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3Dプリンターを用いた建築で国内初となる国土交通大臣認定を取得-大林組

株式会社大林組が設計した「(仮称)3Dプリンター実証棟」は、3Dプリンターを用いた建築物として国内で初めて建築基準法に基づく国土交通大臣の認定を取得し、2022年6月に着工した。11月に完成予定。(写真は、 3Dプリンター実証棟の完成予想図・外観。出典:大林組)

国内の3Dプリンター建築、建築基準法の壁

地震大国である日本では、建築基準法の要求水準も海外と比べて高い。世界各国で3Dプリンターを用いた住宅建設が盛り上がりを見せる中、日本国内では建築基準法との戦いが続いてる。

建築基準法は、従来的な木造や鉄筋コンクリートをモデルとして設計されているため、住宅の枠組みである「木柱」や「鉄骨」がない建物は建物として認められない。そうした建材を使用しない場合には、個別の申請と認可(国土交通大臣認定)が必要となる。

もちろん、3Dプリンターによる建築であっても、鉄筋や鉄骨を使うことで、制度的な課題を回避することは可能だ。しかし、3Dプリンターが持つポテンシャル(曲面形状、材料節約、工期短縮など)を最大限に発揮するためには、鉄骨などを用いず、コンクリートのみの設計が望ましい。

3Dプリンター住宅建築のための実証棟を建築

株式会社大林組(東京都港区)は、これまで3Dプリンターを用いた建設に技術投資を行ってきた。3Dプリンター用コンクリート材料の開発、国内最大規模のシェル型ベンチ製作などがそれにあたる。

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シェル型ベンチは住宅としての要件を満たしていないため、国土交通大臣認定無しに製作することができた。しかし、将来的に3Dプリンターを使った住宅建設を国内で進めるためには、認定をクリアせねばならない。

こうした背景のもと、3Dプリンターを用いながら建築基準も満足する住宅の設計が進められた。その成果として、一般財団法人日本建築センターの性能評価審査を受けた後、2022年6月、国土交通大臣認定を得た「(仮称)3Dプリンター実証棟」が着工されることとなった。

3Dプリンターによる建築物として国土交通大臣認定を取得したのは、これが国内で初めてだ。

完成予定は2022年11月となっている。大林組は、ここで得られたノウハウを今後に活かし、複数階を有する建築や面積規模の拡大を進めていきたい、と述べた。

大林組の3Dプリンター実証棟の完成予想・内観
完成予想図・内観(出典:大林組)

施工ステップと材料

3Dプリンター実証棟には、施工ステップや材料、及びその構造に様々な工夫が見られる。

施工方式として、基礎と屋上階の床板以外は、建設地に3Dプリンターを据え付けてその場でプリントする方式を採用した。3Dデータとしてデザインされた形状そのままに現地で建築ができるため、高い精度や、将来的な工期短縮が見込まれる。

1階部分を製作した後は、屋上階の床板を設置し、3Dプリンターをその上に移動させる。今回は1階部分と屋上からなる構造だが、この方式ならば、技術的には複数階の建築が可能だ。

大林組の3Dプリンター実証棟の施工ステップ説明
施工ステップ(出典:大林組)

材料と構造の最適化

構造部材は屋上階の床板も含め、全て3Dプリントで製造された。材料にはデンカ株式会社の「デンカプリンタル」と、大林組が自社開発した「スリムクリート」が用いられている。

外壁は、デンカプリンタルで外枠を作り、できた枠にスリムクリートを流し込む、というステップで製作された複層壁だ。

スリムクリートは鋼繊維を含む超高強度の補強コンクリートであり、十分な強度を担保するため、建物全体の軽量化や、材料の節約に寄与する。

床板は、かかる力を計算し、生じる力が分散するように補強されている。これは複雑な曲面形状をデザイン通りに作り出すことのできる3Dプリンターならではの構造的工夫だ。

大林組の3Dプリンターで製作される複層壁の構造説明図
3Dプリンターで製作される複層壁(出典:大林組)
大林組の3Dプリンター実証棟の床板構造を表した図
床板構造(出典:大林組)

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