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4Dプリンティングの現在

POINT

  • 形状記憶素材などを造形材料に用いて、何らかの「入力」により時間と共に形状が変化する造形物を3Dプリンターで造形する取り組みを「4Dプリンティング」と呼ぶ動きがある。
  • 時間の概念を取り入れているから3Dではなく4Dと呼ばれている。

水温の変化で動くように設計された4Dプリンティング潜水艇の模型

スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETHチューリッヒ)では、水温の変化でパドルを稼働させ、前や後ろに進む小型潜水艦の模型を4Dプリンティング的なアプローチで作成した。造形材料として用いられている形状記憶ポリマーが水温の変化で形状変化をおこし、筋肉のようにパドルを前に動かし推進する。次に温度の変化を検知することで初期ポジションにもどり、温度変化があれば動作を継続できる仕組みだ。(ETHチューリッヒのリリース

薄い形状記憶ポリマーの方が、温水でより速く熱が伝わり、形状変化しやすい。こうした造形素材の特性を考慮し、自律的に動作するように設計・プログラムすることが4Dプリンティングならではだ。 こうした素材の特性をいかした動力を「マテリアル駆動」とよび、日本でも研究をすすめる動きがある。

バイオ4Dプリンティングによる細胞のodangoとkenzan

バイオ3Dプリンターで細胞を意図した形に配置することで、組織や臓器の造形を目指す取り組みが、再生医療分野ですでに始まっている。

中山功一・佐賀大教授(臓器再生医工学) は 京都府立医大と共同研究で人工透析患者向けの太い血管(シャント)の造形に取り組んでおり、 患者自身の皮膚細胞などを原材料に、透析用の太い血管をつくる事を目指している。

中山教授は整形外科医としての経験から、金属のピンを骨片に刺して形を整える骨折手術で用いられるアプローチから着想をえて、細胞を生け花の『剣山』のような針に刺して団子状にかためると細胞同士がまとまり立体的な構造物を造形できる事を発見した。 英語論文でもdango、kenzanと記載して話題をあつめたという。

細胞の団子を剣山にさす工程は細胞自体が大変小さいため。人の手で再現するのがむずかしいアプローチだったが、バイオ3Dプリンターを活用することでだれもが再現可能な手法まで昇華できたといえる。

磁性体で造形し磁力で「動かす」取り組み

同じように造形材料の特性を生かした3Dプリンティングの例として、磁性体による造形が挙げられる。ネイチャーでこの動画の詳細が触れられてるが動画を見ると何ができるか一目瞭然だ。https://www.nature.com/articles/s41586-018-0185-0

3Dプリンターで造形した磁性体は磁力でコントロールすることで、形状を変えるだけではなく、ジャンプさせたり移動させることが可能。 柔軟に動作を行うことができる磁性体による造形物はエレクトロニクス分野、医療分野などでさまざまな用途に活用が期待できるだろう。

4Dプリンティングの定義と可能性

3Dプリンターで造形したものが、素材の特性で時間の経過や外部からの入力で形状を変える。造形後の動作、形状変化を見越して(プログラムして)造形することが4Dプリンティングの特徴であり可能性であるといえる。

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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