1. HOME
  2. ブログ
  3. 1,000万円のカーボンファイバー製オーディオ部品を3Dプリンターで開発

1,000万円のカーボンファイバー製オーディオ部品を3Dプリンターで開発

イギリスのオーディオメーカーWilson Benesch社が、自社オーディオ製品に使用するカーボンファイバー(炭素繊維複合材料)を、3DプリンターメーカMarkforged社製の3Dプリンターで作成した。

今回、このオーディオ部品で3Dプリンターを利用した背景や、3Dプリンター業界でカーボンファイバーが注目されている理由もあわせてご紹介する。

3Dプリンターで造形された炭素繊維複合部品を使用したターンテーブル
3Dプリンターで造形された炭素繊維複合部品を使用したターンテーブル

10年をかけて開発されたオーディオ部品に採用された3Dプリンター

Wilson Benesch社は、新しいターンテーブル「GMT ONE System」を2022年に発売する予定で希望小売価格は約1,000万円を予定している。価格も驚きだが、このターンテーブルは開発まで10年前の歳月をかけているという点にも注目だ。

10年もかけて開発製造された「GMT ONE System」は卓越した製造品質と仕上げ品質を期待する最も目の肥えた消費者のために設計されている。そのような最高級路線の商品の部品生産に、Markforged社の3Dプリンターが採用されている。

なぜMarkforged社の3Dプリンターが採用されたのか

Wilson Benesch社は炭素繊維複合材料が消費者向け製品では珍しかった時代に、カーボンファイバー部品を採用している。その後、すべての製品にカーボンファイバーを採用し、業界をリードする性能を実現しているなどカーボンファイバーに対するこだわりが歴史から読み取れる。そのため、Markforged社の世界で唯一カーボン連続繊維を造形可能な3Dプリンターを採用したのだろう。

今回の事例では、Markforged社の直感的なAI駆動の積層造形プラットフォームである「Digital Forge」により、Wilson Benesch社は、従来の方法では製造不可能であった複雑な三次元部品を作成することができるようになった。Markforged社製の3Dプリンターが作成したナイロン構造物において、最大限の剛性、最適なエネルギー減衰、質量低減のために、カーボンファイバーが使用されている。

Wilson Benesch社の共同経営者であり、デザインディレクターのCraig Milnes氏は以下のように述べている。
「Markforged社がなければ存在しなかった新製品もあります。たしかにGMT ONEシステムはWilson Benesch社がこれまで取り組んできた中で最も野心的な製品開発の道筋をたどりました。Markforged社のおかげで、先進的で高性能な構造や部品を開発し、製品の性能を新しいレベルに引き上げ、より短期間で市場に投入することが可能になります。以前は製品開発で使用する部品をCNC工作機械で金属からセットアップして作成するのに1週間以上かかっていましたが、3Dプリンターを用いた試作品作成では、カーボンドープナイロンから同じ部品を数時間で製造可能です」

3Dプリンターを用いることで、コストカットにつながるだけでなく、より複雑な構造の部品作成も可能になったということだ。

 カーボンファイバーを用いたオーディオ製品
カーボンファイバーを用いたオーディオ製品

カーボンファイバーが注目されている理由

カーボンファイバー材料は治具、固定具、ツールなどの広範なエンドユース・アプリケーション向けの3Dプリンターでよく使用されている。

すでにご承知の方も多いと思うが、カーボンファイバーだけで使用されることはめったにない。通常、他の材料と組み合わされて複合材料と呼ばれるものを形成し、炭素繊維強化材料と呼ばれる。金属材料の代替になるほど強度が高いが、軽量で、汎用性も高い特徴をもっている。自転車のフレーム、航空機の翼、プロペラブレード、自動車部品などの特徴を生かせる多くの分野で活用されている。

Wilson Benesch社について

Wilson Benesch社は、イギリスに本拠を置く家族経営のブランドで、ハイテクな家庭用オーディオ製品の設計と製造に特化している。性能、技術、そして先駆的な製品デザインにおける新しい基準を定義することが最も重要なこととされており、その最初の製品であるレコード再生用のターンテーブルは、同社のイノベーションのストーリーを示す好例だ。

先に述べたように、同社のカーボンファイバーに対する専門性の高さは業界でも随一だ。同社のデザインディレクターであるCraig Milnes氏は、自社のカーボンファイバー使用について次のように述べている。

多くの消費者は、カーボンファイバーの使用を額面通りにしか受け取らないかもしれません。実際、この素材は現在、消費者向け製品の表面仕上げとして、ある製品が「ハイテク」であるという考えを抽出するためによく見られます。しかし、Wilson Benesch社の場合は、炭素繊維を使った複雑なハイブリッド構造を革新しており、他の素材を使った同様の構造よりも、かなりの差で勝っています。このように、私たちは競合他社に対して性能面で大きな優位性を獲得しているのです。

また、同社の共同経営者兼マネージング・ディレクターのChristina Milnes氏は、「2021年には、革新的な製品設計がこれまで以上に重要です。今日の消費者は高い知識と情熱を持っており、ブランドとその製品を以前よりも密接に結びつけ、知るようになっています。この点で、私たちは真にユニークで本物のものを提供していると自信を持っています」と述べた。

まとめ

鉄の4分の1の軽さで、10倍の強度を持ったカーボンファイバーは、自動車業界や航空業界で特に注目を集めている素材だ。Markforged社は世界で初めてカーボンファイバーでの造形が可能な3Dプリンターメーカーとして、今後ますますさまざまな業界で重宝されることになるだろう。

関連情報

カーボンファイバー×3Dプリンター事例

さまざまな業界で活用されているカーボンファイバーの事例をチェック

ShareLab NEWS

国内外の3DプリンターおよびAM(アディティブマニュファクチャリング)に関するニュースや最新事例などの情報発信を行っている日本最大級のバーティカルメディアの編集部。

関連記事

最新記事

おすすめ記事