に設立され、NASA、米国空軍、RTXベンチャーズなどから多額の資金提供を受けている。

同社は2023年内に、世界最速の極超音速商用航空機「Quarthorse」の完成を掲げた。マッハ5で航行することができるQuarthorseは、コンコルドのマッハ2を大きく超える飛行速度で、ニューヨーク-ロンドン間を90分で飛行することができ、年間4兆円の経済効果を生み出すことが期待される。

Hermeusは、この航空機の部品及びそこに搭載される「Chimeraエンジン」の開発に3Dプリンターを活用する予定だ。速度が速くなればなるほど、強度が求められるが、多くのブレイクスルーが必要になる。3Dプリンターがこうした革新的なモノづくりに関与している。

サファイア3Dプリンター

Hermeusは、金属3Dプリンター製造大手のVelo3D社から「Velo3D Sapphire」と「Sapphire XC」という2種類の3Dプリンターを導入した。Velo3Dのサファイアプリンターシリーズは、パウダーベッド(PBF)方式の熱溶融金属3Dプリンター群だ。PBF方式については以下を参照されたい。

https://news.sharelab.jp/study-knowledge-am-pbf/

レーザー強度、温度、湿度、O2ガス密度、気圧、パウダーベッドの高さなどを自動調節することで、非常に精密な造形を可能とする。大型部品の製造も可能であり、ハイエンドの航空宇宙関連部品の製造に最適だ。

Velo3D サファイアシリーズ(出典:Velo3D)
Velo3D サファイアシリーズ(出典:Velo3D)

Velo3Dのコメント

Velo3DのCEO兼創設者であるBenny Buller氏は、本件について以下のようにコメントしている。

「極超音速航行は航空業界の中でも非常に難しい分野であり、Hermeusの目指す速度では、温度や振動、空気力学的作用が機体に大きな影響を及ぼす。Hermeusのように、極超音速航行、航空、宇宙の分野で深い知見を持つチームは少ない。彼らの目標達成のためにサファイアプリンターを提供できることを誇らしく思う。彼らの目標は必ず達成され、極超音速商業飛行は現実のものとなるだろう。」

Velo3Dの金属3Dプリント技術は、精密さ、品質管理の面で他を圧倒する。同社のサファイアシステムは、SpaceX(航空宇宙)、Honeywell(電子機器)、ホンダ(自動車)、Chromalloy(航空宇宙)、Lam Research(半導体)などから高い評価を受け、Velo3Dはこれら企業の戦略的パートナーとなっている。

Velo3Dについては、以下の過去の記事も併せてご参照頂きたい。

半導体資本設備生産に金属3Dプリンティング技術を用いる契約締結―ラムリサーチ/VELO3D

また、生産数が少なく高機能が求められる航空機には早くから3Dプリンターが活用されてきた。以下のページでも航空宇宙業界での3Dプリンター活用を紹介している。
 https://news.sharelab.jp/practice-aircraft/
 https://news.sharelab.jp/practice-space/
 https://news.sharelab.jp/?s=%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F

関連情報

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