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静岡県が金属3Dプリンターの活用促進と技術の普及に注力、浜松工業技術支援センターの金属3Dプリンター供用開始

設置されたものと同型の金属3Dプリンター「SLM280」/出典SLM-SOUTIONS社

静岡県は2023年1月23日から、工業技術研究所の浜松工業技術支援センターに設置した金属3Dプリンターの供用を開始した。県内の自動車関連の中小企業に、「電気自動車(EV)をはじめとする次世代自動車の部品開発のために活用してもらいたい」という狙いがある。

浜松工業技術支援センターに設置されたのは、ドイツの金属3Dプリンターメーカー・SLMソリューションズ社製の「SLM280」だ。

今回の設置にあわせ、産学官の連携で金属3Dプリンターの活用を促進する「静岡県積層造形協議会」も設立された。協議会はスズキやヤマハ発動機、大学、産業支援機関などの15団体で構成され、会長には工学博士で静岡文化芸術大名誉教授の望月達也氏が就任した(画像は今回設置されたものと同型の金属3Dプリンター「SLM280」/出典SLM SLMソリューションズ社)。

金属3Dプリンターで自動車産業の変革を促進

浜松工業技術支援センターでの当金属3Dプリンタ―を使用するには、浜松工業技術支援センター 材料科と事前に打ち合わせを行う。打ち合わせにて造形用途、金属粉末の種類、造形物の仕様、3DCAD データの準備、後加工処理などを確認した上で使用が可能。機器使用料は公開されておらず、問い合わせが必要。

静岡県は製造品出荷額が全国的にみても上位で、そのなかでも自動車産業が静岡県の基幹産業となっている。しかし、世界的にすすむEV化や自動運転にみられるデジタル化、さらには2050年までに実現を目指すカーボンニュートラルのため、従来の自動車関連部品の需要量が減り、多くの中小企業が受注機会を失う恐れが高まっているという。自動車関連企業は、事業規模にかかわらず業界全体の大きな変革が求められている。

今回の金属3Dプリンターの供用開始は、静岡県が地元産業を守るための一助となるだろう。アルミやステンレス、チタンなどの金属粉末をプリント素材とする金属3Dプリンターは、1台あたり数千万円から、ものによっては2億円以上のものもあり、非常に高価だ。そのため、3Dプリンティング、そしてアディティブマニュファクチャリングへの関心は高くとも、装置導入に至っていないケースも多い。

金属3Dプリンターを気軽に使用できる環境を自治体が整えたことは、今後の自動車部品の設計の段階から影響を与えるはずだ。

静岡県工業技術研究所の外観(画像は静岡本所)/出典:静岡県工業技術研究所
静岡県工業技術研究所の外観(画像は静岡本所)/出典:静岡県工業技術研究所

今回のように自治体主導で金属3Dプリンターの設置から供用に至るまでを整備するケースは珍しくなく、静岡県以外でも、全国の公設試験研究所(通称:公設試)に樹脂・金属の3Dプリンタ―が多く導入されており、利用料を支払うことで装置を使用することができる。

気になる方は、各都道府県の公設試のWebサイトを訪問いただく、もしくは、経産省が提供している全国鉱工業公設試験研究機関保有機器・研究者情報検索システム(外部サイト)で「3Dプリンタ」や「積層造形装置」と検索すると、各公設試が保有している3Dプリンターを調べることができる。2023年2月27日現在、「3Dプリンタ」で検索すると109件ヒットする。

設置された金属3Dプリンター「SLM280」の特徴

SLMソリューションズ社の金属3Dプリンタ―「SLM280」はプリント材料となる金属粉末を敷きつめ、レーザーを照射して溶かし、固めて造形していく、パウダーベッド方式を採用している。対応造形材料は、合金工具鋼、アルミ合金、ステンレス、銅・銅合金。造形領域は最大280×280×365mm。「SLM280」をはじめ、SLMソリューションズ社の金属3Dプリンターの多くは複数のレーザーを搭載しているため、造形スピードの速さに特徴がある。

金属3Dプリンターは3Dデータがあれば容易に複雑な造形が可能だ。金型も溶接も必要としないため、コストカットや生産の効率化が期待できる。SLMソリューションズ社は、ニコンに完全子会社化されたことでも話題になった。こちらについてはShareLab NEWSで取り上げているので以下のリンクからご覧いただきたい。

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欧米に比べて日本企業の3Dプリンター活用は遅れているとされる。今回のような自治体主導の取り組みは、大きな波を生むかもしれない。そのような中、地方の企業や大学が中心となって3Dプリンターの積極活用を促進しようとする動きがあらわれ始めている。

地元産業育成の例として、過去にShareLabNEWSがインタビューを実施した群馬県の「群馬積層造形プラットフォーム(GAM)」と兵庫県の「ひょうごメタルベルトコンソーシアム」における活動を以下に紹介する。こちらもぜひご覧いただきたい。

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