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自動車・バイク業界で鍛えられたノウハウで他業界にチャレンジ ― 栄光デザイン&クリエーション

バイク部品

試作品製作でバイク・自動車メーカー各社のTier1ベンダーとなっている栄光デザイン&クリエーション株式会社(以下、栄光デザイン)は、約20年ほど前から3Dプリンターを導入し、最近ではペレット式3Dプリンターを導入するなど精力的に3Dプリンター活用に取り組んでいる。厳しい品質、納期、価格対応を求められる自動車・バイク業界で成長を続ける同社に3Dプリンター活用の過去、現在、未来に関してお話を伺った。ご対応いただいたのは、栄光デザイン&クリエーション株式会社の工場長の松本 康成 氏、製造1課の竹森 康征 氏だ。(写真は光造形方式で造形したバイクのメインパネル。)

顧客ニーズにこたえながら成長。手掛ける工法は約20種類!

自動車業界で鍛えられた品質と短納期対応を説明する松本工場長

シェアラボ編集部:栄光デザインさんはどのような業務を行っているか、まず自己紹介をお願いいたします。

自動車・バイク分野で樹脂部品の試作、量産を手掛ける栄光デザイン
自動車・バイク分野で樹脂部品の試作、量産を手掛ける栄光デザイン

栄光デザイン:弊社は1973年創業の自動車・バイク部品関連に強い樹脂部品の試作製作、加工業です。社員は100名、売上は20億程度です。売上の半分が試作製作、半分が量産部品の納品となっています。

シェアラボ編集部:お客さんはどのような業種の方が多いですか?

栄光デザイン:ほぼ自動車・バイクといったオートモーティブ業界のメーカーさまです。試作はTier1としてやらせていただいています。

シェアラボ編集部:サイトも拝見したのですが、非常に多くの加工法に対応されていますよね。

最短当日、驚きの対応力を持つ栄光デザイン
最短当日、驚きの対応力を持つ栄光デザイン

栄光デザイン:創業当初は真空成型からスタートしたのですが、試作品をお客さまにお届けする中で、Tier1ということもあり、さまざまなご相談をいただいてきました。その時々で自分たちの手掛ける加工法では難しいご相談にも、何とかお答えしようと頑張っていたら、対応できる加工法がどんどん増えてきました。試作は真空注型で製作することが多いです。

試作の多くは真空注型。原型を3Dプリンターで造形し複数個の試作品を短納期製作
試作の多くは真空注型。原型を3Dプリンターで造形し複数個の試作品を短納期製作

シェアラボ編集部:特急対応では3日以内に納品可能、という工法もありますね。すごいスピード感です。

栄光デザイン:もちろんお客様に完成データをご用意いただくことが前提になりますが、短納期で試作品をご用意できる点はお客様にもご評価いただいているポイントです。

自働車・バイク業界での3Dプリンター活用とは?

シェアラボ編集部:さまざまな工法に対応されていますが、3Dプリンターはどのような経緯で活用を始めたのでしょうか?

栄光デザイン:3Dプリンターに関しては約20年前から取り組んでいます。シリコン型を使った注型で部品を製作する際に、原型を光造形方式の3Dプリンターで造形する際に使ってきました。使いこなしにコツは必要ですが、オーダーいただいてからすぐに製作できますので、かなりリードタイムは短くできます。

シェアラボ編集部:現在は何台くらい稼働していますか?

豊富な経験を元にできること、できないことを明確に説明する竹森氏

栄光デザイン:20年前に導入した装置もまだ現役ですが、そちらも含めると光造形方式の3Dプリンターが4台、粉末造形方式の3Dプリンターが1台、最近導入したペレット式3Dプリンターが1台の計6台が稼働しています。光造形のご依頼は毎日平均して1,2件はございますので、毎日稼働していますね。

シェアラボ編集部:20年前というと、2000年代初旬からお使いなんですね。かなり先進的です。

栄光デザイン:当時は試作製作に直接3Dプリンターを使うのではなく、注型など原型を作るために利用することがトレンドでした。それまではエンジニアリングウッドなどを削って木型を製作していたのですが、光造形方式の3Dプリンターを活用すればより早く対応できるということで導入しまして、いまも現役です。

シェアラボ編集部:導入当初はお客様からの抵抗感などを感じましたか?

栄光デザイン:いいえ。私たちが最初というわけではありませんでしたし、何度か試してみて問題ないことがわかってからの本格導入でしたので問題無かったですね。今回導入したペレット式3Dプリンターは挑戦的な要素が強いですが、弊社はお客様と一緒に新しい工法を検証してから設備導入するというプロセスで工法の幅を広げてきました。量産のお話もご要望があって工場設備を増設し取り組んでいるところです。

シェアラボ編集部:なるほど、それでこんなにたくさんの工法に対応されているんですね。それだけユーザー企業との関係が近いのが伝わってきます。

栄光デザイン&クリエーション
装置の使いこなしノウハウで迅速に試作製作

栄光デザイン:試作分野ではTier1ベンダーということで、一番最初にお客さまのご要望を伺うことになります。さまざまな工法に手を広げてきましたが、「確実にお客さまのニーズがある実際の案件を通じて”できる”」が増えてきた形です。ペレット式3Dプリンターは、依頼時にお預かりした3Dデータから既存の材料で直接製作できるようになると、より納期を短くできると考えて導入しました。

シェアラボ編集部:3Dプリンターとほかの工法で難しさに違いはありますか?

栄光デザイン:各工法それぞれに難しさがあるので、使いこなすことが重要になる点は変わりません。また工法ごとによって得手不得手があるので、そこを理解した上で取り組む必要があります。例えば3Dプリンターは層を積んでいく工法ですので、強度のあるスーパーエンプラ材でも、Z方向の力に弱いです。そういった特徴を理解した上で、お客様にご相談いただいた際にお伝えしていく必要がありますし、お客様のご検証の形も変わってきます。

シェアラボ編集部:なんでもできるわけではないので、長所と短所をきちんと説明することが重要ということですね。試作品はどの程度作るのでしょうか?

栄光デザイン:ここにある3Dプリンターはほぼ毎日稼働しておりまして、一日1,2件造形しています。形状を確認したいというニーズも勿論ありますが、一つだけつくるというケースよりも複数個作るケースが多いです。10個から20個ほど作り、試験に利用されることが多いようです。

シェアラボ編集部:量産前の試験ということですね。注型の材料はどんな材料ですか?

栄光デザイン:ウレタン樹脂です。PP相当・ABS相当・ゴム相当・耐熱グレード・透明グレード等選択可能ですが、量産時とは違う材料になりまして、3Dプリンターとおなじ「○○ライク樹脂」となります。量産時よりもやや弱い材料となりますが、「この材料で合格すれば量産時に使う材料はより強い材料なので、安心できる」ということで、自動車業界の方々も量産前の検証でお使いになることが多いです。

シェアラボ編集部:後加工などもされますか?

栄光デザイン:はい。3Dプリントした部品は積層目を研磨で消してから塗装を行い納品することが90%です。

AUBURG社のペレット式3Dプリンター FREEFORMER300-3X

シェアラボ編集部:そういう局面で3Dプリンターも活用できそうですか?

栄光デザイン:まさにそういう狙いでペレット式3Dプリンターを導入しました。装置は量産案件を手掛ける福岡拠点に導入しているのですが、国内外の装置を慎重に比較検討して導入機種を選定しています。ドイツの AUBURG社のペレット式3Dプリンターを導入していますが、国内二件目の導入納入ということで、早くから導入できたと思います。

Arbrug社のペレット式3Dプリンター
射出成型用材料が利用可能なペレット式3Dプリンター

シェアラボ編集部:機種選定には悩まれましたか?

栄光デザイン:一通り日本で購入できる機種は比較したと思います。さまざまな観点で検討したのですが、一番こだわったのは造形精度の面でして、弊社にとっては AUBURG社のFREEFORMERが適していると考え導入しています。

シェアラボ編集部:お客様の反応はどうですか?

栄光デザイン:ご関心をいただいて実際に取り組みも始まっています。注型で大型部品を作る際の原型を3Dプリンターで用意するなどはもう20年近く行っているので私たちもよく理解しているのですが、ペレット式3Dプリンターで直接部品を製作するなどの場合は、パラメーター出しにかなり時間を使います。利用する材料や作りたい形状によって出来上がりが大きく変わるからです。試行錯誤しながら2,3日かけて条件出しをしていきます。

さまざまな材料を金型レスで製作可能
さまざまな材料を金型レスで製作可能

パラメーター開発は一回条件を固めてしまえば再現性は高いのですが、材料の種類も多く、さまざまな形状にトライされることが多いので、取り組みごとにかなり時間を使いますね。

シェアラボ編集部:自動車業界は品質や納期に非常に敏感な業界だと思いますが、ご苦労もありますか?

栄光デザイン:短納期での納品やシビアなご条件でのお仕事もありますが、それに対応できる体制を作っています。たとえば弊社ではほぼ毎日3Dプリンターで造形を行っているので、装置に故障があると納期に影響します。ですので故障時は数時間で駆けつけて装置を復旧してくれる保守ベンダーのサポートを受けています。予防保守ということでメンテナンスも早め早めで行っていくことで、安定した生産体制を維持しています。

シェアラボ編集部:20年以上装置を稼働させるための保守体制がしっかりしているんですね。

栄光デザイン:はい。保守を担当してくれている保守ベンダーさんとは良好な関係にあるので、こちらで仕事が溢れた時は協力をお願いしますし、逆に 保守ベンダーさんの装置がいっぱいになってしまった際はお手伝いしています。

シェアラボ編集部:横の連携も大切なんですね。自動車業界で培った協力企業さんとの連携でお客さんの新しいモノづくりをお手伝いしていく姿勢が栄光デザインさんの強みなんだろうなと感じました。

試作だけではなく治具製造にも対応

栄光デザイン: 生産設備に関するご相談をいただいて、複数ベンダーと連携して提案することもあります。こうしたバリューエンジニアリングや新しい工法への挑戦は弊社の強みかもしれません。お客様のご相談に対応するために、弊社にない設備を持っている協力企業に依頼を行うことも少なくありません。先日もスーパーエンプラ材をFDM方式で造形したサンプルをお客様と一緒にテストしました。

自動車・バイク業界以外への展開

シェアラボ編集部:自動車・バイク業界以外のお仕事もやっていますか?

栄光デザイン:はい。商社さんのご紹介で他の業種のお手伝いをすることも増えてきました。目的や用途、数量にあわせて最適な工法をご提案できるのが弊社の特長だと思っています。最近はホームページからのお問い合わせや代理店さんからのご依頼で幅広い業種の企業様のご依頼に対応することも増えてきました。取り組む内容は様々なので勉強しながらではありますが、いままでの設計やシミュレーション技術とモノづくりの経験をもとに、ご提案しながら取り組ませていただいています。

高性能ワークステーションで3DCADデータの作成やシミュレーションを行う
高性能ワークステーションで3DCADデータの作成やシミュレーションを行う

シェアラボ編集部:今後はどのようなチャレンジをお考えですか?

栄光デザイン:事業としては、自動車・バイク業界以外のお仕事にも幅広く挑戦したいと思っています。幅広い工法に対応できる装置と製作体制を活かして今までやったことがないお仕事にチャレンジしていきたいということで、最近でいえば半導体関連の装置に使う部品製造のために工場を福岡に新設しました。今まで培ったノウハウを活かしながら新しいチャレンジをしていこうとしています。お気軽にご相談ください。

神奈川、栃木、九州に拠点

3Dプリンターも活用し様々な樹脂加工を柔軟に対応

栄光デザインのお二人とお話していて思いついた言葉が「手堅いけれど、柔軟」という言葉だった。取材ということもあり、当初は緊張されていたので、非常にしっかりしたまじめな側面を強く感じたが、お話を続けていくと、非常に柔軟な発想で挑戦に前向きであることもわかってきた。

さまざまな工法を組み合わせて試作品を迅速にワンストップ製作
さまざまな工法を組み合わせて試作品を迅速にワンストップ製作

自動車業界で鍛えられた品質や納期感で、3Dプリント品を顧客と一緒に評価していく姿勢。これが栄光デザインの強みだと感じた。また顧客と一緒に走る姿勢を持っているからこそ、さまざまな工法に対応してもきちんと装置が稼働する仕事につながり、量産分野でも仕事を拡大することができたのだろう。

こうした姿勢は既存工法で受託加工を行っている企業には非常に参考になるお手本だ。ユーザーニーズを加味せずにいきなり高額設備を導入しても、営業が上手くいくとは限らない。ユーザーと一緒に協力工場を見つけ一緒に調達を行う中で、ニーズをかためてから自社で設備導入するという取り組みは、顧客のニーズを満たしつつ装置稼働を垂直立ち上げするために現実的な姿勢だ。顧客側も、実績・ノウハウもまだこれからの新技術を、いきなり採用できるほど余力はない。だからこそ、地に足の着いた取り組み視座を持ちながら、柔軟に挑戦する栄光デザインのような企業に相談が集まる。栄光デザインでは自動車・バイク業界以外の取り組みも精力的に取り組んでいくということなので、技術的な相談には気軽に応じてくれるという事だ。気になる方は相談してみてほしい。

栄光デザイン&クリエーション株式会社

20を超える樹脂加工の工法を武器に自動車・バイク業界の試作分野でTier1ベンダーとして業界を支える栄光デザイン&クリエーション。神奈川、栃木、福岡、熊本に拠点を展開して、試作製作から量産まで樹脂に関わるモノづくりを支えている。https://www.eikoh-dc.com/

システム開発会社のエンジニア、WEB制作会社のディレクターなどを経て独立。現在は企業コンサルティング、WEBサイト制作の傍ら3Dプリンターをはじめとしたディープテック分野での取材・情報発信に取り組む。装置や技術も興味深いけれど使いこなす人と話すときが一番面白いと感じる今日この頃。

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