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日本初!宿泊施設をコンクリート3Dプリンターで造形ー會澤高圧コンクリート株式会社

コンクリート3Dプリンターハウス

北海道苫小牧市に本社をおく會澤高圧コンクリート株式会社は、アームロボット式のコンクリート3Dプリンターを使用して、太陽の森ディマシオ美術館に併設する宿泊施設を建設した。施主の要望を強く反映した意匠が特徴的だ。

宿泊施設の建築に3Dプリンターを活用して造形した會澤高圧コンクリート

太陽の森ディマシオ美術館(公式サイトより)
太陽の森ディマシオ美術館(公式サイトより)
新冠町の説明

太陽の森ディマシオ美術館は北海道新冠町(にいかっぷまち)の大自然の中に作られたエンターテイメント美術館だ。世界最大規模の油彩画、光や音を使った演出、デジタルテクノロジーとアートの共生などを特徴とする。本美術館では、遠方からも立ち寄りやすいよう、敷地内に宿泊施設を併設する構想が立ち上げられた。集客目的も兼ねた当建設計画は、画家であるディマシオ氏の世界観を建築に落とし込むため、3Dプリンターの高い自由度を活用することとなる。

(※左画像は新冠町ホームページより)

工事を請け負ったのは地元のコンクリートメーカーである會澤高圧コンクリート株式会社だ。 太陽の森ディマシオ美術館 からの依頼を受けて、コンクリート3Dプリンターを使った3棟の鉄筋構造宿泊施設を造形。2022年7月28日にグランドオープンした。実験的な建築でなく、実際に宿泊できる施設を3Dプリンターで建設したのは、本件が国内初となる。

国内初の3Dプリンター宿泊施設のコンセプトと意匠への反映

「自然との共生」をテーマにした「nitay」(ニタイ:森の意)は、大地をモチーフに重厚感を意識して印刷。「宇宙との共生」をテーマにした「sinta」(シンタ:ゆりかごの意)には古代神話の宇宙観を示す卵形を採用した。「アートとの共生」をテーマにした「nonno」(ノンノ:花の意)は縄文から続く菱型などの植物文様をモチーフに、アール・デコ調の幾何学的なテクスチャー(表面形状)を採用した。

デッサンや3Dデータなどで會澤高圧コンクリート側が提案したデザイン案をたたき台に、テストプリントの質感を施主と共有してイメージを合わせながら、ほかにはない形状や凹凸感を実現させた。

外壁の曲面構造や、幾何学的なテクスチャーを実現したのは、3Dプリンターの功績が大きい。

「自然との共生」をテーマにした「nitay」(出典:會澤高圧コンクリート)
「自然との共生」をテーマにした「nitay」(出典:會澤高圧コンクリート)
「宇宙との共生」をテーマにした「sinta」(出典:會澤高圧コンクリート)
「宇宙との共生」をテーマにした「sinta」(出典:會澤高圧コンクリート)
「アートとの共生」をテーマにした「nonno」(出典:會澤高圧コンクリート)
「アートとの共生」をテーマにした「nonno」(出典:會澤高圧コンクリート)

建設工程

宿泊棟本体は建設現場にアームロボットを持ち込み、基礎の上に直接印刷を行うオンサイトプリンティングを採用した。建物の高さは2.6mで、床面積は9.8㎡。各宿泊棟は5~6枚のパーツで構成されており、準備や調整をふくめて1日1~2枚ずつ印刷している。

一方、宿泊棟の周囲を囲う塀は高さ1.2m、直径がおよそ12m。工場で連続的に印刷した12枚のパーツをプレキャスト部材として現場に運び込み、模様がひと続きになるように組み合わせた。工場で次々とパーツを印刷するほうがロボットの準備や調整の時間を短縮でき、オンサイトプリンティングに比べて工期をより短縮できるためだ。

今回のプロジェクトでは、3Dプリンターのポテンシャルが存分に発揮され、その可能性を形にすることができたと言えるだろう。

會澤高圧コンクリートは1935年に創業した老舗コンクリートメーカーで2022年3月期の売上は203億円。近年は先端テクノロジーを取り入れたマテリアル企業に変貌しつつあり、大学などと連携し、次世代のコンクリート(バクテリアの代謝を活用してひび割れを自ら修復する自己修復コンクリートなど)を生み出している。コンクリート材料による3Dプリンティングへの取り組みは、2018年にオランダのCyBe Constructionとの技術提携からスタート。ウポポイ(民族共生象徴空間)の外構ベンチの納入や公衆トイレの印刷、PC建築と組み合わせた立体レリーフなどの造形を手掛けてきた実績がある。今回日本で初めて宿泊施設を3Dプリンターで「印刷」した。

建築基準法という垣根を突破した国内の住宅、建築分野での3Dプリンター導入の動きは2022年に入って活性化している。人手不足、建築物の老朽化など多くの課題を抱える日本の住宅・建築業界で今後3Dプリンターがどのように活用できるか。新しいビジネスチャンスが生まれることを期待したい。

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