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不要不急で面白く―株式会社メルタ

加工技術には自信があるが、企画やマーケティングは苦手。製造現場の多くが感じている本音だろう。一方でマーケティングや企画の力があれば、全世界とネットワークを組んでアイディアを形にしてしまう事ができる集団もいる。それが、今回お話を伺った株式会社メルタだ。

3Dプリントを使ってくまモン柄のメロンをつくったり 、アメリカ合衆国よろしく、顔を造形した山の模型をプロデュースするなど、インターネット上で気軽に依頼できるサービスビューロとしては破格の企画力を持つ同社に、私たちシェアラボ編集部も度々驚かされていた。コロナ感染拡大の影響で、集客が振るわなかった次世代3Dプリンタ展でご挨拶したのがきっかけで今回お話を伺うことができた。ご対応いただいたのは株式会社メルタで広報を担当する岡本展尚氏だ。

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「元々は、3Dプリンターのシェアリングというコンセプトで始めたサービスです。助成金などを活用して購入されたが、3Dデータを作成できる人がいない、思ったよりも活用機会が少なかったなどの理由で、機材が十分に稼働していないケースがあると聞いていました。そこで、そうした3Dプリンターを持っている人たちをネットワーク化して、アイディアを持つ人が気軽に造形できるようにしていこうという形で始めました。」(岡本氏)

―事業の主体としては、ウェブで受付して造形するサービスビューロということですね。おもしろ企画はどういった位置づけで始められたのでしょうか?

「はい。3Dプリントできるパートナーがいても、依頼がなければお仕事になりません。そこで、話題性がある商品を自社で企画して販売していこうと考えました。その企画自体が面白ければ、造形の依頼も増えると考えてもいました。メロンの企画などは、出荷の数か月前に受注して栽培するという点でも、果物に傷をつけて模様をくっきり出すという点でも難易度が高い事業でした。思い付きで簡単にできる企画ばかりではありませんが、企画を重ねるたびに手ごたえは感じています。」(岡本氏)

―社員数も順調に増えているとのことですね?

「はい。猫の手レンタルというサービスを見て、入社を決めた社員もいます。 忙しい人に3Dプリンターで造形した猫の手をレンタルするというサービスなのですが、このサービスでは一切儲かりません。忙しい人は、猫の手を借りません。そんな暇はないからです。暇な人は猫の手を借りません。そんな必要がないからです。ですがこの企画自体は、広報活動の一環として一定の効果を上げています。弊社の代表が常々言うのですが、『不要不急なものが生活や社会を面白くするんじゃないか 』 という観点で継続的に行っているところです。」(岡本氏)

―不要不急、生産現場では排除されていく要素が社会や生活を面白くするというのは面白い観点ですね。最近、”これは面白さで自信がある”という企画はありますか?

「そうですね。いちばんバズった企画としては、トリの造形があります。手書きのイラストを3Dで造形して形にしようという事で、ツイッターでイラストを募って、私たちが無償で造形しました。」(岡本氏)

株式会社メルタ公式ツイッターより

―これは、、、すごいですね。。なまなましい手書きイラストっぷりといい、イラストの雰囲気をそのままに造形されてしまったワークの存在感といい、、スゴイです!

「完全に趣味でやっている」とは言え、クオリティは本物だ。

「 そうなんです。お子様による手書きのイラストをデザイナーと一緒に3Dデータ化しました。海外の設計チームと連携して、一枚のイラストからでもきちんと形にできます。 」(岡本氏)

―この手書きイラストを、ここまでイメージ通りに設計・造形できるのであれば、製品の改善アイディアや新製品のアイディアを手書きで書いて、メルタさんに設計してもらって試作品を作ってもらう、などのご相談もできそうですね。

「 都度ご相談して見積をしていく形にはなると思いますが、 3Dデータが手元にない場合でも、デザイナーや設計者と連携してデータを作成する段階からお手伝いは可能です。」(岡本氏)

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ここでは紹介しきれないほど、いろいろな話題がでた取材となった。企画と企画を製品やサービスに落とし込んでいく製品化、製品を設計に落とし、量産していく過程でそれぞれ求められる方向性は異なるが、企画の側から3Dプリンターを見ると『モノの見方』が大きく変わる。

製造現場の人も家に帰れば生活者だ。 商品企画業務やデザイン業務は専門外にしろ、プランナーやデザイナーといった企画職の人と同じように、生活者としての感受性は持っているし、消費者としても面白いコンテンツを購入し享受しているはずだ。そんな足りない部分を相談できる相手がメルタ社かもしれない。

メルタ社は3Dデータを標準3日で実現できる、という3Dayプリンターというサービスも展開している。在宅勤務を強いられて、仕事がなかなか進まない人はメルタの取り組みに学んでみてもよいかもしれない。

関連情報

編集/記者

2019年のシェアラボニュース創刊以来、国内AM関係者200名以上にインタビューを実施。3Dプリンティング技術と共に日本の製造業が変わる瞬間をお伝えしていきます。

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