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産業用大型3Dプリンター、月額30万円でレンタル開始 ― Bfull

愛知県一宮市の株式会社Bfullは、産業用大型3Dプリンター「ZRapid iSLA880」の6ヶ月限定短期レンタルサービスを開始した。本体価格約2,000万円の機器を月額30万円で利用できるサービスだが、こうして価格をオープンにしているケースは珍しい。また毎月10kgの材料も料金内に含まれている点も目を惹く。(上部画像は株式会社Bfullの産業用大型3Dプリンター「ZRapid iSLA880」出典:株式会社Bfull)

年間150万パーツ以上を製造する本格的な樹脂3Dプリンターの受託製造企業Bfull

Bfullはホビー玩具業界向けに3Dプリンターでフィギュアを量産してきたノウハウを元に、自動車業界をはじめとした各種産業向けに試作品製作や3Dプリンターの販売を手掛けている。自社工場内に数十台の大型光造形装置を備え、製年間150万パーツ以上製造している本格的な3Dプリンターの受託製造企業でもある。そのBfullが自社製造でも使っているのがZRapidの樹脂3Dプリンターだ。昨年工場を取材した「年間150万パーツをAM製造するBfullの知られざる実態 ― Bfull 」もご参照いただきたい。

Bfullレンタル
Bfullレンタル

材料費込み・専門家サポート付きの短期レンタルサービス

ZRapidは中国の大手3Dプリンターメーカーで、金属・樹脂の3Dプリンターを製造している。国内では金属3DプリンターをDOHOが、樹脂3DプリンターをBfullが販売・保守を担当している。従来からBfullは展示会でも装置の価格を明示し導入しやすい大型装置としてPRをしてきた。本サービスの特徴は以下の4点だろう。

大型透明部品も造形できる
  1. 月額30万円の料金に毎月最大10kgまでの造形材料(ABSライク樹脂)が含まれている
  2. 3Dプリンター専門家による初期設置から運用サポートまでが付属している
  3. 洗浄用タンクと洗浄剤が標準装備されている
  4. 契約期間(6ヶ月)終了後は、機器の購入または契約終了を選択できる

対象となるZRapid iSLA880は、最大造形サイズW800×D800×H400mmの大型光造形3Dプリンターである。光硬化性樹脂に紫外線レーザーを照射して造形を行う方式を採用しており、高精度な造形と優れた表面品質が特徴だ。

橋の模型(Bfull)
橋の模型
左写真を引いてみた橋の模型
都市景観も造形実績あり

同社広報によると、「産業用3Dプリンターは買わないと試せない」という産業用3Dプリンター導入における課題を解決するために企画された。導入を検討している企業が、実際の運用テストを通じて投資判断できる機会を提供することを目的としている。

3Dプリンターのレンタルでメリットがある企業は?

対象顧客は、3Dプリンター導入を検討している法人企業、特に試作・製造業務の効率化やコスト削減を目指す企業である。詳細な情報はBfull社のレンタル専用サイトで確認でき、サービスに関する問い合わせも、受付けている。

「3Dデータ製作もまだこれから」という企業は別として、すでに業務用の廉価帯3Dプリンターを活用しており、より大型の造形に展開したい企業や、フィラメント材料を使用するMEX方式の経験を有し、より高精度な大型試作のために光造形装置の導入を検討している企業にとっては、絶好の機会となるだろう。やはり限られた部品の試験造形だけでは導入効果を想像する他ない部分が残る。大型部品を一体造形する、複数部品を同時に混載して製造するなど導入後にどう運用するかのイメージを実践しながら固めていくことができるのは大きなメリットだろう。

一定期間のレンタルはオリックス・レンテックや一部の販社が提供していたが、実務での検証機会を得られる本サービスは、投資判断における重要な指標となることが期待される。

3Dプリンターのレンタルにかかる費用は?

ちなみに大型の精密装置は搬入、据付け、初期講習、終了後の搬出にも費用がかかる。また光造形装置ということで、造形後の洗浄や硬化に関しての装置も必要だ。その点を担当者に聞くと、一部地域を除いて料金内であるという回答が返ってきた。

「搬入、据付、初期講習、搬出の費用はレンタル費用に含み弊社負担です。設置場所に関して事前確認を行いまして、2Fフロアや、荷下ろし後に運搬が難しい場所の場合や運搬重機が必要な場合は別途費用をお見積いたします。運搬費用に関しては、今後WEBサイトへ明記しますが愛知県から関東近郊を目安としておりまして、九州や北海道などの場合は送料の差額を見積いたします。他備品として、洗浄用具、二次硬化機器もレンタル内容に含みます。」(Bfull広報担当者)

本格的な大型光造形装置を付帯設備も含めてイニシャル0で試験導入できるという点はかなりのメリットがあるオファーだ。レンタル備品に含まないものとしては、月10kg以上の樹脂材料費、洗浄剤、清掃用消耗品類(ダスターなど)、スクレイパー、出力品用トレーなどがあるということだが、選定や代理購買も可能ということだった。

各種展示会に出展する際は、装置の価格をわかりやすく明示する明朗会計が印象的なBfullだが、レンタルに際しても透明性の高いスタンスで提供を行うようだ。検討の際は選択肢に入れておくのもよいかもしれない。

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編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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