1. HOME
  2. 業界ニュースTOP
  3. 半導体産業向けサブミクロン3Dプリンター ― IN-VISION

半導体産業向けサブミクロン3Dプリンター ― IN-VISION

In-Visionの新装置による7umの造形サンプル

電子機器の小型化が進むにつれて、より小型の光学部品に対する需要が増加の傾向にあり、部品の小型化への対応は開発者を悩ませる頭の痛い課題だ。現状ではまだコスト負担が重く、実験室以外では実用的とはいえないが、サブミクロンサイズの光学デバイスを3Dプリントする取り組みには大きな期待がかかっている。世界各地で装置改良や技術開発が進んでいる状況だ。

オーストリアに本拠地を置く高精度光学デバイス開発会社In-Visionもデバイスの小型化を3Dプリンティング技術を活用して実現しようと取り組む企業の一つだ。In-Visionはインド科学研究所バンガロール校の教授タパジョティ・ダス・グプタ氏とムンバイに本拠を置く3Dプリンター企業のJ Group Roboticsと協業し、サブミクロンの解像度を実現した3Dプリンターを開発した。対象となる産業は主に半導体業界を想定しており、より柔軟なサプライチェーンを構築することを狙っている。(上部画像はIn-Visionの新装置による7μmの造形サンプル。出典:IN-Vison)

すぐに使える樹脂を使用した高さ 7um のレーザー顕微鏡サンプル
すぐに使える樹脂を使用した高さ 7um のレーザー顕微鏡サンプル(出典:IN-Vison)

デバイスの小型化需要と生産のハードル

平均的なスマートフォンのカメラから拡張現実や仮想現実の機器に至るまで、高性能光学デバイスは日常生活でも今後増えることだろう。問題は、光学デバイスには高精度なナノ構造部品の製造が必要という点で生産には高価なクリーンルームや複数の専門的な生産設備を必要とする点だ。

顕微鏡で見た人間の髪の毛。In-Vision 経由の画像。

In-Visionは光造形方式の一種であるDLP方式の3Dプリンターの平均的な解像度である1~2ミクロンを大きく凌駕する405ナノメートルの解像度を実現できる独自開発のチップセットを開発することで、サブミクロンサイズの造形を実現した。従来のようにクリーンルームで複数台の装置を使った生産プロセスではなく、1台の高精度3Dプリンターに簡素化することで生産に対応することを狙っている。適応分野もAR/VRヘッドセット、一眼レフカメラ、スマートフォン用の小型フォトニックデバイスの製造だけではなく、コンタクトレンズで使用するヒドロゲルやバイオポリマーの生産にも対応できる。(写真は髪の毛。 出典:IN-Vison)

またスペクトル分析を通じて非常に低濃度の材料で新型コロナウイルス感染症やその他の病原体を検出するバイオセンサーの製造にも活用できるということで半導体産業以外にも活用が見込めるという。

靴底、歯科、コネクターに次ぐ市場はエレクトロニクスか

現時点で、樹脂3Dプリンティングの最大の市場は、靴底、歯科、コネクターといえるだろうが、次の大規模アプリケーションとしてエレクトロニクス分野が有望視されている。部品がますます小型化するにつれて、従来の製造技術が限界に達しつつあると語る専門家もいる。

ウィーン工科大学の教授ユルゲン・スタンプル氏は「特に小型部品の場合、現在利用可能な大規模な造形領域を考慮すると、AMはすでに射出成形のスループットを提供できるようになりました。」と、In-Visionのサイト内で設計者が微細分野での3Dプリンター活用に慣れていないという問題を指摘。エレクトロニクス分野での活用が期待できると語っている。

微細造形の関連情報

今回のニュースに関連するものとして、これまでShareLab NEWSが発表してきた記事の中から3つピックアップして紹介する。ぜひあわせてご覧いただきたい。

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

資料ダウンロード 3Dプリンティング国内最新動向レポート

サイト内検索

関連記事

最新記事

おすすめ記事