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【国内初】土を使った3Dプリンターモデルハウス ― Lib Work社

3Dプリンターモデルハウス「Lib Earth House」

Lib Work社は、土を主原料とした3Dプリンターモデルハウス「Lib Earth House」の建設に成功した。このプロジェクトは、環境に優しい持続可能な建築手法として、サステナビリティと環境への配慮がある。他には低コストでの建築、意匠デザインの向上、建築期間の短縮、および日本の風土への調和という特長を持っている。(上部画像は3Dプリンターモデルハウス「Lib Earth House」出典:Lib Work社)

土と石灰を3Dプリント

「Lib Earth House」は、土と石灰を使用した生石灰モルタルをベース材料とする3Dプリント住宅だ。生石灰モルタルは古くから耐水性・耐久性に優れた建材として活用されてきた。

持続可能な建築への世界的なニーズの高まりとともに、Lib Work社は、伝統的な建築材料に代わる環境に優しい選択肢として採用した形だ。このプロジェクトでは、豊富に存在する、自然分解可能な土を主原料として選び、石灰と組み合わせることで、環境負荷の低減と資源の持続可能な利用を目指した。環境への影響を最小限に抑えつつ建設コストを削減し、デザインの可能性を広げることができる。

低価格よりも安心感のある家造りを武器に

多くの企業が3Dプリント住宅に取り組む中だが、Lib Work社は2025年度からの全国販売を目指し取り組みを進めているという。2023年8月に行われたLib Work社の2023年6月期決算説明および中期経営計画投資家向け説明会の中で、代表取締役社長の瀬口 力 氏はこう語っている。

「今までの家は、木造や鉄筋コンクリート、鉄骨などしかありませんでした。小さな模型をつくるために使われる3Dプリンターがありますが、今は技術革新により大きな3Dプリンターも生まれています。当社はこの大きな3Dプリンターを海外から購入し、家をつくるための開発を行っています。(中略)注文住宅は、利益が500万円以上なければ採算が合いません。入居されてから不具合が出た時に、修理したり、面倒を見たりするのは住宅メーカーの役割です。これを放棄することはできません。」

その後に自社の取り組みはテスラと同じ戦略だと続け、テスラが「Model 3」を出した時のように、一気に半分の価格で売っていく戦略を考えている旨を明かした。

「家」を再定義する -未来の家をつくる-
「家」を再定義する -未来の家をつくる-(出典:Lib Work社)

「最初は3,000万円から4,000万円くらいの価格設定になる可能性もあります。利益も1,000万円や2,000万円の利益が出るかもしれません。ただし、その場合は完全保証であり、何があっても私たちが修理をします。そうでなければ売れないと思っているため、このようなことに取り組んでいこうと考えています。」

低価格路線の建売や注文住宅をウェブマーケティングを武器に個人顧客相手に販売業績を伸ばしてきた同社が価格と保証について語る際の言葉には重みがある。

ARUP社との戦略的パートナーシップ

ARUP社は新宿歌舞伎町タワーの装飾なども手掛ける気鋭の建築デザイン会社だが、2018年にすでにCybe社の3Dプリンターで住宅を印刷しているなど3Dプリント建築に対する取り組みでも実績を持つ。「Lib Earth House」プロジェクトは、持続可能な建築素材として土と石灰を用いた3Dプリント技術を採用している。

3Dプリント住宅の挑戦は、建設現場での実用化に向けて、材料の選定から造形プロセスの最適化まで幅広いノウハウ蓄積が必要なだけではなく、建築基準法とのすり合わせが必要だ。多くの期待と注目を背負っている3Dプリンティング建築の実用化にむけた取り組みが続くことだろう。

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