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歯科矯正に3Dプリンター活用を!歯科矯正の民主化をめざすOh my teethの躍進

3Dプリンターは医療分野での活用が期待されており、実際に義足の製造や生体インプラントなどの実用化が進められている。歯科業界でも活用が進んでおり、多くの3Dプリンターが導入されている。そうした熱い分野の一つに歯科矯正がある。今回は3Dプリンターを活用した歯科矯正事業を推進するOh my teethの西野代表にお話を伺い、新領域を切り開く同社の取り組みを伺った。

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シェアラボ編集部:Twitterで西野社長よりお声がけいただき、今回取材の運びとなりました。ありがとうございます。

西野:3Dプリンター業界はまだ成長途上だと思います。私たちのような活動ももっと知っていただきたかったので、取材のお願いをさせていただきました。

シェアラボ編集部:早速お取り組みに関して、いろいろお聞かせください!

Oh my teethの導入クリニック内観

西野:はい。私たちは3Dプリンターを活用した歯科矯正に取り組んでいます。現在東京の表参道と有楽町、大阪の心斎橋にOh my teeth導入クリニックがあるのですが、クリニックで歯並びを測定し、実際に歯科矯正用のマウスピースを造形します。

歯並びを3Dスキャンする様子

歯科医師の資格を持ったドクターと連携して業務を行っています。クリニックではユーザーのヒアリングを行ったあと、口腔内を3Dスキャナーでスキャニングします。そして歯並びを3Dデータとしてモデリングします。

スキャンしたモデルをスマホで表示させるイメージ

スキャンしたモデルをもとに、矯正する箇所を特定し、矯正用のマウスピースを設計します。

シェアラボ編集部:クリアな材質で、すごくしっかりした作りですね。

西野:設計にはドクターも参加し、3Dプリンターで造形しています。

歯科矯正のマウスピースは毎日20時間きちんとつけないと矯正の効果がでません。いままで装着管理はユーザーに委ねられていたのですが、私たちはLINEで装着の報告を送っていただくことで、ユーザーの装着状態をトラックできる仕組みを構築しています。コストも一般的な歯科矯正料金の相場が100万円台であるのに対して、上下前歯の部分矯正にすることで30万円台まで下げました。

シェアラボ編集部:装着リマインドだけでなく応援メッセージも届くんですね。

西野:歯科矯正は継続する努力が必要で、実は3割(Oh my teeth調べ)の人が途中で挫折してしまうんです。こうして応援、リマインド、進捗の可視化を、毎日見るLINE上で行うことで、挫折しないようにお手伝いしています。歯科矯正では、平均18回通院しないといけないといわれていますが、私たちの場合は定期通院は原則不要で最低1回ですみます。継続できている方の割合も97%(Oh my teeth調べ)と非常に続けやすい仕組みになっていると思います。

ビジネスとしては?

シェアラボ編集部:実際取り組んでみて、ビジネスとしてはどうでしたか?

西野:手ごたえを感じています。

2019年から提供を開始し、2022年4月11日時点で希望者は2万人を突破しました。東京と大阪にある導入クリニックでは、総来店者数が7000名を超えています。

欧米では歯列矯正は非常に関心も高く、市場規模も大きいです。ですが、日本人の58%は歯並びが悪いと思っているにもかかわらず、治療を受けていません。(出典:厚生労働省 / インビザラインジャパン株式会社)。問題意識はあるのですが、痛い、時間がかかる、お金がかかるなどの負のイメージが先行して、治療に踏み切れない方が多くいらっしゃるんです。Oh my teethのマウスピース矯正は軽度に特化しているため、そのうちの7割の方、つまり1143万人が私たちの潜在顧客だと思っています。私たちの顧客単価は33万円ですので、約3.8兆円の市場を見据えて活動しているところです。

シェアラボ編集部:確かに、オンライン会議で自分の顔を見る機会が増えて歯並びが気になってきたり、マスク生活がきっかけで「バレにくい今のうちに歯並びをなおしたい」と考えたりする人も増えていそうですよね。

西野:今後はOh my teeth導入クリニックを増やし、さらに多くの方にOh my teethの新しいマウスピース矯正体験をお届けしたいと思います。

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新しいビジネス創出とからめて語られることが多い業務用3Dプリンターだが、日本でゼロから新しい歯列矯正事業を立ち上げたOh my teethは無視できないインパクトがある。

Oh my teethでは、ユーザーに寄り添うために、単純に3Dプリンターで矯正用マウスピースを作る以外に、導入クリックの協力を得たリアル場でのヒアリングをはじめとした歯科矯正のフローを整備し、利用を継続できるようなLINE連動アプリの開発を行っている。こうした総合的な顧客体験の設計と実現が成功の要因なのだろう。

製造業だけの視点、テクノロジーだけの視点ではなく両者を組み合わせた事業展開を実現している同社の取り組みには今後も注目していきたい。

関連情報

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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