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ひょうごメタルベルトコンソーシアム、シーズ発表会参加レポート

ひょうごメタルベルトシーズ発表会

2022年8月9日、ひょうごメタルベルトコンソーシアム主催のシーズ発表会がオンラインで開催された。

へレウス(株)、日本新金属(株)、(株)エスケーファイン、兵庫県立工業技術センター、MHIパワーエンジニアリング(株)、伊福精密(株)、金属技研(株)、エア・ウォーターNV(株)、ハニー化成(株)、金属新素材研究センター、(一社)日本AM協会の11の企業・団体がそれぞれ10分の持ち時間で発表を行った。盛りだくさんの発表会、その一部ではあるが発表内容を報告したい。

へレウス株式会社「アモルファス合金」

ドイツに本社があるへレウス株式会社は、金属粉末の製造販売を行っており、その売上の約40%がアジア地域。金属3Dプリンター用材料としてアモルファス合金の粉末材料の製造にも新規事業として取り組んでいる。

アモルファス合金の性能(提供:へレウス株式会社)

アモルファス合金とは、加熱・溶融した液体合金を超急速で冷却して、原子状態をバラバラな構造としたまま固化させたものをいう。均一な変形を示し、弾性があり高強度を示し、高耐摩耗性、生体適合性、低ヤング率、高耐食性など材料として優れた性質を持つ高機能材料だ。活用することができれば、部品性能が向上する設計の自由度が増すの高付加価値材料として位置付けることができるだろう。現在、インプラントやウェアラブル機器、航空宇宙用途などに用いられている。

へレウスのアモルファス金属に関しては、以前シェアラボでも取り上げているのでこの機会にまた見返してほしい。

日本新金属株式会社「3Dプリンター向けタングステン粉末」

日本新金属は、タングステンの国内供給シェアNO.1を誇る。その他にモリブデン等も扱っており、タングステン粉、炭化タングステン粉(非酸化物セラミックス粉)などを高付加価値粉末として供給している。

タングステン粉末

産業用金属3Dプリンター用造形用粉末として、タングステンは高融点で製造難易度は容易いものではないが、粉末の開発に取り組んできた。粉末製造技術としては数ミクロンから100ミクロン程度までの分級が可能。低品質の分級品から高品質の球状化品まで、形状も制御できる。現在、タングステン・モリブデン固溶体などの各種複合粉末も製造している。

株式会社エスケーファイン「セラミックス3Dプリンター」

エスケーファインは株式会社写真化学から2018年にセラミックス3Dプリンター事業を切り出し設立された企業だ。大阪大学桐原教授の研究成果をもとにセラミックス3Dプリンターを開発したという。

セラミックス3Dプリンター

写真化学は産業用の製造装置の製造を通じて培った粉体制御、インク設計技術、スラリー化分散技術(泥状物生成技術)、データ処理技術、装置設計・精密制御・光学技術が活かし、セラミックスを造形できる3Dプリンターと専用材料を開発した。

エスケーファインは光硬化性の液体樹脂とセラミックス粉末を攪拌し、泥状の材料を用意できる装置、光造形方式で複雑な形状でも造形できる独自の3Dプリンター、脱脂・焼結装置を販売している。セラミックスと光硬化性樹脂を含む泥状の材料にレーザー光を当てることで硬化させ造形を行った後に、脱脂・焼成を行いセラミックス部品を完成させることができる。

すでに国内でも装置の導入や受託製造を行っており、格子構造、ジャイロイド構造、微細流路構造、海綿体構造などの複雑な構造を造形できる自由度を活かし、化学反応器や熱交換器、人工骨などに採用されている。

伊福精密株式会社「DFAM+3DP+精密機械加工」

DFAM+3DP+精密機械加工

伊福精密は兵庫県神戸市西区の神戸鉄工団地内にある金属加工会社。(蛇足だが社員の25%が女性と女性が活躍する加工会社としてイベントやセミナーでも女性社員が登壇する機会も見かける会社だ。)2016年から金属3Dプリンターの取り扱いを開始しており、社員全員が3Dプリンタ活用技術検定試験と3次元利用技術者試験の合格を目標としている。「金属加工の駆け込み寺」をキャッチフレーズにして、DFAM(Design For Adittive Manufacturing)、3DP(3Dプリンティング)、精密機械加工の3本の矢で顧客のリクエストに柔軟に対応できるようにしている。金属の精密加工と3Dプリンターを組み合わせた加工をPRしていた。

一般社団法人日本AM協会「AMビジネスの普及の現状について」

日本AM協会

日本AM協会は、関西3Dものづくり推進協議会が前身の一般社団法人だ。海外での3Dプリンティングの利用は進んでいるが、日本国内ではまだ実用化が進んでいない現状を「3Dプリンティングには一長一短の癖があり、それを考慮した上で商品化できるビジネスがまだ少ない」と分析し、政府主導のテコ入れを行うべく活動を行っているという。

ビジネスとしてAMに取り組む際に、まず装置を買うのではなく、3Dプリンティングにどんな利点があるのか、知ってもらうことが重要、と考えているという。今後、工業技術センター、大学、各種企業から出る知見を活用していきたい考えで、積極的にセミナー等の情報発信を行っていくという。

その他の企業

兵庫県立工業技術センターは、砂型3Dプリンターの活用事例について、MHIパワーエンジニアリング(株)は、3D金属造形と炭素複合樹脂を用いた治具設計について、金属技研(株)は、金属積層造形における非破壊検査への取り組みについて、エア・ウォーターNV(株)は、金属3D造形物への表面硬化処理について、ハニー化成(株)は、金属3D造形と電着処理のマッチングによる新しい付加価値の創出について、金属新素材研究センターは、積層造形―溶浸法を用いたチタンーマグネシウム複合材の開発について、それぞれ発表が行われた。

また、(株)神戸工業試験場、日新技研(株)、福田金属箔粉工業(株)、虹技(株)、菱三工業(株)の5社からは、資料のみが提示された。

各発表もそれぞれ短い持ち時間ながら、非常に興味深い取り組みの報告であっという間に時間が過ぎた。3Dプリンター活用のすそ野が広がる中で、既存の事業や工法とのシナジーが生まれる可能性がある。今後の市場拡大を考える際には3Dプリンターの装置メーカー以外に、3Dプリンター活用に関連する事業者の市場参加が大きな役割を果たすだろう。

まとめ

シェアラボ編集部では、日本を中心に企業の3Dプリンター活用を取り上げてきた。今回のひょうごメタルベルトコンソーシアムのシーズ発表会では、材料メーカー、サービスビューロ、業界団体などさまざまなプレイヤーが自らの取り組みを短時間で端的に伝えてくれた。各社の発表を聞く中で、3Dプリンター活用には、3Dプリンターメーカー以外でも、材料メーカーや加工会社が3Dプリンターに取り組むなかで、日本の製造業の中でも、3Dプリンター活用の生態系が着々と育っていることを感じることができた。

シェアラボ編集部では今後もこうした業界団体や勉強会の活動を取り上げながら、日本各地で根付き目を出し始めた各企業の取り組みを丁寧に追っていく予定だ。

増田 健司
ShareLab編集部

メーカーの研究開発職として新素材開発に従事後、特許庁で特許出願の審査業務を10年以上経験。弁理士として独立後は、企業の知財戦略をサポートする傍ら、3Dプリンターをはじめとした先端技術に関する情報発信を行っている。趣味は深夜のショッピングチャンネル鑑賞。

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