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廃棄されるキャベツの芯をフード3Dプリンターで活用。食感も設計する時代へ― 農研機構

農研機構は、乾燥・粉砕して粒の大きさを調整したキャベツの芯を用いて、歯ごたえのあるペースト状食品の造形方法を発見した。キャベツ芯部の粉砕物をもとに、3Dフードプリンタで造形する際の食感も設計できるめどが立った。日本でもフードテック分野での研究が着実に進んでいることを感じさせる発表となった。

食感のあるペースト状食品を造形することで、廃棄されがちなキャベツの芯の栄養・機能性成分を摂取できるだけでなく、カット野菜製造時などに生じるフードロスの削減も期待できる。栄養素だけではなく、食感も設計する時代になる。

キャベツの芯を粉砕しフード3Dプリンターの材料に

キャベツの葉と芯の粉砕物 出展:農研機構

キャベツの葉と芯の粉砕物 出典:農研機構

キャベツの芯はキャベツ一玉の重量のうち15%を占めるが、葉と比べて硬いため、多くの場合は加工段階で切り離され、廃棄されている。日本食品標準成分表2020年版(八訂)でもキャベツの芯は廃棄部位とされているものの、芯部が食物繊維やアミノ酸、ビタミンC、ビタミンU、リン、カリウム、カルシウムなどの栄養に加え、クロロゲン酸、ケルセチングリコシドといったポリフェノールを含んでおり栄養素は豊富だ。キャベツの芯を廃棄することは、フードロスといえるだろう。

これまでもキャベツの芯は、その栄養や機能性成分を保持したまま利用するために、乾燥微粉末に加工されて、さまざまな料理に添加されてきた。しかし、微粉末化するとキャベツならではのシャキシャキした食感が消失するため用途は限定されている。このような食感の問題はキャベツに限らず、多くの食品で課題となっていた。

農研機構の今回の研究は、その硬さがゆえに廃棄されてきたキャベツの芯のフードロス削減だけでなく、食感を楽しめる新素材としての付加価値を見出すものになる。

キャベツの芯をフード3Dプリンターの材料にする農研機構の研究

キャベツ芯部由来粗粉末の活用イメージ-出展:農研機構

キャベツ芯部由来粗粉末の活用イメージ 出典:農研機構

農研機構は、次世代食品加工技術として注目される3Dプリント食品の製造をめざし、キャベツの芯の需要拡大に向けた新たな利用方法を研究した。3Dプリント食品は、食品用の3Dプリンターを用いて食品を造形することで、食品業界における製造コスト削減や人手不足の解消、環境に優しい食品製造方法につなげられると近年期待が集まっている分野になる。

農研機構では最初に、キャベツ芯から粒径1ミリメートル未満の乾燥粗粉末を調製し、吸水後の潰れやすさを調べたところ、芯の硬さを活かした新素材となることを見出した。

この粗粉末をペースト化してシリンジの先端(ノズル内径8ミリメートル)から押し出すと造形時に粗粉末が飛び出すことで、表面が粗くなることを発見、さらに、キャベツ葉由来の微粉末などの軟らかい素材との混合や加水量調整することで、多くの食品用3Dプリンターで採用されている内径2ミリメートルのノズルを用いても、途中で切れることなく押出成形が可能であることも判明した。つまり、キャベツの芯の食感を残したまま、フード3Dプリンターに使用するための条件が確認できたことになる。

フードロス回避から食感の設計へ・・フード3Dプリンターの可能性

従来の野菜の微粉末を原料とする3Dプリント食品は、柔らかいペースト状になりやすく、造形する食品の食感表現の幅が狭くなるという課題があった。

今回の研究を応用することで、硬い食感を持つ新たな粗粉末をフード3Dプリンターに活用できる可能性が示された。豊かな食感表現が可能になればフードロス削減にも寄与するはずだ。

農研機構は今後、この粗粉末を用いた次世代食品加工の幅を拡げつつ、カット野菜製造企業などと連携し、実用化を加速させていく予定だと発表している。

食品を3Dプリントする技術は、まだ一部でしか実用化されておらず、今後の研究開発が期待される分野だ。ShareLabNEWSでも、これまでフード3Dプリンティングに関する多くの事例を取り上げてきた。以下のリンクにまとめているので、そちらもぜひ参照してほしい。
https://news.sharelab.jp/?s=%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89

関連情報

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

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