設計概念からAMを革新、解析ベースの3D造形システムを提案-株式会社データ・デザイン
2020年1月29日から3日間に渡り、東京ビッグサイトで開催される国内最大級の3Dプリンティング & AM技術の総合展「TCT Japan 2020」。ShareLab(シェアラボ)編集部は同イベントのメディアパートナーとして事前情報をお届けしていく。
株式会社データ・デザイン(以降、データ・デザイン)は機械加工、生産現場向けソフトウェア開発から出発した会社だ。CAD/CAM/CAEソフトウェア販売を拡大する中で、3Dツールの提供範囲を拡大させながら 航空機や医療機関向けのソリューションを展開し、近年ではAIやVRにも取り組んでいるという。 入口から出口までサポート 非常に幅広い活動をおこなっているが、何がデータ・デザインの強みなのか? 同社のセールスユニット マーケティングG マネージャー 今田 智秀氏にお話を伺った。
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――早速ですが、データ・デザインさんの会社の自己紹介をお願いします。
はい。私たちデータ・デザインはその名の通り、モノづくりの領域で「データをデザインする」お手伝いを行う会社です。1989年の創業当時は機械加工、生産現場向けのソフトウェア開発から出発しました。 CAD/CAM/CAEなどのソフトウェア販売を拡大する中で、最近では3Dに特化して製造業のデジタルトランスフォーメーションをご支援しています。
――非常に幅広い領域を手掛けられていますね。いま社員さんは何名くらいで活動されていますか?
データ・デザインとしては50名ほどです。その他に海外開発拠点や関連会社をあわせると100名ほどになります。
私たちは 販売を専門に行う商社ではなく システム開発もおこなっています。大手のSI’erさんの依頼を受けて私たちが開発するなどの取り組みもありますので、より現場に近い小回りが利く動きができるのではないかと思います。
そういう意味で、モノづくりのプロセスを変えていく際に必要なものを「入口から出口までコーディネートできること」が私たちの特徴かと思います。モノづくりをデジタルの世界に対応させていく際に必要なものは非常に多いので、何から取り組むべきか迷われる方も多いと思います。データ・デザインでは、6つのテクノロジーをご紹介しながら取り組み方のご相談に乗っている形です。
――6つのテクノロジとは何でしょうか?
スライドで表現しているように、いまAMに取り組む際に必要なものを6つのテクノロジでお伝えしています。
たとえば3Dデータがなければ、3Dスキャナーをご用意しデータを作るところからはじめます。スキャンした表面データをポリゴンにし、3DCADでも使えるデータに変換する際に使うソフトウェアをご用意します。3DCADで制作した製品データがあれば、3Dプリンターをご案内します。切削とのハイブリッドもご提案しているところです。現場でVRやARを活動した製品に図面や指示を投影した仕組みなどもご案内が可能です。すべて実際に導入が可能なご提案になっています。
――各々、非常に専門性が高い内容だと思うのですが、どのようにサービス提供されていますか?
代表も工作機械メーカー出身のエンジニアですし、リーダー層も20年選手です。技術をちゃんと理解しているメンバーがお客様に寄り添いながら活動領域を広げていきました。またプロパー比率が非常に多いです。生え抜きで育てていくので、若いメンバーを採用する中で相乗効果も生まれていますが、受け継がれる知識やノウハウがあると思っています。担当ごとに専門性を高めたチームに分かれていますが、協力してご提案を進めていくので、カバー範囲が広い提案を実施レベルでご提案できているかもしれません。
そういう意味では、大手のSi’erさんのような大規模な案件や画一化したパッケージを一斉に販売するという体制ではなく、 経営者や企業の中で、モノづくりをけん引するリーダー層の夢やヴィジョンを形にするソリューション一件一件作っていく事で成長してきました。引き出しを広げて、小回りの利いた対応ができるようにしている点が私たちの持ち味ではないかと思います。
――確かに先ほどご紹介いただいた6つのテクノロジーは「できたらすごい」、「変わる何か」を期待させる強さがあります。
はい。もちろん相応の苦労もありまして、物売りのように販売するだけ、という手軽さはありません。半分コンサルティングのように、寄り添って取り組んでいきますし、共同研究のような取り組みになることもあります。
私たちのお客さまでもある徳田工業さんと2019年4月にテクニカルラボを設立しました。3Dプリンターを置いて、そこでどのように活用できるか検討を進めていく場所です。やはりユーザー目線というのは大事です。簡単な治具は切削で削ったほうが速いし安い。でもこの部分は切削ではできないので積層造形が付加価値を生み出せる、といった判断を以下にスムーズに行っていただくか。そこで企業の成長機会を見出していただくかが大事だと思います。
――2019年はどんな年でしたか?また2020年はどんな年になるでしょうか?
AMに関していうと2019年は多くのお客様とパートナー様との出会いがあった一年でした。
多くの企業様はAMの活用方法をいま正に模索されている段階だと思います。特に2019年後半では上流設計の重要性をお伝えするようにしてきました。DfAMと呼ばれている積層造形で作ることを踏まえた設計思想は非常に重要になってきています。スキャンしたデータをどう活用するのか、ジェネレーティブデザインによる具現化をどんなソフトウェアをつかって実際に行うか、など実際にソフトウェアの画面をお見せしながら現場レベルでのご説明をしてきました。
その結果私たちにとって2019年はAMでお付き合いするお客様、パートナー様がかなり広がった一年になりました。3Dプリンターは Markforged社(マークフォージド)の一次店としてカーボン3Dプリンターを中心にご紹介していき、多くのお客様にお届けできたと思います。
――AMに関しても、まさに入口から出口までカバーできる引き出しの多さが、データ・デザインさんが、お客さまからの信頼を得ている強みなのかもしれないですね。
ありがとうございます。最近、データ・デザインっていい会社の名前だね、そういうことだよねとお客さまにいわれることが増えてきました。物売りではなく、プロセスをかえるお手伝いができた実感が持てるお褒めのことばで大変ありがたくいただいた覚えがあります。
――前後の工程も含めて見直し、どう成長につなげていくか、という視点は、やはりAMでは重要というこがわかりました。ブースではデータ・デザインさんのご活動をどのようにご紹介されていますか?ブースでの見どころを教えてください。
3Dスキャナーや3Dプリンターを見て、触っていただけるように実機を置いていますが、ブース内で30分に1回、今日お伝えした6つのテクノロジーのご紹介や、取り組み方の全体像をつかんでいただける 全体像とテーマ性をつかんでいただけるソリューション・エリアをご用意しています。パネルを見るだけでは伝わらない事も多いと思います。具体例も交えながらご紹介していきますので、通りがかった際に是非お気軽にミニセミナーを聞いて、見ていただきたいです。
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取材前の印象では「なんでも取り扱っている商社」をイメージしていたが、改めてお話を伺って認識が大きく変わった。「モノづくりのプロセスを変えること」に特化した結果、さまざまなコーディネイトを行うために商材やサービスが増えたのだ、きっと。
3Dプリンター一つとっても選択肢が豊富だ。どれを選べばいいか。本当に目的に貢献できるのか、実際どう検証すれば無駄が少ないのか。考えることは多岐にわたる。
そんな時、前後の工程も俯瞰しながら相談に乗ってくれるパートナーの存在は心強い。TCT Japanではそういったパートナーを探すためにいろいろな会社に話を聞いてほしい。データ・デザインはそういったモノづくりを変えたい会社にとって相談できる候補の一つになるだろう。
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2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。