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福井大学医学部が3Dプリンター製の側頭骨模型を利用

ケズレックスを用いた解剖コースの様子/出典:ジャパン・メディカル・カンパニー社

福井大学医学部が、2023年3月25日に福井大学医学部附属病院で開催された「第一回福井側頭骨解剖コースwith 福島孝徳」にて、3Dプリンター製の精密医療模型「KEZLEX(ケズレックス)」を利用した。KEZLEXは、医療領域で製品開発を行う株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(本社:東京都中央区)が開発した製品である。

この解剖コースは、頭蓋底腫瘍の手術の世界的権威である福島孝徳氏が講師を担い、福井県内の若手脳神経外科医の手術技術向上を図ることを目的として開催された。(画像はケズレックスを用いた解剖コースの様子/出典:ジャパン・メディカル・カンパニー社)

医療模型、KEZLEXの特徴

解剖コースで活用された3Dプリンター製の「内部管腔着色済み側頭骨」/出典:ジャパン・メディカル・カンパニー社
解剖コースで活用された3Dプリンター製の「内部管腔着色済み側頭骨」/出典:ジャパン・メディカル・カンパニー社

ケズレックスは、患者になるべく負担をかけない安全・正確・迅速な手術の実施を支援するため、過去25年にわたり、脳神経外科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科などの医師たちの協力をうけて改良をすすめ、開発された。日本国内の脳神経外科領域では、日本神経内視鏡学会の認定医試験で採用されている。

人骨と同様の削り心地、人体の内部構造を再現するために、CTやMRIなどから得た3次元データをもとに、3Dプリンターで人骨の内・外部で造形されている。側頭骨内部は耳小骨の微細構造まで再現されており、管腔内の着色によって、構造の把握をしながらの削開が可能。

福井大学医学部医学科感覚運動医学講座 脳脊髄神経外科領域教授の菊田健一郎氏は、ケズレックスの頭蓋骨モデルの有用性について次のように述べている。

「プラスチック製であるためダイヤモンドドリルを使用すると溶解してうまく削れない可能性があったが、カッティングバーを用いることで骨の質感や削った感触は実際の頭蓋骨と遜色なかった。内部構造も半規管、蝸牛、前庭、中耳など大変よく再現できており、極めて有意義な実習ができ感心した。課題としては少しSigmoidが太すぎて、前方変異しているため、最も大切な乳様突起のPresigmoid部分の面積が狭いこと、卵円孔に三叉神経第3枝が欲しいと、内耳道に4本の神経を入れて欲しいこと、錐体骨内頸動脈菅は赤で着色して欲しいこと、舌下神経管は青で着色して欲しいことなどの要望が挙がった。」

改善点はあるものの、KEZLEXの品質の高さには満足しており、有意義な実習につながったようだ。KEZLEX着色部位・使用例・導入実績は以下のとおりである。

【着色部位】

  • 顔面神経管
  • 三半規管
  • 蝸牛
  • S状静脈
  • 台錐体神経
  • 硬膜

【使用例】

  • 頭骨の削開トレーニング
  • 耳の内部構造理解のための教材
  • ハンズオンでの使用 等

【導入実績】

  • 神戸大学
  • 山梨大学 他

ケズレックスは国内外のハンズオンセミナー(手を使う体験型学習)や、手術のシミュレーションなど、幅広い用途で利用され。美容整形・歯科で1,000症例以上の導入実績があり、アメリカ、イギリス、ドイツなど海外でも利用されている。海外においては2023年1月にイタリアのナポリで開催されたIFNE(国際神経内視鏡連盟)が主催するワークショップイベントでの講義や解剖モデルでのデモンストレーションに利用されている。

このワークショップイベントについては、過去にShareLab NEWSでも詳しく取り上げている。ぜひ以下のリンクからご確認いただきたい。

今回の解剖コースでは、健常者のCTデータから3Dプリンターで再現した側頭骨モデルが使用された。側頭骨内部は耳小骨の微細構造まで細かく再現されている。この「内部管腔着色済み側頭骨」と呼ばれるケズレックスは、耳鼻咽喉科の実習でも多くの使用実績があり、日・米・英で特許を取得している。管腔内が着色してあるため、構造の把握をしながらの削開技術の習得ができる。

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今回のニュースに関連が深いものとして、これまでShareLab NEWSで発表してきた記事の中から、医療分野をテーマにしたものを2つ紹介する。ぜひ、あわせてご覧いただきたい。

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